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美しいくらし
記念対談「イタリアの最も美しい村」会長に聞く
中山久美子×フィオレッロ・プリミ
第2回 多様性こそイタリアの真の魅力
 新刊『イタリアの美しい村を歩く』の著者・中山久美子さんと「イタリアの最も美しい村」協会のフィオレッロ・プリミ会長によるスペシャル対談。第2回はイタリアならでは村の魅力に迫ります。 

中山 イタリアは南北に細長く、全土にわたって「最も美しい村」が点在していますが、北部・中部・南部に分類すると地域ごとにどういった特色がありますか?

プリミ会長 イタリアの魅力は、まさにその多様性にあります。長い歴史の中でさまざまな民族に統治されてきたおかげで、約10万もの異なる文化が存在するといわれています。

「イタリアの最も美しい村」協会のフィオレッロ・プリミ会長

 北西部はフランス人、北東部はオーストリア人やドイツ人に統治されていましたし、北部のほぼ中央に位置するロンバルディア州はゲルマン系部族のロンゴバルド族が支配していた時代がありました。北部にある村だからといって必ずしも同じような文化を持っているとは限らないのです。
 中部の多くは教皇領でしたが、トスカーナ州はトスカーナ公国、中南部はギリシャ人やスペイン人に統治された歴史があります。同じトスカーナ州の中でも、北のルッカ県山間部と南のマレンマ地方では風土や文化がまったく違うのですから、北部、中部、南部の共通の魅力を語るのはもはや不可能です。
 困ったことですが、その答えを見つけるために、すべての村をまわってもらうしかなさそうですね(笑)。

中山 全村踏破するのはさすがに難しいですよね。でも、その多様性こそ、私が『イタリアの美しい村を歩く』を通じて伝えたかったことです。そのためこの本では、北は国境近くにあるヴィピテーノから南はイタリア半島最南端のカラブリア州にあるトロペアやプーリア州のロコロトンドまでを紹介し、できるだけ多様性の幅を持たせるように村を選定しています。

北部の国境近くにあるヴィピテーノ(本書36頁)

イタリア半島南端に近いロコロトンド(本書228頁)


プリミ会長 北部にあるヴィピテーノは話す言語がドイツ語ばかりで、同じイタリアとは思えない雰囲気ですよね。南部のプーリア州は白い家並みが特徴的なのですが、地方によって建物の様式が違います。同じ地方であっても村によっては勾配のある切妻屋根だったり、円錐形の屋根だったり。屋根の造り一つとっても近隣でこれだけ違うのですから、どこの村がおすすめか、いちばん魅力的かは、その人の興味がどこにあるかで答えは違ってきます。

中山 私はこの本で30の村を紹介しました、あまりにも選択の幅が広すぎて30に絞るのが本当に難しかったです。この村は食、この村は歴史、この村は伝統工芸、風景、宗教……といった具合に、読んだ人が30村の中から1つでも気になる村を見つけられるように工夫しました。
 しかも、私は車を運転しません。そのため大半の村へは公共交通機関を使うしか手段がありませんでした。海外で車を運転する日本人旅行者はまだまだ少数ですので、そういった意味でもこの本ではバスや電車などの公共交通機関を利用した旅ができる村をたくさん紹介できたと思っています。


プリミ会長 残念ながら交通の便が悪い村が多いのは事実です。これはタイムリーな話題なのですが、まさに今、イタリア鉄道と組んで、電車で行ける「イタリアの最も美しい村」のテレビ番組を製作中です。

新刊の表紙を飾る村、スペッロ(本書184頁)

中山 それは、村巡りを考えている日本人観光客に朗報です。旅行プランの参考になりますね。

プリミ会長 特に中部のウンブリア州は、比較的電車で行ける村が多いんですよ。例えば、カスティリオーネ・デル・ラーゴ、パッシニャーノ・スル・トラジメーノ、スペッロも……。

中山 スペッロは私も電車で行きました! 村の写真がこの本の表紙になっています(笑)。
 番組と言えば、ライ3(国営放送3チャンネル)で放送している「キリマンジャロ」のイースター特番をいつも楽しみにしていて、「最も美しい村」のコンテストで毎年どの村が1位を取るのか、注目しています。
 実は2021年に優勝したトロペアを訪れたのも、この番組を見たのがきっかけです。村の風景を映した映像が美しく、自分の目で確かめたくなりました。おかげで、この本にトロペアを掲載することができました。
(つづく)

テレビ番組のコンテストで2021年の第1位に選ばれたトロペア(本書240頁)


――交通の要所として栄えた都市に比べて、山間に立つ小さな村は訪れるのにもひと苦労。それでもなお、訪れるべき理由とは?

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トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、これまでに訪れた「イタリアの最も美しい村」の中から“忘れられない”30の村をセレクト。「飾らない、ありのままのイタリアを伝えたい」という思いから、電車やバスに揺られながらのローカルな雰囲気が楽しめる村を北部から南部までラインアップ。旅先での出会いやエピソードをちりばめながら、心に沁みる美しい村の魅力を綴る。

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【なかやま・くみこ】
兵庫県出身。ウェブサイト「トスカーナ自由自在」主宰。早稲田大学第一文学部西洋史学専修卒業。28歳でフィレンツェに留学し、のちに現地で結婚。現在はトスカーナ州の田舎で夫・息子2人と暮らしながら、取材・視察・ビジネス、旅のコーディネイトや通訳、ウェブサイトの執筆を手がける。2015年に開設した「トスカーナ自由自在」では各地の魅力を現地から発信している。

【フィオレッロ・プリミ】
「イタリアの最も美しい村」協会会長。ウンブリア州カスティリオーネ・デル・ラーゴ市長を歴任。同市長時代にイタリア自治体協会観光評議会に参加。「小さな市の部門」創設を提唱し、新たなツーリズムを提案。本協会の基礎を築いた。
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