味噌に魅せられ、全国各地の蔵元を探訪している実践料理研究家の岩木みさきさんが、食のプロとして自ら足を運んだからこそ見えてきた蔵人の素顔や、各地域で長く愛されてきた味噌の多彩で味わい深い魅力をひもとく新連載がスタート! 蔵元巡りのエピソードはもちろん、岩木さんが「最もこの蔵の魅力が出ている」とセレクトしたイチオシ味噌と、その味わいを生かした「おススメレシピ」も紹介していきます。
「みそ探訪家」として各地の蔵元をめぐる岩木みさきさん
“味噌”を話題にすると、実家のお味噌汁のこと、おばあちゃんが手作りしていておやつに味噌おにぎりを作ってくれた思い出、健康のために取り入れている、お味噌汁はホッとするから好き、そんなさまざまな話を聞くことができます。この記事を読んでくださっている皆さんも、一度は食べたことがあるでしょうか。そうだったらうれしいし、ぜひお会いして味噌エピソードを教えていただきたいです。
私は拒食症・過食症でふり幅30キログラム、ひどい肌荒れといった体質を食で改善した経験があります。“食べたもので身体はできている”と実感しているので、食の魅力を伝えたくて、料理家として活動することを10代で決めました。日々レシピを考案し撮影や料理教室をする中、30代を前に「日本の食文化を学びたい、自分だからできることをもっとしていきたい」と思うようになり、料理家業界で誰も追求していなかった味噌について深掘りすることを決め、2016年春に日本各地の味噌蔵を巡る「みそ探訪」を始めました。
味噌を仕込む木桶を見上げる(写真提供:岩木みさき)
自分の車を持っていない私が、自費で日本各地を巡るため選んだ交通手段は夜行バス。日本には現在約970社のみそメーカーがあるといわれています(全国味噌工業共同組合連合会 資料より)。私はその中で、正確な数を誰も知らず、希少と言われる伝統製法である木桶仕込みの味噌蔵を中心に巡ることにしました。この連載では、4年で約60カ所、回数にして100回以上、味噌蔵を訪ね歩いてきた記録と、600種の味噌を食してきた私が考えた味噌レシピを紹介していきます。
味噌は身近なようで、大豆・発酵食品・身体に良い……など片手で足りるキーワードしか出てこず、料理なら味噌汁専用と思われがちですが、地域性があり、歴史ある蔵や思いあふれる造り手の皆さんはとても魅力的で、和食以外にも幅広く活用できます。
日本の大切な味のひとつだから、これから先も当たり前にあってほしい、日本人ひとりひとりが自分の言葉で伝えられるようになってほしいのです。
この連載を通して、味噌のある生活がより身近になってくれたらうれしく思います。
★岩木みさきさんが味噌との出会いや奥深い魅力について語るインタビュー「今こそ伝えたい、味噌の力」もぜひお読みください。
【実践料理研究家・岩木みさきのみそ探訪記】
http://misotan.jp