新刊『あんずとないしょ話』の著者で版画家の蟹江杏さんと、ミュージシャン(元たま)の石川浩司さんによるスペシャルトークショーが、5月27日に有楽町の東京国際フォーラム1階「フォーラム・アート・ショップ」内ギャラリーで開催されました。これは、6月4日(日)まで開催中の杏さんの新作展「旅する絵 ~ANZ KANIE EXHIBITION 2017~」の一環として実施されたものです。新作版画の題材でもある“旅”をテーマに、旅先での楽しみ方や思い出に残る旅、旅の必需品などについて語り合いました。
今回の新作展では、“日本の旅”をテーマに全国47都道府県それぞれの旅の印象を一枚ずつ版画に描き出した杏さん。作品展などで全国各地に出かける機会が多く、47都道府県のうちまだ行ったことがないのは4県ぐらいしかないそうです。
一方、『すごろく旅行のすすめ』(筑摩書房)や『すごろく旅行日和』(メディアファクトリー)などの著書がある石川さんも、国内外でのコンサートツアー経験が豊富。なんと47都道府県全部を制覇しているだけでなく、バンド「パスカルズ」ではフランスで50回以上もライブをしているそうです。
そんな二人の旅の話の進行役を担ったのが、ライター・エディターの寺田和代さん。寺田さん自身も20年間に32回もの欧州ひとり旅を重ね、その体験をもとにしたガイドブック『Soliste[ソリスト]おとな女子ヨーロッパひとり旅』(KADOKAWA)を上梓した旅のスペシャリストです。

「お二人が旅に目覚めたきっかけは何ですか?」という寺田さんの問いかけで始まったトークショーでは、もともとは出不精で自宅で絵を描いているのがいちばん好きなのだと告白した杏さんが、小学時代に友人と初めて出かけた京都旅行をきっかけに、自由で開放感あふれる旅の面白さに気づかされたエピソードを披露。
石川さんは、幼いころは体が弱くて旅に出られなかったため、せめて妄想でもと全国の観光パンフレットを集めて“妄想旅行”をした中学時代や、友人と野宿をしながら何度もサイクリング旅行に出かけた高校時代の思い出を紹介したうえで、「何が起こるかわからないハプニングこそが、旅の醍醐味。名所旧跡よりもトラブルやハプニングのほうがずっと記憶に残る」と教えてくれました。

その後、サイコロを転がしてどこに行くのかわからないハプニング満載の“すごろく旅行”の顛末をまとめた石川さんの著書『すごろく旅行のすすめ』『すごろく旅行日和』にならってハプニングを楽しもうと、くじ引きをして出た“県”のエピソードをそれぞれ話すことに。その結果、茨城、長崎、鹿児島、長野、滋賀と、無作為に選ばれた5つの県について、杏さんはギャラリー内に飾られた該当する5県の新作版画を見せながら、版画の題材に選んだ理由や制作したときの気持ちを紹介。石川さんは、18歳のときに1年間だけ住んだ茨城の思い出などを話してくれました。

最後に、「これからも旅とともに生きていくであろうお二人ですが、旅に対してどのような思いを持っていますか?」と寺田さんから問われて、「『天気がいいから、今日は旅に出よう』と思えるような精神状態でいたい。そういう心の“ゆとり”を常に持っていたい」(杏さん)、「いつか行こうと思っていたら、旅には出られません。思い立ったらすぐに行動に移したほうがいい」(石川さん)と、それぞれが思う旅の心構えを伝授。
参加者からは「今日は国内の旅のエピソードを教えてもらいましたが、ヨーロッパの中でお二人の印象に残っている国はありますか?」といった質問も飛び出し、和やかな雰囲気の中でトークショーは終了しました。

なお、会場内では5月下旬に発売されたばかりの新刊で、石川さんとの対談も収録された杏さん初となる版画エッセイ『あんずとないしょ話』も販売されており、トークショー終了後には杏さんや石川さんに書籍へのサインを求める参加者の姿も見られました。
【石川浩司のひとりでアッハッハー】
http://ukyup.sr44.info/【蟹江杏さんのホームページアドレス】
http://atelieranz.jp/※蟹江杏さんの新作展「旅する絵」が、2017年6月4日(日)まで東京国際フォーラム1階のフォーラム・アート・ショップ内ギャラリーで開催中です。10時~20時(最終日は17時閉場)。会場内にて、杏さん初の版画エッセイ『あんずとないしょ話』を販売しています。ぜひお立ち寄りください。
※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『あんずとないしょ話』が好評発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。WEB連載「あんずとないしょ話」はこちらをご覧ください。WEB連載「ママとパパには内緒だよ」はこちらをご覧ください。また、杏さんと石川さんの対談「子どもの世界は無限大」はこちらをご覧ください。