健康な体づくりとともにハイヒールで美しく歩く方法を伝える松尾さんが、ウォーキングスクールを立ち上げようと思ったきっかけ。それは、パリの女性との出会いにあります。歩き方の基本はモデル時代に学んだ
大学在学中にミスワールド全国大会で入賞し、モデルとして雑誌撮影、ファッションショーを経験しました。そのとき歩き方を学んだのですが、「誰もが普通にしていることを、わざわざ教えてもらう必要があるのかしら」と最初は驚きました。しかし、それを学んで実践することで、ファッションを見せるための美しい歩き方を身をもって経験しました。
このとき腹筋の大切さを知ったことも、私にとって大きなプラスとなりました。腹筋は体の肝心要の軸です。腹筋に力を入れると脊柱起立筋も鍛えられ、背骨がピッと伸びます。身体の軸が安定し、美しい姿勢を保つことができるようになります。そのとき以来私は、歩くときも座っているときも、常にこのことを意識してきました。ウォーキングスクールを立ち上げようと思った際、最初に考えたのは、長年守ってきたこの習慣をどのように伝えようかということでした。
ロールモデルとなったパリの女性
ハイヒールブランドで有名な「クリスチャン・ルブタン」パリの直営店
写真提供: 日本ソワサンタンウォーキング協会
20代後半に渡仏し、フランスマダムの美しさにカルチャーショックを受けました。特に60代、70代のシニア女性。街やレストランでお見かけするシニア女性の誰もが、ハイヒールを履き、デコルテを開け、あごを上げて堂々としているのです。その姿は、当時の日本のシニア女性に対するイメージとはかけ離れたものでした。その毅然とした姿に、自律している大人の女性の美しさと強さを感じました。しっかりとした考え方が外見に現れているのか、そのふるまいから自信をつけていったのかはわかりません。でも、内面と外見は密接に関係があると思ったのです。
いつか、絶対にこういう女性になるんだと強く思いました。私にとって、大人の女性のロールモデルとなったのです。とはいえ、どのようにすればそんな女性になれるのか,当時はまるでわかりませんでした。
パリのシニア女性がすてきな理由に、年長者に敬意を表す社会にいることと、女性を褒めてくれる男性がとても多いことが挙げられると思います。女性は褒め言葉のシャワーを浴びるといっそうきれいになるでしょう。パリの男性は、友人やパートナーはもちろん、街で出会う人でも言葉と態度で称賛してくれるんですよ。たとえば、レストランで席まで通されるとき、わざわざ立って敬意を表してくれる男性もいます。大人の女性として扱ってくれると、いっそう美しく装いたい、ハイヒールを履きこなしたいという気持ちが強くなっていくのです。
ハイヒールで女性を美しく元気にする
写真提供: 日本ソワサンタンウォーキング協会
若いときから実践してきた歩き方やフランスマダムの生き方を伝えたいという思いを、私はずっと持ち続けていました。「歩き方」といっても、ただ歩くのではなくハイヒールで歩くことを伝えようと思いました。私自身ハイヒールが大好きですし、それを履きこなすことで自分の気持ちがどう変わるのか、周りの人たちにどのように見られるかを経験してきたからです。
60歳を迎えるにあたって新しいことを始めようとは思っていましたが、全く畑違いではなく、これまでの経験を生かしたいと考えていました。イメージコンサルタントとしてファッションにかかわる仕事をしてきたので、年齢を重ねても女性を美しくするお手伝いをしたいという思いから、ハイヒールウォーキングのスクールを始めることを決断したのです。
次回は、松尾さんがハイヒールウォーキングを通じて皆さんに伝えたいことをうかがいます。(構成・正岡淑子)
【日本ソワサンタンウォーキング協会オフィシャルサイト】
http://www.60ans-walk.com/