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美しいくらし
記念対談:ニースっ子が語る南仏の素顔 マイ コートダジュール ツアーズ社長×落語パフォーマー
ルモアンヌ・ステファニー×シリル・コピーニ
第2回 地元っ子のおすすめスポットとご当地グルメ
 新刊『ニースっ子の南仏だより12カ月』の著者ルモアンヌ・ステファニーさんと、同じくニース出身のシリル・コピーニさんの特別対談。第2回は、地元っ子の二人がおすすめする穴場&定番スポットやご当地グルメ、郷土愛ゆえの食のこだわりについて語り合います。

――本の中でもたくさんの見どころが紹介されていますが、お二人の「ニースに行くならぜひここを訪ねてほしい!」というスポットを教えてください。

ステファニー 普段の買い物でよく行くのは、ニース中心部から少し北にあるリベラシオン地区です。ここのマルシェは観光客向けではないので、お土産も全く売っていません。現地の人がたくさんいて、本当の地元の暮らしに触れることができるので、カフェに座って町の様子を眺めているだけでも楽しいですよ。

シリル リベラシオンは数年前に再開発された地区で、町が生き生きしているよね。ニース中心部からはトラム(路面電車)で数駅、歩いても15分くらいで行ける距離にあり、駅も改修されてきれいです。新市街と旧市街の境にあるガリバルディ広場もすごくいいですよ。おいしいお店がたくさんあるし、こちらもトラムが走っているので便利です。

――もう少し範囲を広げて、コート・ダジュールにはどんなおすすめスポットがありますか?

ステファニー ニースから電車で15分ほど東に向かった場所にあるヴィルフランシュ・シュール・メールはすごくおすすめ。海が美しい港町で、中世の城壁や要塞が残る旧市街は歴史を感じさせてくれます。旧市街の路地はとてもかわいらしいので、ぜひ散策してみてください。

シリル 僕はヴァ―ル県が大好き。ニースがあるアルプ=マリティーム県の隣県です。小さな村がたくさんあって、静かで、人も温かい。ニースから車で1時間半くらいなので、半日観光でも1泊2日でも楽しめます。

ステファニー コート・ダジュールよりも緑が多いですよね。「フランスの最も美しい村」に選ばれた村もいくつもあります。にぎやかな観光地から少し離れたいと思ったら、ヴァ―ル県はおすすめですね。

南仏発祥のペタンクは国民的スポーツ(写真:ルモアンヌ・ステファニー)

シリル 村の暮らしで特に楽しいのが夏の夜。涼しくなる夕方5時ごろから夜10時くらいまで、無料の音楽ライブをしたり、ペタンクの大会をしたり、いろんな遊びをしながらのんびり過ごすんです。フランス発祥の球技・ペタンクは、フランス人に非常に親しまれているスポーツで、並々ならぬペタンク愛を持つ人も少なくありません。かく言う僕もその一人。日本でもフランス人と日本人と一緒になってやっています。

ステファニー ペタンクはルールも簡単で大人から子どもまで参加できるのがいいですよね。数年前に息子と京都を旅した際、鴨川沿いでペタンクをしているご婦人たちのグループに偶然出会って、飛び入りで参加させてもらったことがありました。日本語が話せない息子にとっても、とてもいい思い出になりました。

シリル ペタンクは大事なコミュニケーションツールでもあるよね。そうした村の暮らしが味わえるヴァール県は、ぜひ行ってみてほしい場所です。とはいえ、初めてニースを訪れる友人には、やはり定番のモナコなどもおすすめします。モナコは大公宮殿の衛兵交代式などの見どころもあるので、連れていくと喜んでもらえますからね。モナコとニースの間にあるエズ村も南仏観光では外せないスポットなので、朝からモナコへ行き、エズに寄ってニースに帰るのが僕のおすすめコースです。

ステファニー エズ村は皆さん大好きですよね。私もツアーを組むときは、リクエストがなくても「行ったことがないならぜひ」とお連れしてしまう場所です。初めて南仏を訪れるならニース、エズ、モナコは見てほしいなと思います。

――旅に欠かせない 「食」についてもニースっ子のおすすめを教えてほしいです。

シリル やはり名物の「ソッカ」ではないでしょうか。ひよこ豆の粉で作ったガレットです。ニースの“粉もん”やね(笑)。ソッカチップスもおいしいですよ。お酒好きな方には特におすすめ。ニースではスーパーマーケットなどで普通に売っています。

ステファニー ソッカは日本の“屋台の焼きそば”のようなイメージ。家で一人で食べるというより、皆でお祭りやマルシェに行ったときに食べ歩きするものです。ただ、最近は「ソッカキット」なるものもスーパーで売っていて、人気を集めています。もう一つの私のおすすめは、アンチョビとオリーブを載せたタマネギのタルト「ピサラディエール」。日本の皆さんも好きな味だと思います。 

シリル ピサラディエールは、きつね色になるくらいにカリッと焼いてあるとおいしいよね。アンチョビを載せるかどうかは好み次第かな?

