『今日も珈琲日和』出版記念・平林秀夫挿画展「コトバと言葉の間」が、1月5~11日に東京・小金井市で開催されました。会場となったのは、エッセイの中でも登場する推定築50年の木造平屋一軒家「平林家」です。軒先には著者・鶴巻麻由子さんの「珈琲屋台 出茶屋」もオープン。会期中は平林さんの原画や鶴巻さんの珈琲を楽しみに、大勢の人が訪れました。今回はインタビューの「特別編」として、この挿画展の模様をお伝えします。
※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『今日も珈琲日和』を好評発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。WEB連載「今日も珈琲日和」はこちら、著者・鶴巻麻由子さんと挿画を担当した平林秀夫さんの対談記事はこちらです。
訪れた人は親戚の家に招かれたような雰囲気の中で、ゆっくりと原画を鑑賞していました。写真左が平林さん
挿画展の開催にあたり、平林さんは昨年末から「原画をどう見せるか?」についてさんざん悩んだといいます。試行錯誤を経てたどり着いたコンセプトは “本を見るように原画を展示する”こと。「見るだけでなく、読むことで、“言葉”と“挿画”のつながる部分を楽しんでほしい」という気持ちを込めて、「鴨居ギャラリー」に原画を展示するだけでなく、自分で作ったシンプルな木製の額に一枚ずつ原画を収め、それに扉をつけて一冊の本のようなスタイルで飾ることに決めました。
「鶴巻さんのエッセイから抜き出した言葉とともに原画を飾っていくうちに、自分が思い描いた空間が少しずつ形になってきました」と振り返ってくれました。「鶴巻さんの過去から、小金井の日常、屋台の話へと、ストーリーを絵だけで関連づけることができたのが面白かったですね」

会期中は作品や展示のコンセプトについて説明するなど、来場者と積極的に話をしたという平林さん。すると、なにげない会話の中から「もしかして、○○さん知ってる?」と、意外な接点が発覚したことも(!)。「人が集まると、いろいろなことが起こるもんですね(笑)」。人の縁をあらためて感じる場面もあったそうです。

一方の鶴巻さんは、「エッセイを読んでくださった方から直接、感想を聞くことができて不思議な感覚でした」と、読者との交流がうれしかった様子。「私が本を書くときに自分の人生を見つめ直したように、皆さんもそれぞれの人生を重ね合わせて、何かを感じてくれたのではないかと思います」と、今の気持ちを素直に語ってくれました。

平林さんのこれまでの作品も展示されていました
鶴巻さんのエッセイ『今日も珈琲日和』をひも解くような世界感が広がっていた平林さんの挿画展。珈琲と武蔵小金井の人たちが織りなす温かい日常に、こっそりおじゃましたような気分になれました。
(構成:狭間由恵)
【平林さんのお絵かき教室のホームページアドレス】
http://kyklopsketch.jimdo.com/【「珈琲屋台 出茶屋」のホームページアドレス】
http://www.de-cha-ya.com/