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美しいくらし
旅のプロに聞く! 夏旅ベスト3 トラベル・ジャーナリスト
寺田直子
第1回 家族で感動体験を共有しよう【国内編】
 梅雨が明ければ、まぶしい夏がやって来ます。長期休暇が取りやすく、子どもの学校も夏休みに入るこの時期を利用して、旅に出たいと思っている人も多いのでは? そこで、『フランスの美しい村を歩く』の著者でトラベル・ジャーナリストの寺田直子さんに、この夏おすすめの旅をインタビュー。年間150日は国内外のホテルに宿泊しているという“旅のプロ”の視点から、今注目のスポットを紹介してもらいました。今回は国内編をお届けします。


《トラベル・ジャーナリスト 寺田直子さんのおすすめ》

 国内旅行は海外旅行よりも若干の割高感がありますが、北陸新幹線と北海道新幹線の開通やユニバーサル・スタジオ・ジャパンの新アトラクションオープンなどの話題が相次いだこともあって、この夏も高い人気を誇っています。特に子どもがいるファミリー層は、安全面を考えて国内旅行を選ぶ人も増えています。国内線のLCC(格安航空会社)を活用したり、繁忙期をちょっとずらして休暇を取るなどの工夫をすれば、お金をあまりかけずに旅をすることも可能でしょう。
 今回ピックアップした国内旅行のおすすめ3スポットは、“体験”を重視した場所ばかりです。普段は仕事や家事で忙しいパパやママも、子どもとじっくり遊べる夏休み。家族で感動体験を共有して、かけがえのない思い出を作ってください。

? 一期一会の絶景に出会える
星野リゾートトマム「雲海テラス」(北海道)

幻想的な風景が広がる「雲海テラス」(写真提供:寺田直子)
 スキーリゾートとして有名なトマムですが、6~9月ごろに見ごろを迎える雲海が夏の観光スポットとして人気を集めています。雲海を見るためには、早朝のまだ暗いうちからゴンドラに乗って山頂駅にある「雲海テラス」へ。運がよければ、白いじゅうたんを一面に敷き詰めたような幻想的な風景を間近に眺めることができます。
 気温や風向きなどに左右される雲海にはさまざまなパターンがあり、その日その日で全く違う表情を見せてくれるのも魅力。まさに一期一会の絶景です。出会える確率は3~5割程度、場合によっては見られないこともありますが、そのドキドキ感も旅の醍醐味ではないでしょうか。「雲海テラス」には展望デッキのほか、コーヒーや軽食を味わえるカフェや散策路もあるので、のんびりと朝のひとときを楽しめます。
【星野リゾートトマム「雲海テラス」のホームページアドレス】
http://www.snowtomamu.jp/unkai_terrace/


?真新しい船に乗って世界遺産の島へ
小笠原諸島・父島(東京都)

7月2日に就航する新「おがさわら丸」
(写真提供:小笠原海運株式会社)
 東京の竹芝客船ターミナルからはるばる1000km、2011年に世界自然遺産に登録された小笠原諸島には、亜熱帯ならではの雄大な自然や固有の生き物、文化などの見どころが数多くあります。でも、この夏は島への唯一の交通手段である定期船にも注目してほしいですね。実は、3代目となる新「おがさわら丸」が7月2日に就航するのです。個室や寝台数を増やしてプライベート空間を重視した新造船は、高速化も実現。航海時間をこれまでより1時間30分短縮させて24時間としたことで、旅の利便性も高まりました。
 ピッカピカの船で太平洋の大海原に浮かぶ離島へ――まさに今しか体験できないぜいたくだと思いませんか? ちなみに、外洋を航海中はインターネットやメールを使用することができません。でも、だからこそ、スマートフォンやパソコンの画面に注意を払う必要もなく、目の前にいる家族や大切な人とじっくり向き合えます。満天の星空を見上げながら話せば、いつもは恥ずかしくて言えないことも素直に口に出せるかもしれませんよ(笑)。
【「新おがさわら丸」(小笠原海運)のホームページアドレス】
http://www.ogasawarakaiun.co.jp/


? 港町ならではの体験プログラムが充実
「ちょいのぞきin気仙沼」(宮城県)

函屋さんならではの技を間近で見学できる(写真提供:寺田直子)
 食べて、飲んで、泊まって、お土産を買うことで、そのお金が地元の人々に届いて復興につながる――。東日本大震災からの復興途中にある東北に、この夏も引き続き注目しています。私自身も仕事やプライベートで何度も東北に足を運んでいますが、特におすすめなのが、気仙沼で月1回開催されている体験型イベント「ちょいのぞきin気仙沼」。気仙沼観光コンベンション協会が主催するこの催しは、学んで楽しめるプログラムが勢ぞろい。函屋(はこや)さんや氷屋さんなど、港町ならではの仕事の現場にも潜入できます。
 1プログラム1000円程度と手軽に参加できるのも魅力ですが、とにかく働く姿がみんなカッコいい(笑)。自分の頭の上まで高く積み上げた発砲スチロールの箱を、バランスよく持って移動させる函屋さんの姿に、私はグッときました。周辺には温泉もあるので、ゆっくり泊まって新鮮な魚も存分に味わってください。
「ちょいのぞきin気仙沼」のホームページアドレス】
http://cyoinozoki.jp/


――今年の夏は、3月に開業したばかりの北海道新幹線に乗って函館に行くつもりだった私。でも、寺田さんからおすすめスポットを教えてもらっているうちに、家族みんなで“トマムの雲海”を見て感動するのもいいな~と思い始めました。私の心は今、まるで雲海のように揺れ動いています。「どこに行こうか?」と場所選びに悩むひとときも、旅の楽しみの一つなのかもしれませんね。次回は海外編をお届けします。
(構成:岩本薫子)

*この記事は、株式会社リビングくらしHOW研究所が運営するライター・エディター養成講座「LETS」アドバンスコース17期生の修了制作として、受講生が取材、撮影、編集、校正などを実践で学びながら取り組んだものです。
【ライター・エディター養成講座「LETS」のホームページアドレス】
http://seminar.kurashihow.co.jp/lets



※WEB連載原稿に加筆してまとめた寺田直子さんの旅行エッセイ(『フランスの美しい村を歩く』を好評発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。WEB連載「いつか訪ねたい世界の美しい村」はこちらをご覧ください。
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【てらだ・なおこ】
トラベルジャーナリスト。東京生まれ。日本及びシドニーでの旅行会社勤務を経て、フリーランスライターとして独立。旅歴約40年。訪れた国は約100カ国。ホスピタリティビジネス、世界の極上ホテル&リゾートに精通。雑誌、週刊誌、ウェブ、新聞などに寄稿するほか、ラジオ出演や講演など多数。豊富な取材経験を活かし、インバウンドを含め日本の地方の活性化、観光立国化に尽力、関連セミナー、ワークショップ、講演などに登壇するほか、山口県観光審議委員(~2017)、青森県の観光アドバイザーを務める。2013年、第13回フランス・ルポルタージュ大賞インターネット部門受賞。JATA ツアーグランプリ審査員(~2018)。Yahoo!Japan ニュース・エキスパートとして「サスティナブル」「レスポンシブル・ツーリズム」を軸に最新の旅トレンドを発信中。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)、「ロンドン美食ガイド」(日経 BP 社 共著)、「イギリス庭園紀行」(日経 BP 企画社、共著)、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。「ホテルブランド物語」は韓国で翻訳出版され、ホテリエたちの教本的存在になる。現在、東京都・伊豆大島を拠点に執筆のかたわら古民家カフェ Hav Cafe を運営。
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