
トークショーは2月2日と3日に開催。るーは初日に取材しました~

『あんずのあいうえお』
本体3,000円+税
こんにちは~。「かもめの本棚」広報宣伝担当・カモメのるーです! 版画家・蟹江杏さん待望の新作絵本『あんずのあいうえお』(東海教育研究所)が全国の書店で販売になったけど、もう手に取ってもらえたかな? 今回ボクが取材したのは、一般販売に先立って1月30日~2月5日に開催された「蟹江杏作品展~『あんずのあいうえお』絵本原画展」。会場となった伊勢丹新宿店本館5階のアートギャラリーで、2月2日に実施されたトークショーの模様をレポートします! 「あ」は「あんずのはな」、「い」は「いぬ」というように、ひらがな50音の頭文字を持つ花や木、動物などが、ページをめくるたびに生き生きと飛び出してくる『あんずのあいうえお』。その創作の舞台裏に迫るトークショーのお相手は、1973年に日本初の「子どもの本専門店」として名古屋に誕生し、昨年惜しまれながら45年の歴史に幕を閉じたメルヘンハウス2代目の三輪丈太郎さんです。杏さんの高校の先輩という間柄で、今回の絵本の帯にステキな推薦文も書いてくれたんだよ。どんな話が聞けるのか楽しみ~。

トークショーは立ち見が出るほどの盛況ぶりだったよ!
赤ちゃんを抱いたお母さんから年配の男性まで約40人が期待を込めて見つめる中、笑顔で登場した杏さん。「幼いころから『ワイルドスミスのABC』(ブライアン・ワイルドスミス作※絶版)が大好き。何度も読み返していたこの絵本の日本語版を、いつか自分で作りたいとずっと思っていたんです」と、創作のきっかけを教えてくれました。
す、すごい……子どものころからの思いを実現したんだね。尊敬しちゃいます!

ワイルドスミスのABC絵本への愛が詰まった一冊とはいえ、ダイナミックなのに繊細に描き出された杏さんの「あいうえお絵本」は、見る人の心を空想の世界へと誘う、まさに唯一無二の“あんずワールド”。「特に面白いと思ったのは、横でも縦でも斜めでも、どんな見方でも自由にできること」と三輪さんは指摘します。
アッ、言われてみれば確かにそのとおり! 縦長の原画が絵本では横向きにレイアウトされていたり、原画の一部だけがアップになっていたり……。「これはなんだろう?」「どこから見るのかな?」なんて、自分だけの楽しみ方や読み方が自由にできるんだ! こんな大事なことにいち早く気づかせてくれるなんて、さすが元書店員さん!

「大人は『字を読み、絵を見る』という考え方をしますが、子どもは違う。子どもたちの捉え方は『絵を読み、字を見る』なのです。この本は、まさにそれができる一冊」という三輪さんの言葉に、大きくうなずくボク。
そして、その言葉をなんだかうれしそうに聞いていた杏さんは、「あいうえおの50音は“お勉強する”ものではありません。あいうえおって、こんなに美しいんだよ、きれいなんだよ、かわいいんだよと、この絵本を目にする人が思ってもらえることを心から願っています」と話してくれました。
「子どもはもちろんだけど、アートブックという側面から考えると、大人にとっても見ごたえのある絵本。大切に、一人でも多くの子どもや大人に手渡していきたいと思える絵本に出会えて、僕自身もとてもうれしく思います」と、トークショーを締めくくった三輪さん。杏さんにとっては3冊目の絵本となる『あんずのあいうえお』が、版画家・蟹江杏の新たなスタートになった予感がしたのは、きっと、るーだけではないはずです。
さて、杏さんの新作絵本
『あんずのあいうえお』はただ今、全国の書店にて好評発売中! ぜひ手に取って、杏さんならではの“ことばの世界”を旅してみてネ。ちなみに、「か」のページは「かもめ」の版画なのですが、残念ながらモデルはボクではありません……。(おわり)

杏さんと三輪さんと一緒に記念撮影!

会場内では絵本の先行発売もしました
※上記イベントは終了しました。