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美しいくらし
フランスの美しい田舎と小さな村ワイン 写真と文
木蓮
第2回前編㊤ ドメーヌ滞在と石畳の小道【セギュレ】
 今年9月、プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地方にある「フランスの最も美しい村」セギュレを訪れた木蓮さん。ブドウ畑に囲まれたドメーヌに滞在して村めぐりを楽しんだり、ワインの造り手との交流も深めました。第2回ではその模様を4回にわたって紹介します。

 「いらっしゃい!よく来たね!」
 フランスでは当たり前のように起こる電車の遅延によって、30分ほど遅れて到着した私をオランジュ駅まで迎えにきてくれたのは、これから訪れるドメーヌ・ド・カバスのオーナーであるブノワ氏。少し緊張気味の私に、「我が家だと思って寛いでね」と、まるで少年のような笑顔で楽しそうに話しはじめました。


 駅から車で約20分。真っ青な空と美しい緑の絨毯が目の前に広がってきます。
 「ここ、夏に通った道なんですよ!シャンブルドットのマダムに勧められ、ジゴンダスまで遊びに来たんです」。少し興奮気味に話しだした私に、「そうか!じゃあ、ちょっと遠回りしよう」と、彼はさらに車を走らせます。

 ヴァッケラス、ボーム・ド・ヴニーズ、ジゴンダス……。
 日本ではまだまだ知られていないけれど、ここ、プロヴァンス・アルプ・コートダジュール 地方が誇る素晴らしいワインの産地を抜け、ブノワ氏の所有するブドウ畑があるセギュレのドメーヌに到着。こちらのドメーヌにはホテルやレストランも併設されており、滞在しながらワインを味わうことができます。


 「少し休んでから、この辺を一緒に散歩しようか?」
 そう言って案内された部屋は、シャワールームもトイレも改装されたばかりの居心地のいい落ち着いた部屋。早速、小さなデスクに仕事道具を置いた私は、ベッド脇の一人掛けのチェアを窓辺に据えると、窓から一望できる青々としたブドウ畑の写真を撮り始めました。

 「ワイナリーに泊まるって、どんな感じなんだろう?」

 一通り準備を終え、レセプションまで下りていくと、隣にあるレストランから声が聞こえてきます。どうやら、こちらのドメーヌのワインを試飲し、レストランで楽しむお客様のようです。

 「彼女は日本人で、このドメーヌのルポタージュをしてるんだよ」
 次の日、ブノワ氏に誘われたテイスティングの場で、皆さんに挨拶させられた私。英語ではなくフランス語を話す私のことが面白いらしく、「日本でもワインを造ってるの?」など、日本の文化についていろいろな質問をうけました。
「僕の話す英語には目をつぶってね!」。そう言いながらも、飛び交う質問に誠実に答えているブノワ氏の姿が印象的でした。

 こちらのドメーヌには、フランス人以外にもイギリス人やアメリカ人が多く訪れます。その大きな要因は、2016年にここで造られた赤ワインの「ジゴンダス」に対し、95点のパーカーポイントがついたこと。パーカーポイントとは、世界的にも著名なワイン評論家のロバート・パーカー氏によるワインの評価方法で、100点満点のうち85点以上のものが「本当によいワイン」とされています。その評価を受け、一気にアメリカ人の来訪者が増えたそうです。
 他にも、サイクリングを楽しみながら訪れる北欧の方たちもいるそうで、いかにも自然が好きなヨーロッパの人達の楽しみ方だなと感心しました。

 「ここ、ドメーヌ・ド・カバスを訪れるなら、いつ頃がお勧めですか?」と尋ねてみると、「基本は4月から10月中旬までかな。中でも5月、6月は花がとっても綺麗だからぜひ!」と教えていただきました。ヴァカンスが終わり、少し涼しくなりはじめた9月は、ゆったりと滞在したい年配者に好まれるようです。(つづく)


★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/

協力:株式会社グラムスリー「moulla(ムーラ)」
http://www.moulla.jp/

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WEB連載「フランス 花の村をめぐるたび」はこちらをご覧ください。
WEB連載「フランスの花の村を訪ねる」はこちらをご覧ください。
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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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