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美しいくらし
わたしの仕事道具 「旅の食堂ととら亭」店主
久保えーじ
第3回 いつかは「これ」がいらない旅を

イラスト:高尾斉



 店では料理人の妻・智子が調理担当で、僕はホール担当兼皿洗い。でも、僕たち2人が旅先で出会った料理を再現して提供するのがコンセプトだから、旅もまた重要な仕事です。そんな僕にとってなくてはならない道具がアーミーナイフ。アジアやアフリカ、中東地域の開発途上国に行くことが多いし、なにしろ「節約」が基本だから、泊まる宿のレベルはご想像のとおり。ドアの鍵に窓の鍵、シンクの栓、ランプのソケットなど、誠に遺憾ながら、さまざまな不具合をこれ1本で応急修理してきました。

 アーミーナイフを使い始めたのはオートバイに乗り始めた10代後半。僕のツーリングはたいてい登山とセットでキャンプが中心だったから、必需品でした。今、使っているのは4代目。切る、刺す、つまむ、引っ掛けるなど多様な機能があり、とても精巧に作られています。
 あらためて手に取ってみると、智恵と工夫と汗と涙とこの1本で、よくぞ幾多の設備トラブルを乗りきってきたなぁ、と感慨もひとしおです。しばしばお客さまから、「そういう旅を楽しんでいるんでしょう」と言われますが、それは大きな誤解。いつかはアーミーナイフがいらない旅をしたい!――これが正真正銘の本音です(笑)。

(構成:川島省子)

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☆これまで出かけた国は70カ国以上、旅先で出会った料理の再現レシピは100以上!(2018年6月末現在)。大好きな「旅」を仕事にしてしまった久保さん夫婦が追いかけ続けているのが、世界のギョーザたち。トルコのマントゥ、アゼルバイジャンのギューザ……個性豊かなギョーザをめぐる旅と食のエッセイ、『世界まるごとギョーザの旅』を好評発売中です。

☆「ととら亭」のこだわりと、旅の食卓から見えてきたことを4回にわたって語る、久保さんのインタビュー記事「旅の食卓から世界が見える」も併せてご覧ください。


【旅の食堂ととら亭ホームページアドレス】http://totora.sakura.ne.jp/

【イラストレーター:高尾 斉(たかお・ひとし)】
1951年島根県生まれ。Web、PR誌、会員誌、雑誌等などのイラストやデザインを手がける。趣味はベランダガーデニング、下手なフットサル。
[ホームページ]http://hitpen.net/
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【くぼ・えーじ】
1963年神奈川県横浜市生まれ。ITベンチャー、商業施設の運営会社を経て独立。「旅の食堂ととら亭」代表取締まられ役兼ホール兼皿洗い。20歳のころからオートバイで国内を旅し、30歳からはバックパッカーに転身。いつかはリッチな旅がしたいと常に夢見ているが、いまだ実現していない。特技は強面の入国審査官などの制服組から笑いを取ること。妻・智子(ともこ)は1970年群馬県高崎市生まれ。食品成分分析会社、求人誌営業を経て料理業界へ転身。フランス料理、ドイツ料理のレストランで修業し、旅の料理人となる。見かけは地味だが、スリルとサスペンスに満ちたジリ貧の旅を好む。特技は世界中どこでも押し通す日本語を使った値切り。
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