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美しいくらし
旅のプロに聞く! 夏旅ベスト3 トラベル・ジャーナリスト
寺田直子
最終回 自分だけの上質な思い出を【海外編】
 『フランスの美しい村を歩く』の著者でトラベル・ジャーナリストの寺田直子さんに、この夏おすすめの旅を紹介してもらう連載インタビューの後編。前回の国内編に引き続いて、海外編をお届けします。比較的気軽に出かけられる国内旅行もいいけれど、やっぱり海外旅行も魅力的! 気になる国に行き、好きなものを食べ、泣いて、笑って、リフレッシュする――そんなぜいたくな夏旅をしたいものですね。


《トラベル・ジャーナリスト 寺田直子さんのおすすめ》

「フランスの最も美しい村」に認定されているガッサン
 海外旅行のトレンドになりつつあるのが、子育てにも終わりが見え始め、そろそろ自分のために使う時間も増えてくる50代前後の女性の一人旅です。この世代の女性は、若いころ積極的に海外旅行を楽しんだ経験を持つ人が多いんです。そのため定番の観光地よりも、博物館や美術館、手工芸品や民族舞踊など、自分の興味関心に沿った“テーマのある旅”を楽しむ人が多いですね。4月からは6年半ぶりに燃油サーチャージが無料になったことに加え、円高も進んでいることから、今年の夏は海外旅行に行きやすい環境だといえるでしょう。家族や友人と一緒もいいけれど、たまには一人旅もいいものですよ。
 とはいえ、海外へ行く際には今まで以上に危機管理を徹底することも大事です。そこで私がおすすめするのが、外務省の「たびレジ」という専用サイト。旅行日程や滞在先、連絡先などをあらかじめ登録しておくと、滞在先の最新渡航情報や緊急事態発生時の連絡メール、いざというときの緊急連絡などが受け取れます。万が一に備えて、海外旅行傷害保険に加入することも忘れずに。安全に旅を楽しんで、自分だけの上質な思い出をつくってください。
【外務省海外旅行登録サイト「たびレジ」】
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/


? 開放的なバカンス気分を満喫
南フランス、コート・ダジュール

映画『レ・ミゼラブル』のロケ地にも選ばれたグルドン
 『フランスの美しい村を歩く』の著者として、まずはフランスを推薦させてください(笑)。魅力的な観光地がたくさんある国ですが、夏に旅をするのなら南フランス! 輝く太陽と真っ青な海が広がるコート・ダジュールをおすすめします。せっかく日本からはるばる行くのですから、一番美しい季節に訪問するのは旅の王道。地元の人も観光客もバカンスを楽しんでいる夏は、街全体が開放的な気分に包まれています。
 夏は21時ごろまで明るいので、観光に割ける時間が長いのも魅力。コート・ダジュールの中心にあるニース周辺には、「フランスの最も美しい村」に認定されている3つの村――グルドン、コアラーズ、ガッサンがあるので、こちらもぜひ訪れてほしいですね。「美しい村」への移動にはレンタカーが必要になりますが、それでは不安という人は現地のツアー会社を利用するのもいいでしょう。ニースには日本語で対応してもらえるツアー会社もあり、現地発着ツアーや車やガイドのチャーター手配などにも応じてくれます。3、4人のグループで利用すればそれほど費用はかかりませんよ。


? レトロな街並みを楽しむのなら今!
キューバ

キューバ
 “カリブ海の真珠”と呼ばれるキューバは、文豪ヘミングウェイも愛したラテンアメリカの国。昨年、54年ぶりにアメリカとの国交回復を果たしたことで、観光面での注目も集まっています。
 首都ハバナ旧市街の魅力は、スペイン統治時代のコロニアル建築が立ち並ぶレトロな街並み。1950年代のクラシックカーが今も現役で走り回り、まるでタイムスリップしたかのような感覚を楽しめます。
 でもこの景色を眺めることができるのも、あとわずかになりそうです。国交回復により、これまで制限されていたアメリカとの物流が改善され始めたからです。早ければ年内にも、ニューヨークやマイアミからの直行便も飛ぶ予定となっています。観光客が増え、アメリカ資本のホテルやサービスなども続々と入ってくるようになれば、ハバナの魅力の一つでもあったノスタルジックな雰囲気もあっという間に消えてしまうでしょう。だからこそ、キューバに行くのはそのギリギリ前、今年の夏がチャンスなのです!


