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美しいくらし
記念対談「イタリアの最も美しい村」会長に聞く
中山久美子×フィオレッロ・プリミ
最終回 「体験」こそが村の醍醐味
 絵本に出てくるような可愛い町並み、悠久の歴史を伝える建築物、手つかずの自然など、さまざまな魅力を持つ「最も美しい村」をより楽しむにはいったいどうしたらよいのでしょうか? 最終回では、フィオレッロ・プリミ会長と中山久美子さんに、村選びのポイントや一歩踏み込んだ村の楽しみ方まで、役立ちそうな旅のヒントを教えてもらいます。

著者・中山久美子さん(右)とプリミ会長


中山 村は数時間で散策できてしまう小さなエリアです。実際に訪れた場合、村を満喫するにはどうしたらよいでしょう。

プリミ会長 行く場所や季節、その人の興味にもよりますが、北部のピエモンテ州のランゲ地方に行くのなら、やはりワインでしょう。ワイナリーを訪問してぜひ地元のワインを味わってみてください。秋だとブドウの収穫体験や、ブドウを足で踏んで果汁を絞る昔ながらのワイン造りを体験できる施設もあります。
 中部のウンブリア州やトスカーナ州だとオリーブオイルですね。こちらも秋の収穫体験や搾油所の見学ができます。ほかにも、ウンブリア州のトラジメーノ湖では漁業体験、トスカーナ州のマレンマ地方では乗馬トレッキングなど、さまざまなアクティビティが充実しています。

中山 ただ村を散策するだけではなく、村や地域ならではのものを「体験」してみるということですね。

プリミ会長 村の醍醐味は体験することにあり! といっても過言ではありません。こうした体験型のオプショナルツアーは、村観光に特化した旅行会社BITN(イタリア小さな村ツアーネットワーク)のサイトで紹介しているのでぜひ参考にしてください。
 そうそう、南部に位置するバジリカ―タ州のカステルメッザーノでは、山と山をつなぐケーブルを滑車で滑り降りるアクティビティがあります。「天使の飛行」というもので時速120kmも出るそうですが、標高約1000メートルの岩盤にへばりつくように立つ村の全景を上空から一望できることでしょう。

中山 「天使の飛行」はインターネットで検索しているときに見ました! カステルメッザーノの独特の風景をどうしても一度見たかったのですが、あまりにも交通の便が悪くて断念してしまいました。

プリミ会長 カステルメッザーノと近隣のピエトラペルトーザは険しい岩山の間にある村ですが、村を守るがためにあえて攻めにくいところに形成されたのだから、交通事情が悪いのは仕方ありません。でも行くことができたなら、なぜここに村があるのか、なぜここまで来る価値があるのかが理解できるはずですよ。

スカルぺリア(本書96頁)の家並み

「3つの丘の村」と呼ばれるブリジゲッラ(本書80頁)の全景


中山 日本人が「最も美しい村」を旅するなら、どのような地域、村がおすすめですか?

プリミ会長 日本からだと飛行機でイタリアにやって来るケースがほとんどなので、まずはローマやミラノなど空港がある都市の近郊にある村から選んでみてはいかがでしょうか?
 フィレンツェからだと直行バスがあるトスカーナ州のモンテフィオラッテやスカルぺリア、電車1本で行けるエミリア・ロマーニャ州のブリジゲッラもありますね。そこまで行くとアドリア海沿いを南下して、エミリア=ロマーニャ州のサン・ジョヴァンニ・イン・マリニャーノや同じリミニ県のサン・レオ、マルケ州のグラダーラもおすすめです。

 中部では、ウンブリア州にあるトラジメーノ湖周辺に5つの村があるのですが、そこから半径80km圏内にはシエナ、アッシジ、グッビオ、ウルビーノ、ペルージャ、モンテプルチャーノ、コルトーナといった都市があり、トスカーナ州の温泉地だって行くことができます。それらをすべて周るとなると1カ月でも足りないくらいですが、小さなエリアにも見どころがこれだけたくさんあるのです。
 ウンブリア州のカスティリオーネ・デル・ラーゴやパッシニャーノ・スル・トラジメーノは鉄道駅があるので、村に滞在してフィレンツェを観光する方も多いです。大都市に滞在して日帰りで小さな村に足を延ばすのもよいですが、小さな村を拠点にしてあちらこちら巡り、住むように村に滞在するのも面白いですよ。

険しい崖の上の村、ピティリアーノ(本書136頁)

中山 村に滞在すると、田舎暮らしの疑似体験ができますね。

プリミ会長 私が旅するとしたら、B&Bという朝食付きの民宿や農業体験ができるアグリツーリズモを選びます。そこのオーナーとの交流も旅を楽しくしてくれることでしょう。あくまでも急ぐ旅ではなく、まずは1つのエリアに絞り、そのエリアをじっくり堪能してみてほしいですね。

 そして、イタリアにお越しの際は、「イタリアに行く」と単数形で言うのではなく、「イタリエに行く」と複数形で言えるような旅をしていただきたいです。これまでお話ししたように、イタリアはあまりにも異なる多様な要素で構成された国ですから、複数の地を回ってその違いを肌で感じていただきたいのです。
 歴史が好きな方には、どの時代なのかで訪れるエリアが変わりますし、ワイン好きの方ならピエモンテ州かトスカーナ州か産地によって味わいが違うように、小さな村とはいえいろいろなテーマがあり、いくらでもプランが立てられます。ぜひ、あなたが興味を持つテーマで村を探して旅をしてください。(おわり)

――「観光地化された都市もよいけれど、不便な村だからこそ行く価値がある」。プリミ会長がそう語るように、多様性に満ちたイタリアの美しい村は、四季折々の多彩な魅力にあふれ、訪れる者の心をときめかせてくれることでしょう。芸術、歴史、風景、食……。あなたはどのようなテーマで旅をしたいですか? 書籍『イタリアの美しい村を歩く』のページをめくると、そのヒントが見つかるかもしれません。

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トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、これまでに訪れた「イタリアの最も美しい村」の中から“忘れられない”30の村をセレクト。「飾らない、ありのままのイタリアを伝えたい」という思いから、電車やバスに揺られながらのローカルな雰囲気が楽しめる村を北部から南部までラインアップ。旅先での出会いやエピソードをちりばめながら、心に沁みる美しい村の魅力を綴る。

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【なかやま・くみこ】
兵庫県出身。ウェブサイト「トスカーナ自由自在」主宰。早稲田大学第一文学部西洋史学専修卒業。28歳でフィレンツェに留学し、のちに現地で結婚。現在はトスカーナ州の田舎で夫・息子2人と暮らしながら、取材・視察・ビジネス、旅のコーディネイトや通訳、ウェブサイトの執筆を手がける。2015年に開設した「トスカーナ自由自在」では各地の魅力を現地から発信している。

【フィオレッロ・プリミ】
「イタリアの最も美しい村」協会会長。ウンブリア州カスティリオーネ・デル・ラーゴ市長を歴任。同市長時代にイタリア自治体協会観光評議会に参加。「小さな市の部門」創設を提唱し、新たなツーリズムを提案。本協会の基礎を築いた。
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