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美しいくらし
記念対談:ニースっ子が語る南仏の素顔 マイ コートダジュール ツアーズ社長×落語パフォーマー
ルモアンヌ・ステファニー×シリル・コピーニ
第1回 太陽の光が育む、深く熱い郷土愛
 初の著書『ニースっ子の南仏だより12カ月』を上梓し、3年ぶりの来日を果たしたルモアンヌ・ステファニーさんと、同じくニース出身で日本在住20年以上、落語パフォーマーや翻訳者として活躍するシリル・コピーニさん。“ニースっ子”の二人に、生まれ育った南仏の魅力をたっぷり語ってもらう特別対談。日本人が知っているようで知らない南仏コート・ダジュールの素顔を、全3回にわたってお届けします。

地元ニースをこよなく愛するルモアンヌ・ステファニーさんとシリル・コピーニさん


――ともにニース生まれニース育ちのお二人は、同じ学校の先輩後輩の間柄でもあるそうですね。

シリル そうなんです。ただ、歳が離れているので学生時代から知り合いだったわけではありません。7~8年前に僕がフランスで落語会を開催した際、ステファニーの会社に送迎をお願いしたのが最初の出会いです。そのときはそれほど話す機会がなく、「日本語が喋れるお姉さんやな~」という印象だけ残っていました。

ステファニー その後、私が東京で「南仏の会」というイベントを開催したいと思ったとき、当時は東京在住だったシリルが会場を紹介してくれて、イベントにも参加してくれました。親しく交流するようになったのはそれからです。

高座に上がるシリルさん(写真:Anticsvision)

シリル 話してみたら、ニースの高校もパリの大学も同じ学校に通っていたことが判明! しかも、高校で日本語を習っていた先生も同じだと知って驚きました。

――すごい偶然ですね。高校、大学の後輩でもあるステファニーさんが今回、初めての著書『ニースっ子の南仏だより12カ月』を日本で出版しました。読んでみていかがでしたか?

シリル まず、“パリではない”フランスの本というのがいいですね。日本ではフランス=パリというイメージが浸透しているので、パリとは違った南仏の魅力にフォーカスしてくれたことにニース人としてお礼を言いたいです。すごいなと思ったのはステファニーの日本語レベル。「ほんまに自分で書いたんかい?」と驚きました(笑)。自分の言葉で伝えているからこそ、本当に好きなこと、興味があることを形にした本だということが、よりいっそう伝わってくるのだと思います。

ステファニー おすすめの観光地やグルメはもちろんですが、私と家族の日常を紹介することにもこだわりました。特別なことはないけれども心豊かな、フランスのありのままの暮らしを日本の皆さんに知ってもらいたかったからです。

シリル 写真もきれいで、普段の生活の風景が見えるよね。ステファニーのお子さんたちにも会ったことがありますが、当時はもっと幼かったので、「こんなに大きくなったんだ」と本の中で知るのは不思議な感覚でした。ニース料理のレシピが載っているのもすごくいいですね。

ステファニー ありがとうございます。でも、伝えたいことがありすぎてページが足りなくなってしまったのが心残りです。生まれ育ったニースについてももっと紹介したかったし、南仏コート・ダジュールには本で取り上げた以外にも、可愛らしい小さな村や知られていないすてきな場所がまだまだたくさんあるんです。

シリル それはぜひ次の本で書いてください!

――見どころ満載のニースですが、これから南仏に行く日本人に「特にここを楽しんでほしい」というポイントはありますか?

シリル パリなどの都会とは違う、のんびりした雰囲気を感じてほしいですね。そこで大切なのが「天気」です。ニースはなんといっても気候が最高。晴れの日が多くて、自然の光がきれいなんです。マティスやシャガール、ピカソといった画家たちがコート・ダジュールを愛したのも、自然光の美しさが理由だといわれていますからね。

ステファニー 天気は本当に大事ですよ。晴れるだけで幸せになります。夏は気温が高くても湿度が低いので過ごしやすく、クーラーがない家も多いですし、冬も温暖です。常に暖かくて晴れているので、外で過ごすのが楽しいんです。フランスの他の地域の人は、ニースの人に対して「天気がいいからよく遊ぶ」というイメージを持っているようで、私がパリの大学に進学したときにニース出身だと言ったら「じゃあ、勉強するよりもビーチに行っていたでしょ」と言ってからかわれました。

