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美しいくらし
わたしの仕事道具 「珈琲屋台 出茶屋」店主
鶴巻麻由子
第9回 出茶屋の味

イラスト:高尾斉



 コーヒー豆の色やふくらみをときおり確認し、パチパチと音がし始めたら「もうすぐですよ」の合図。お守り替わりのストップウオッチを手に、ベストのタイミングを見極めます。ふっくらと焼きあがった豆がザザーっと出てくる瞬間が最高に幸せ。一粒一粒がかわいくて……。

 コーヒー道具と火鉢と鉄瓶をリヤカーに積み、東京都小金井市で「珈琲屋台出茶屋」を始めたのが2004年。いつかは自家焙煎をしたいと思い続けてきました。その願いがかなったのは昨年の春。

 最初に屋台を出させてもらった花屋「ペタル」の森さんと、地元の小さなお店同士知り合ったカフェ「スプンフル」のマイさんとは、現在9店のメンバーで運営している「はけのおいしい朝市」の仲間です。
 スプンフルさんは、10年前に子どもの頃から慣れ親しんだ昔ながらの集合ストアー「丸田ストアー」の一角にお店を構えていました。長く続けていた丸田ストアーの魚屋さんが閉じたとき、スプンフルさんがとても大切にしている丸田ストアーにやはり生鮮のものがあったらうれしい、花と珈琲を丸田ストアーでやらないかと声をかけてくれました。

 一度お店を閉じ、店を持たずに仕事をしていた森さん。
 「ペタルさんのお店を再び見たい」「次に新しい場所を構えるときは焙煎を始めたい」と考えていたとき、ペタルさんのご紹介で丸田ストアーの内装をやってくれた大工のYさんから「丸田ストアーで始めるなら焙煎機貸すよ」の言葉が。
 屋台を始めたときから今までの縁がつながって出会えた焙煎機なのです。

 そうして「丸田ストアー」に、ペタルさんと隣同士、店を構えることができました。
 この焙煎機は持ち主のYさんが長い間大切に使っていたものですが、届いたときはピッカピカ。Yさんが丁寧にメンテナンスをしてくださったんです。

 練習すること数カ月。約14年間、その味が大好きでずっと焙煎をお願いしていた「珈琲屋香七絵」さんのマスターに“合格”をもらって自家焙煎を開始してから、ほぼ1年になります。生豆から選べるのも面白いし、どこで作られた豆がどのように焼かれたかをお客さまに説明できるのもうれしい。2月には初めてのオリジナルブレンド、バレンタイン・ブレンドが出来ました。

 この焙煎機と、コーヒーの奥深さや魅力をさらに発見していくのが楽しみです。

 季節の風や空気を感じながら飲む「出茶屋の味」を求め続けながら、食べ物や季節に合わせた新しい味づくりにも挑戦したいです。


鶴巻麻由子さんの著書&関連記事



☆リヤカー屋台の小さなお店「珈琲屋台 出茶屋」を中心とした小金井の人々とのにぎやかな出来事や温かなふれあい、そして珈琲への想い――。鶴巻さんの人柄そのものの飾らないシンプルな言葉で語られる20のエッセイ『今日も珈琲日和』。好評発売中です。

☆日々大切に使っているコーヒーミルやドリッパーのこと。庄司さんという新しい相棒を得て、周りの人を巻き込んで始まった出茶屋の小屋作りのこと。書籍刊行後の鶴巻さんの新たな門出をつづったWEB連載エッセイ「珈琲道具を屋台に積んで」も併せてご覧ください。

【「珈琲屋台 出茶屋」のホームページアドレス】
http://www.de-cha-ya.com/
【「珈琲屋台 出茶屋」のFacebookページ】
https://www.facebook.com/dechaya.koganei/

【イラストレーター:高尾 斉(たかお・ひとし)】
1951年島根県生まれ。Web、PR誌、会員誌、雑誌等などのイラストやデザインを手がける。趣味はベランダガーデニング、下手なフットサル。
[ホームページ]http://hitpen.net/
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【つるまき・まゆこ】
1979年千葉県生まれ。2004年に東京都小金井市に移り住む。同年、小金井市商工会が主催する「こがねい夢プラン支援事業」に応募し、珈琲屋台のプランが採用。火鉢と鉄瓶で小金井の井戸水を沸かし、道行く人に1杯ずつ丁寧に淹れた珈琲を飲ませる「珈琲屋台 出茶屋」を始める。現在は小金井市内で、「珈琲屋台」「丸田ストアー焙煎所」「出茶屋の小屋」の3つの形で営業中。詳細は「珈琲屋台 出茶屋」のホームページを参照。
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