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子どものこれから
大学生の食と健康を考える 女子栄養大学短期大学部学部長
岩間範子
第4回 “栄養バランス”を身につけよう?
成人女性なら「1日20点=1600kcal」
 女子栄養大学の創立者である香川綾博士が考案した「香川式四群点数法」では、「1日に何を、どれだけ食べればよいか」を4つの食品群に分け、その目安量を点数化して示しています。
 「1日に何を、どれだけ食べればよいのか」は年齢や性別、職業、運動量などで変わりますが、成人女性(18~29歳、身体活動レベル?)を想定した基本の分量は、「1日20点=1600kcal」(1点80kcal)です=図1参照。これは、座っている生活が中心の比較的身体活動の低い女性の場合なので、女子大生なら1日22、23点ぐらいでもいいでしょう。体育会系の女子大生は運動の種類によっては、さらに3~4点増やしましょう。その場合は、主に第4群「穀類、油・調味料・砂糖など」の食品を増量してください。ただし、貧血予防などのため第2群もしっかりとりましょう。


【図1】


 20点の食事では太ってしまうという人は、第1群「卵・牛乳・乳製品」、第2群「魚介・肉類、豆」、第3群「野菜・芋・果物」の食品は減らさずに、第4群の食品を2点程度減らしてください。ただし、減らしすぎは禁物です。体を動かして消費するエネルギーを多くしましょう。成人男性(18~29歳、身体活動レベルI)なら「1日29点=2320kcal」、体育会系の男子学生なら34点ぐらいの栄養を摂取することを心がけてほしいですね=図2参照


【図2】


卵1個、ご飯3分の1杯で80kcal
 「香川式四群点数法」では80kcalを1点として計算するのですが、「80kcalがどのぐらいの量なのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。主な食品の80kcalあたりの重量は、卵ならLサイズ1個、牛乳はコップ1杯弱、ご飯は茶碗で3分の1杯、食パンは6枚切り2分の1枚程度です。詳しくは下の表にまとめましたので、それを参考にしてください=表1参照


 とはいえ、これはあくまでも目安です。大事なのは、第1群「卵・牛乳・乳製品」、第2群「魚介・肉類、豆・豆製品」、第3群「野菜・芋・果物」、第4群「穀類、油・調味料・砂糖など」をバランスよく食べることです。朝・昼・晩の1日3回の食事で調整するのが難しいと思う人は、1週間の食事の中でバランスをとってもかまいません。

 注意してほしいのは、食べ物の色や形が一つひとつ違うのと同じように、同じ群に属していても各食品が持っている栄養の特徴はそれぞれ異なるということです。そのため、まずはできるだけ多くの種類の食品をとることを心がけてほしいですね。
 最初は大変だと思うかもしれませんが、四群点数法の表を見ながら1週間程度続けていければ、「この食品は何群だ」「これぐらい食べればいいんだ」ということが、自然と頭の中でイメージできるようになるはずです。あまり神経質にならないことが続ける秘訣です。

肥満の大敵は「ご飯」ではなく「油」
 「ご飯は太る」というイメージが多くの人の中にあって、ご飯やパンといった主食を食べたがらない人がいますが、本当に気をつけなければならないのは油や砂糖です。
 先ほどご説明したように、ご飯なら茶碗3分の1杯、パンなら6枚切りで2分1枚が80kcal=1点と、比較的簡単に計算することができますが、どの料理にどれぐらいの量の油や砂糖を使っているのかは、ひと目ではわかりません。

 そのため、油や砂糖については量をイメージするのではなく、「揚げ物や油で焼いた料理ばかりを選んでいないか?」「油を使った料理は週に何回までにしよう」など、調理法や回数を気にすることで全体のバランスをとる必要があります。

 また、朝と昼の食事で摂取したエネルギーは、昼間に活動している最中にそのほとんどを消費してしまうため、肥満の原因にはそれほどつながらないといわれています。しかし睡眠時間が大半を占める夜は体をあまり動かさないため、ドカ食いや油っこい食事をすると肥満になりやすい。そのため、夕食や夜食をとる際にはなるべく揚げ物を控えるなどの注意も払ってほしいですね。
 健康的な食生活を送るためには栄養のバランスに加え、体の(生態)リズムや消化吸収能力に応じた食べ方も大切なのです。

(構成・編集部)

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【いわま・のりこ】
1947年生まれ。女子栄養大学卒業。博士(栄養学)。管理栄養士。専門分野は栄養教育・公衆栄養。荒川区の行政と飲食店と連携した外食のヘルシーメニュー「あらかわ満点メニュー」の開発など、栄養や健康への知識と理解を深めるための活動にも積極的に携わっている。著書に『わかりやすい栄養学』(ヌーベルヒロカワ)、『食育えほん』(ポプラ社)など。
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