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美しいくらし
わたしの仕事道具 三光院「竹之御所流精進料理」後継者
西井香春
第2回 特注した備前焼のすり鉢

イラスト:高尾 斉


 精進料理は、つくるのも食べるのも修行。つくり手は、自然の恵みである素材を生かしておいしく食べてもらえるようにと、不要な音を立てずに一心に料理します。ゴマをするときも、豆腐や木の芽をするときも、気持ちをこめてひたすら集中する。だから、すり鉢は精進料理を象徴する道具なんです。

 これはもう20年以上愛用している備前焼。以前、フランス料理の教室を開いていたころ知り合った作家さんに特注したもので、ミゾが深いからよくすれるの。
 機能的で優れているのに、おおらかで自分を主張せず、どこに置いてもしっくりなじむ。なにより、使えば使うほどに色合いが深まってくる。「料理の過程が楽しくなければ、おいしいものはつくれない」がモットーで、厨房の道具も気に入ったものでそろえている私でも、こんなにすてきなものを独り占めするのはもったいない。ときには、お客さまの目の前で太い山芋をすってお出しします。それだけで、ごちそうになるでしょう? 
 精進料理は食べるのも修行のうち。天地の恩恵に感謝しつつ、つくり手の手間や労力を思いやりながらいただくので、なるべく音を立てずに食べます。だから、おしゃべりなんてもってのほか。でもこの時ばかりは別。思いがけない演出に、驚きの歓声が上がるんですよ。

(構成:白田敦子)

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☆東京・武蔵野にある臨済宗の尼寺「三光院」で精進料理を提供するかたわら、テレビの料理番組などでも活躍する香春さん。インタビュー【受け継ぎ、伝える精進料理】では、室町時代より伝わる竹之御所流精進料理後継者として、宮中の雅と禅の心が一体となった尼寺料理ならではの魅力や真髄について語っています。


【三光院のホームページアドレス】http://sankouin.com/

【イラストレーター:高尾 斉(たかお・ひとし)】
1951年島根県生まれ。Web、PR誌、会員誌、雑誌等などのイラストやデザインを手がける。趣味はベランダガーデニング、下手なフットサル。
[ホームページ]http://hitpen.net/
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【にしい・こうしゅん】
16歳で渡仏、フランス家庭料理と製菓を学ぶ。帰国後、六本木でフランス家庭料理教室やワイン会などを催す「ポ・ト・フー」を主宰。本名・西井郁の名前でテレビ、雑誌でも活躍する。NHK「今日の料理」にレギュラー出演し、フランス料理やハーブ料理の本も多数執筆。1993年、日本料理の原点を究めるため、東京・武蔵小金井の尼寺「三光院」の住職・香栄禅尼に師事。現在、竹之御所流精進料理を同院で提供するかたわら、NHK学園で精進料理教室の講師を務めるなど、継承・普及に情熱を傾けている。
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