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食べるしあわせ
おだんご先生のお団子講座 帝京平成大学助教(現:十文字学園女子大学講師)
芝崎本実
最終回 おだんご先生に真相を聞く!
 旅に出れば、その土地ならではの味を求め歩く“お団子ツアー”を決行するほどお団子を愛してやまない芝崎先生。「食べる前に、じっくり眺めてほしい」とまで言い切る、その真相とは? おいしいだけじゃない、深いお団子愛の核心に迫る最終回! これを読めば、お団子との付き合い方が変わるかもしれません。

――芝崎先生はなぜそこまでお団子に魅了されるのでしょうか?

 一期一会でしょうか。お団子は、季節ごとの催事や年中行事、地域の風習や食文化とも深く関わり、つくり手の思いも詰まった食べ物です。その時、その土地の味に出会う楽しさや、季節の移ろい、歴史、土地柄、店の背景など、お団子1本から想像できるところに深い魅力を感じています。
 最近は、餡の種類が増えたり、串に刺さないでカップに入れたりと、食べ方の多様化が進み、時代のニーズに合わせた将来性も見えてきています。


――進化するお団子も楽しみですが、昔ながらのお団子も大切にしていきたいです。最近のお団子屋さん事情はどうですか?

 悲しいことに、取り扱う和菓子屋さんが減ってきています。「お団子ありますか?」と尋ねると、「やめちゃったんだよね」と答える店が多くて、お団子を取り巻く環境は厳しいです。
 もっちりと弾力のある歯ごたえはお団子の醍醐味ですが、生地づくりにはかなりの手間と技術を必要とします。手間がかかるのに単価が安い。そのうえ、保存料などの添加物を入れないでつくると日持ちがせず、時間が経つと硬くなってしまう。素材本来の持ち味を生かしてつくれば硬くなるのが正解なのですが、それがマイナスに捉えられてしまうと、残念です。 

――おいしいお団子を守るために私たちにできることはありますか?

(写真:編集部)

「1本だけ買うのはお店に悪いかな」とつい遠慮してしまいがちですが、そんなことはありません。たった1本でも気軽に買って味わってみてください。お店の方はお客さんが来てくれて、食べておいしかったと言ってくれることがうれしいはず。まずは和菓子屋さんやお団子屋さんに足を運んでもらいたいですね。
 そして、食べるときに一息ついて少しの間、眺めてほしい! そうやってお団子自体にもっと愛着を持ってもらえると、お団子の未来はきっと明るくなると信じています。

――お話を聞いていたら、お団子が恋しくなりました。最後に、今後の抱負を教えてください。

(写真:編集部)

 お団子の地域性や特徴をまとめた資料やマップなどのさまざまなツールを用意して、国内だけでなく、海外の方にも日本のお団子文化を楽しんでいただきたいですね。
 自分で必ずお店に行って食べることポリシーにしているので、新規開拓をしたくてうずうずしていますが、今はちょっと我慢。1日も早く全国各地のお団子を食べ歩ける日が戻ってくることを願っています。(おわり)

 岡山出身の私にとって、お団子といえば桃太郎の「きびだんご」。地元銘菓のイメージが強すぎて、どうしてもお団子屋さんの存在がピンとこなかったのですが、芝崎先生にお会いして、遅まきながら知ってしまったお団子の魅力! 味だけじゃなくて形や残り香、地域性までも楽しめる、おだんご先生伝授の“お団子”がマイブームになりそうです。

〇〇〇— おだんご先生おすすめのお団子を紹介!〇〇〇—

全国500店もの食べ歩きの中から特に印象に残ったお団子屋さんを毎回紹介してもらいます。

【虹だんご】

住所:埼玉県越谷市相模町6-442
(大相模不動尊大聖寺境内)

「1串3玉で、1玉のサイズが大きいのですが、おいしいからするっと食べられます。店の佇まいにも風情を感じます」


(写真提供・芝崎本実、構成・狭間由恵)

◇日本各地のお団子屋さんを紹介したサイト「おだんご日和」はこちら→〇〇〇—
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【しばさき・もとみ】
埼玉県生まれ。管理栄養士、製菓衛生士、調理師、食育指導士、フードスペシャリスト。製菓学校在学中に和菓子の美しさに魅了され、卒業後、和菓子店の製造に従事し、四季折々の和菓子を学ぶ。その後、茶席用和菓子の注文制作、メーカーの商品開発などを手がけるほか、和菓子の講習会や親子対象の食育和菓子講習会なども開催。2022年4月から十文字学園女子大学人間生活学部食物栄養学科の教員として管理栄養士の育成に携わりながら、和菓子を研究。好きなお団子の普及活動を行っている。著書に『おだんご先生のおいしい!手づくり和菓子』<冬><秋><夏><春>(童心社)、『あんこのことがすべてわかる本』(誠文堂新光社)など。
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