いつもニコニコ笑っている人のそばにいると自分にも笑顔が増えたり、癒しの雰囲気を持った人と一緒にいると自分もなぜか心地よくなったりするように、キレイな人の近くにいるだけで脳が同調し、「ドーパミン(キレイ物質)」が出やすくなって、キレイの影響を受けられるとしたら、毎日がもっと生き生きとしたものになるに違いありません。でも、「自分からキレイな人の輪に入るなんて無理! 」「キレイな人がそばにいると、余計に自信をなくしそう……」という方もいらっしゃるかもしれませんね。いくら脳の働きを賢く使うといっても、“キレイになりたい”という意志の力がよほど強くないと、ハードルが高いのも事実。そこにストレスを感じれば、かえってキレイが遠ざかってしまいます。そこで、ドーパミンが出やすくなるもっとソフトな方法はないか、中野信子さんにお聞きしました。人からほめられると、キレイになれる 誰でも「キレイだね」とほめられるとうれしく感じますよね。人間の脳は、誰かからほめられると元気になったり、前向きな気持ちになったりすることがわかっています。これは、「報酬系」と呼ばれる脳の部位が活性化することによって起きる現象。“キレイでいたい”という欲求が満たされ、頭の中を“気持ちいい”という感覚が駆け巡ると、報酬系システムが活性化し、前回もお話した「ドーパミン」という物質が放出して、キレイを後押しすると考えられています。
女性の場合、ほめられるとさらに「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンが分泌されるといわれています。エストロゲンは肌のコンディションに作用し、キレイのためにはなくてはならないホルモンです。また、ほめられた満足感から自分に自信が持てるようになり、報酬系がより活性化してストレスホルモンを減らす効果もあるとされています。すると、ストレスホルモンが減ることで元気が出て、もっとドーパミンが分泌されるのです。つまり、楽にキレイになる一番の近道は、ほめられグセをつけること。常に「キレイだね」と言ってくれる人が近くにいてほめられる回数が多い人ほど、脳内でそうした働きが繰り返されてキレイは加速するのです。
キレイの応援団はすぐそばにいる! 「ほめるなんて、うちの旦那にはとても期待できない」という方もいらっしゃるでしょう。でも、ほめてくれる相手は、必ずしも男性である必要はないのです。女友達や職場の同僚、姉妹、自分の子どもなど、その人の言葉を心から信じられる人、ウソをつかないと思える人であれば、年齢・性別は一切関係ありません。
女友達はさすがに同性だけあって、女心をくすぐるセリフをさらっと言ってくれます。お互いにほめ合うことで双方の「報酬系」を活性化し、一緒にキレイになれるいい関係も生まれるでしょう。また、子どもにほめてもらいたいなら、「ママ、もっとキレイになりたいのだけれど、どうすればいいと思う? 」と、ストレートに聞いてみるのがいいと思います。ママのことが大好きなお子さんなら、「そんなことないよ、ママは十分キレイだよ」と言ってくれるかもしれません(笑)。
それでもやっぱりご主人にほめて欲しいという人は、自分からアクションを起こしてみるしかありません。私は結婚歴が浅いので経験的なお話をすることはできませんが、ご主人のほうでも、長年連れ添った妻に対しては照れもあり、ほめにくいということはあるでしょう。しかし、男性はもともと脳の働きとして目新しさを好む傾向があり、髪型やメイクにいつもよりひと手間かけて新鮮な印象を与えると、刺激として受け取ってくれます。「今日はさわやかだね」「髪型を変えてスッキリしたね」なんて言ってくれたらしめたもの。男性の脳の仕組みを利用して、ほめ言葉をどんどん引き出しましょう!
香りでキレイなイメージを引き寄せよう 視覚に訴える以外の新鮮な刺激の一つとしては、香りの効果も見逃せません。香りはもともと集中力や記憶力などとかかわりのあることがわかっていますが、女性ホルモンの働きを高めるという説もあり、素敵な香りのする女性にはキレイなイメージもあります。気をつけたいのは「つけ方」です。キレイなイメージがある人と、そうでない人の違いは、“ほのかに全体から香っている”か、それとも“一点から強く香ってくる”かです。「香りは点でつけずに面でつけるといい」といわれていて、実は、手首や耳元などにつけるよりお腹や腰回りにつけるほうが効果的。体温で温められた香りが下から立ち上り、洋服のすき間から香ってくるぐらいがちょうどいいのです。もしくは、スプレータイプの香水を顔の斜め上ぐらいでシュッシュッと2回ほどプッシュして、落ちてきた香水の下をくぐると、全体にフワっとした香りに包まれます。
選ぶ香りは、一般的に流行っているものを選ぶより、自分が落ち着く香りをつけることをおすすめします。安心できる香りを身につけることで緊張が解けると、脳内に「セロトニン」という物質が分泌され、イライラ物質である「ノルアドレナリン」を抑えてくれます。すると、“いつもの自分”を保つことができるのです。安心できる香りをつけることは、医学的にも過度の緊張を抑える自律訓練法として認められています。緊張とは、自律神経の中の交感神経優位の状態を表しますが、なかなか自分で操作することはできないのです。ところが、香りをトリガー(リラックスを促すためのきっかっけ)として使うことで、リラックスしている状態を思い出しやすくなると考えられています。
さらに香りで自分がリラックスすると、トゲトゲしさのない、柔らかい雰囲気を出すことができる。それがまた、人からほめられるキレイなイメージづくりに役立つのではないでしょうか。
キレイへの4th step
「脳の報酬系を活性化させる」
~見た目や香りでひと手間かけて、ほめられグセをつけよう~
✜中野さんのワンポイントアドバイス✜
実は、私も香りは大好き。私はバラマニアで、バラの香りはひと通り試したと言っていいほどです。特に気に入っているのは、英国王室御用達のブランド、ペンハリガンの「エリザベッサンローズ」。朝摘みのオールドイングリッシュローズから抽出されたバラの香りはとてもフレッシュで繊細。自分に素直になれる香りです。また、同じ英国のクラブツリー&イヴリンの「イヴリンローズ」は、香りを抽出するためだけに育てられたバラから生み出された、甘くなく上品な香り。これも大好きな香りです。私はいつもボトルごとバッグに入れ、テレビの収録前などにウエストあたりにシュッとスプレー。立ち上ってきた香りを自分がかぐことでセルフコンセントレーション(集中力をアップ)しています。ハンカチなどに好きな香りを移して持ち歩くのもおすすめですよ。(構成・宮嶋尚美)
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