? 世界遺産の美しい街並み
バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)

エストニアの首都タリン(上写真)とボルシチ
 特に女性の夏旅におすすめしたいのが、北欧・フィンランドの南側に位置するバルト三国――エストニア、ラトビア、リトアニアです。北欧というと遠く感じるかもしれませんが、実はフィンランドの首都ヘルシンキは日本からは一番近いヨーロッパなんですよ。日本からフランス・パリまでは飛行機で約12時間かかりますが、ヘルシンキまでは約10時間半。そこから飛行機を乗り継いで30分ほどでエストニアの首都タリンに到着します。時間に余裕があれば、バルト海をフェリーで渡るプランもいいですね。
 見どころは、いずれも世界遺産に登録された旧市街。まるでおとぎ話から抜け出たような、中世の面影を残す街並みに出会えます。手編みのセーターや靴下、木工品、革製品などの手工芸品は観光客に大人気。ヨーロッパ諸国と比較すると物価が安いので、ついついお財布のひもも緩んでしまいます。ちなみにバルト海の周辺国の夏の味といえば、ビーツを使った冷たいピンク色のボルシチ。フェンネルとサワークリームがトッピングされていて、さっぱり、さわやか。乾燥している喉を潤してくれます。


取材を終えて
 おしゃれなビーチリゾートのコート・ダジュールに、ノスタルジックな気分を楽しめるキューバ、そして中世の面影を残すバルト三国……。いずれも“この時期ならでは”の魅力があふれる観光スポットばかり。さすが“旅のプロ”の寺田直子さんです。前回、国内編のインタビューをした際には「今年の夏は家族みんなで北海道!」と思っていましたが、「やっぱり海外一人旅もいいな~」と、またまた悩み出してしまいました。なにはともあれ、夏はもうすぐ。ボン・ボヤージュ(よい旅を)!
(構成:岩本薫子、写真提供:寺田直子)

*この記事は、株式会社リビングくらしHOW研究所が運営するライター・エディター養成講座「LETS」アドバンスコース17期生の修了制作として、受講生が取材、撮影、編集、校正などを実践で学びながら取り組んだものです。
【ライター・エディター養成講座「LETS」のホームページアドレス】
http://seminar.kurashihow.co.jp/lets



※WEB連載原稿に加筆してまとめた寺田直子さんの旅行エッセイ(『フランスの美しい村を歩く』を好評発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。WEB連載「いつか訪ねたい世界の美しい村」はこちらをご覧ください。
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【てらだ・なおこ】
トラベルジャーナリスト。東京生まれ。日本及びシドニーでの旅行会社勤務を経て、フリーランスライターとして独立。旅歴約40年。訪れた国は約100カ国。ホスピタリティビジネス、世界の極上ホテル&リゾートに精通。雑誌、週刊誌、ウェブ、新聞などに寄稿するほか、ラジオ出演や講演など多数。豊富な取材経験を活かし、インバウンドを含め日本の地方の活性化、観光立国化に尽力、関連セミナー、ワークショップ、講演などに登壇するほか、山口県観光審議委員(~2017)、青森県の観光アドバイザーを務める。2013年、第13回フランス・ルポルタージュ大賞インターネット部門受賞。JATA ツアーグランプリ審査員(~2018)。Yahoo!Japan ニュース・エキスパートとして「サスティナブル」「レスポンシブル・ツーリズム」を軸に最新の旅トレンドを発信中。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)、「ロンドン美食ガイド」(日経 BP 社 共著)、「イギリス庭園紀行」(日経 BP 企画社、共著)、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。「ホテルブランド物語」は韓国で翻訳出版され、ホテリエたちの教本的存在になる。現在、東京都・伊豆大島を拠点に執筆のかたわら古民家カフェ Hav Cafe を運営。
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