ステファニー 肉詰め野菜の「ファルシー」もよく知られたニース料理ですが、いろいろなバージョンがありますね。「キノコは絶対に使わない」とか「ジャガイモも入れる」とか、家庭によってこだわりがあるんです。私のマミー(おばあちゃん)のこだわりは、肉ではなくハムを使うこと。レストランのファルシーには子牛の肉などが使われるのが一般的ですが、マミーのファルシーは家族や近所の人にも大人気。私もなじみのあるマミーの味がいちばんおいしいと思っています。

シリル 家庭では基本的に母親のレシピを引き継いでいくので、それが代々の家の味になっていくんですよね。僕もピサラディエールはお母さんの味以外はちょっと食べられないな(笑)。

本場のニース風サラダ

――ちなみに、ニースの食べ物というと「ニース風サラダ」も思い浮かびますが……。

シリル ニース風サラダは“なんちゃって”が多いから(笑)。インゲンが入っていたりしたら、ニース人は絶対に認めないですよ。それならニース風サラダを丸いパンで挟んだ「パンバニャ」をぜひ食べてみてほしいですね。それと、あとはロゼワインでしょう。ニースの夏の食卓にはロゼワインが欠かせません。そのほとんどが南仏産です。

ステファニー 私のお客さまも、夏にニースのレストランで地元の人たちがビールを飲まずにロゼワインを飲んでいるのを見て驚かれています。そして、実際に飲んでみて、「ロゼワインが甘くないことを初めて知った」とか「こんなにおいしいとは知らなかった」と、もう一度驚かれています。

シリル 残念ながら日本ではロゼを置いている店がまだまだ少ないですが、南仏のロゼワインのおいしさを知ってもらい、愛好者の輪がもっと広がっていくといいですね。(つづく)

――ニースっ子のアイデンティティーは豊かな食文化にも表れている様子。人気の観光地から知られざる癒やしスポットまで、コート・ダジュールの多彩な表情にますます旅心を刺激されました。最終回は、旅だけでなく日常生活にもヒントをくれる、南仏の人々の暮らしについて聞きます。

(構成:寺崎靖子)

【シリル・コピーニさんの公式サイト】https://cyco-o.com/
【マイ コートダジュール ツアーズ】http://www.mycotedazurtours.com/
【mycotedazurtours Instagram】https://www.instagram.com/mycotedazurtours

『ニースっ子の南仏だより12カ月』

2023年2月23日発売


定価2200円(税込)

地元っ子ならではの視点で案内する
南フランス12カ月の暮らしと街歩きの楽しみ方

生まれ育ったニースを拠点に、日本人向け貸し切りチャーターサービスの専門会社を営む著者が、流暢な日本語を生かして綴る南フランスの日々の暮らしと街歩きの楽しみ方。1年12カ月、合計60のエピソードを収録。興味のある月やテーマを選んで気軽に読めるので、日々のちょっとした空き時間を使って太陽の光あふれる南仏コート・ダジュールを旅した気持ちになれる一冊です。4世代に伝わる家庭料理の簡単レシピも収録。

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【Stephanie Lemoine(ルモアンヌ・ステファニー)】
1979年フランス・ニース生まれ。南仏コート・ダジュールを拠点に日本人向けオーダーメイドのプライベート貸し切りチャーターサービスを専門に行う「マイ コート ダジュール」代表。フランス政府公認ガイド。高校で第3外国語として日本語を選択、大学はパリにある国立東洋言語文化学院(Institut national des langues et civilisations orientales)で日本語と日本文学を専攻。大学時代の1年半、東京学芸大学に留学。日本語能力検定1 級の語学力を生かして、南仏の観光情報やライフスタイルをテーマにした執筆や翻訳、テレビや雑誌のコーディネート、母クリスティーヌがセレクトした南仏のブロカントのオンライン販売なども手がけている。夢は大好きな鎌倉で老後を過ごすこと。2人の息子たちには毎日欠かさず日本の話をしている。

【シリル・コピーニ(尻流複写二)】
1973年フランス・ニース生まれ。落語パフォーマー、翻訳家。日本在住26年。フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)で言語学・日本近代文学の修士号を取得。1995 年から1996 年まで長野県松本市信州大学人文学部へ留学。1997年から2021年まで在日フランス大使館付属文化センター「アンスティチュ・フランセ」に勤務。2011 年から「フランス人落語パフォーマー」としての活動を開始、国内外問わず落語の実演、講演会、ワークショップを積極的に行う。テレビやラジオにも数多く出演。2013年からは漫画やビデオゲームなどの日本のサブカルチャーコンテンツの翻訳と海外への紹介にも取り組んでいる(『名探偵コナン 』『どうらく息子』など)。
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