みなさん、こんにちは。
フランスのオーヴェルニュ地方にある小さな村で暮らす木蓮です。7月より、「フランスの小さな村だより 12カ月」として、1年間の連載をさせていただくことになりました。
これまでの連載では、「旅」をメインにエッセイを書かせていただきましたが、今回は私の日常であるインテリアやお菓子作りの話、また、今年立ち上げたばかりの雑貨の卸会社
「Les Bleuets(レ・ブルエ)」で出合った職人のみなさんとの触れ合いやその暮らしぶりなど、旅を交えながら、もう少し深い部分でフランスを知っていただけたらと思っています。
さて、第1回目は何のことを書こう?
そう考えたとき、私の目の前には、夕陽によって黄金色に輝く「麦畑」が広がっていました。その瞬間、21歳のとき、オルセー美術館で見て感動したジャン=フランソワ・ミレーが描く「落穂拾い」の絵を思い出したのです。バゲットを毎日食べるフランス人にとっても、趣味でお菓子作りを楽しむ私にとっても、切っても切れない関係である「麦のある風景」。
麦はまっすぐと太陽に向かって育ち、風とともに流れるようにうねり、普段は見ることのできない風の存在を教えてくれます。その姿はまるで歌を唄っているかのようで、大地を踏みしめながら目をゆっくり閉じると、まるで自分が自然と一体化したように感じるのです。
私が住んでいるオーヴェルニュ・ローヌ=アルプ地方は、フランスで3番目の穀物地帯。今年も私の住む村の周りでは、多くの麦が育てられています。小麦、大麦、デュラム小麦、オーツ麦など、育てられている品種はさまざまですが、それらは人間である私たちだけでなく、多種多様な恩恵を与えてくれる動物たちの飼料にもなります。そして小麦の収穫は、昔から農家の人々にお金やパン、仕事、繁栄などを与えてくれました。
村の周りで、ゆっくりと草を食む牛や羊たちを眺めていると、人は決して一人では生きていけないのだと痛切に感じています。みなさんも、ぜひフランスを旅する機会があれば、フランスの広大な麦畑を眺めてみてくださいね。
さて、みなさんはそんな麦を使ったおまじないをご存じですか?
10年前に本で読んだ「LA LÉGENDE DES 7 ÉPIS DE BLÉ(7つの麦の穂伝説)」は、私が毎年行っている小さな、小さなおまじない。
7月7日朝7時に小麦を7本摘んできます(もしくは、6月24日の聖ヨハネの日でも良いとされています)。それらを小さなブーケにして、玄関や部屋の扉、もしくは暖炉の上に飾ると、次の年の7月7日(または聖ヨハネの日)まで1年間、幸せと繁栄をもたらしてくれるそうです。
ケルトやインカなど多くの巨石文明でみられる信仰だそうで、「7本の麦の穂は幸運をもたらす」といわれています。
みなさんも、大切な人に小さな幸せを願って小麦のブーケをプレゼントしてみませんか?
(つづく)
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