シリル 「そうだよ」って自慢してやればいいやん(笑)。でも実際、ニースの人はニース出身ということに誇りを持っているよね。「フランス出身?」と聞かれたら「いや、ニース出身だよ」というジョークがあるくらい、特別な郷土愛があるように思います。中世から近代にかけ、のちのイタリア建国につながるサヴォイア公国に統治されていたという歴史もあって、イタリアの影響を受けた独自の文化を持っていることも関係しているのかもしれません。ニースっ子の郷土意識はパリっ子と同じくらい。ひょっとすると、それ以上に強いですよ。

(写真:ルモアンヌ・ステファニー)

ステファニー そのとおり! 完全にフランスではなく、かといってイタリアでもない、独特な存在ですよね。ニースはフランス人にとっても憧れの場所。フランス人が夏休みに行きたい場所、晩年に過ごしたい場所、といった位置づけです。同時に「お金持ちが多い」というイメージも持たれがちなのですが、それは全く違います。ビーチに座ってサンドイッチを食べながら海を眺めたり、マティス美術館にある公園の芝生で子どもとボール遊びをしたり、お金をかけずに楽しむのが地元っ子の流儀。これこそがニース流なんです。

シリル それができるのも「見て、この天気! この解放感!」と言いたくなるような素晴らしい環境があるからこそ。穏やかな気候と美しい風景、そしてゆったりと流れる時間を楽しむニース人の生活を、日本の皆さんにも体験してほしいですね。(つづく)

――お二人の話を聞いているだけで、太陽の光がさんさんと降り注ぐ南仏の町並みが目に浮かんでくるようです。次回は、地元っ子ならではのおすすめスポットやいち押しグルメを教えてもらいます。

(構成:寺崎靖子)

【シリル・コピーニさんの公式サイト】https://cyco-o.com/
【マイ コートダジュール ツアーズ】http://www.mycotedazurtours.com/
【mycotedazurtours Instagram】https://www.instagram.com/mycotedazurtours

『ニースっ子の南仏だより12カ月』

2023年2月23日発売


定価2200円(税込)

地元っ子ならではの視点で案内する
南フランス12カ月の暮らしと街歩きの楽しみ方

生まれ育ったニースを拠点に、日本人向け貸し切りチャーターサービスの専門会社を営む著者が、流暢な日本語を生かして綴る南フランスの日々の暮らしと街歩きの楽しみ方。1年12カ月、合計60のエピソードを収録。興味のある月やテーマを選んで気軽に読めるので、日々のちょっとした空き時間を使って太陽の光あふれる南仏コート・ダジュールを旅した気持ちになれる一冊です。4世代に伝わる家庭料理の簡単レシピも収録。

新刊発売記念

お得な「春の南仏フェア」

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【Stephanie Lemoine(ルモアンヌ・ステファニー)】
1979年フランス・ニース生まれ。南仏コート・ダジュールを拠点に日本人向けオーダーメイドのプライベート貸し切りチャーターサービスを専門に行う「マイ コート ダジュール」代表。フランス政府公認ガイド。高校で第3外国語として日本語を選択、大学はパリにある国立東洋言語文化学院(Institut national des langues et civilisations orientales)で日本語と日本文学を専攻。大学時代の1年半、東京学芸大学に留学。日本語能力検定1 級の語学力を生かして、南仏の観光情報やライフスタイルをテーマにした執筆や翻訳、テレビや雑誌のコーディネート、母クリスティーヌがセレクトした南仏のブロカントのオンライン販売なども手がけている。夢は大好きな鎌倉で老後を過ごすこと。2人の息子たちには毎日欠かさず日本の話をしている。

【シリル・コピーニ(尻流複写二)】
1973年フランス・ニース生まれ。落語パフォーマー、翻訳家。日本在住26年。フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)で言語学・日本近代文学の修士号を取得。1995 年から1996 年まで長野県松本市信州大学人文学部へ留学。1997年から2021年まで在日フランス大使館付属文化センター「アンスティチュ・フランセ」に勤務。2011 年から「フランス人落語パフォーマー」としての活動を開始、国内外問わず落語の実演、講演会、ワークショップを積極的に行う。テレビやラジオにも数多く出演。2013年からは漫画やビデオゲームなどの日本のサブカルチャーコンテンツの翻訳と海外への紹介にも取り組んでいる(『名探偵コナン 』『どうらく息子』など)。
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