ネギ、卵、かつお節……と、納豆と相性のよい食材はすでに皆さんの知るところですが、なっとう娘は意外な可能性にチャレンジ! 自由な発想が納豆の新たな世界を切り開きます。――最近では、納豆の概念を覆す斬新な新商品の開発にも取り組んでいるそうですね。
商品化を目指す「ヴィーガン納豆チョコレート」
今、近畿大学と共同で開発を進めているのが「ヴィーガン納豆チョコレート」です。納豆はタンパク質やビタミンなど栄養豊富ですから、健康食の観点からもっと普及させたいと考えていました。しかし、特徴的な強い匂いや粘りがどうしてもネックになっていたのです。
きっかけはインスタグラムのライブ配信でした。その日はバレンタインで、フォロワーの皆さんとやりとりをしているうちに「チョコレートに納豆を入れてみようか」という企画が持ち上がりました。
その場でチョコレートを湯煎して納豆を混ぜてみたら、お餅のようなモチモチした質感になって、まずその変化にびっくり! そして食べてみると、これが意外にイケる。チョコレートが納豆の独特の風味をカバーしてくれておいしく食べられるのです。例えなら、チロルチョコの“きなこもち”のような味ですね。
――チョコと納豆の組み合わせなんて「ありえない」と思っていましたが、新しい発見です。 「固めてもおいしそう」と思って試してみたら、予想どおり。納豆の匂いや粘りも気にならないし、「これなら納豆が苦手な人でも食べられるでは」と期待が高まりました。
そのタイミングでラッキーなことに、フランスで毎年7月に開催される日本文化の総合博覧会「Japan Expo」に出展する知人がいて、「一緒に行かない?」と誘われたのです。これは、日本の納豆をフランス人に紹介できる絶好のチャンス! 私は渡仏し、現地のイベント会場で納豆チョコレートの突撃試食を敢行しました。すると、「ナッツ入りのチョコレートみたいでおいしい」と大好評で、大きな手ごたえを感じました。そもそもフランス人は納豆自体を知らない方ばかりで、「納豆=ご飯の友」といった既成概念がありません。そんな環境で率直な感想を聞けたのがよかったですし、食の先入観にとらわれないジャッジが自信にもつながりました。
帰国後、これを商品化できないかと考えていたところ、またしてもタイミングよく近畿大学から共同開発の話をいただいて、「納豆×チョコレート」の開発プロジェクトがスタートすることになりました。
試行錯誤の末、ようやく完成のゴールが見えてきたのが、真空フライのひきわり納豆を使用した「ヴィーガン納豆チョコレート」です。味の変化をつけるためにラズベリーやピスタチオ、クルミなどのトッピングも検討しているところです。昨年(2020年)はなんとか試作品の販売にこぎつけました。今はそこでわかった改善点を見直している最中で、来年(2022年)の発売を目指しています。
――納豆も豆でできているのですから、納豆×チョコはつまり“ナッツチョコ”!? がぜん食べてみたくなりました。ほかにも何か新しいアイデアをお持ちですか?
(写真:編集部)
チョコつながりだと、「チョコミント味と納豆ははたして合うのか?」というのは考えていますね。チョコミントの爽快感が納豆とどのように交わるのか、は興味深いですね。
手軽なところでスイーツとの組み合わせはよく試します。タピオカミルクティーとは相性抜群で、小豆がトッピングされている台湾のかき氷に近いテイストです。ストローで吸うときに「タピオカかな? 納豆かな?」と予想するワクワク感も楽しい。これからも納豆のさまざまな可能性を探っていきたいと思っています。(つづく)
驚くような組み合わせも、鈴木さんの話を聞いているとおいしそうに思えてくるから不思議です。取材時には、いろいろな国籍の方に「ヴィーガン納豆チョコレート」を食べてもらう試食会を近々開催する予定とのお話も。納豆がどんな食品に姿を変えて世界に進出していくのか、今後の展開も楽しみです。次回はいよいよ最終回。なっとう娘が抱く大きな夢を語ってもらいます。(構成:寺崎靖子、写真提供:鈴木真由子)
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