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きれいをつくる
【対談】着物写真集への思い 着物研究家×デザイナー
Sheila Cliffe×Nichole Fiorentino
前編:KIMONOを愛する二人だからできた
 着物研究家シーラ・クリフさんの最新写真集『Sheila Kimono Style Plus』の発売(2021年11月)から3カ月、ついにスペシャル企画が実現! シーラさんと、写真集の撮影を担当したNichole Fiorentino(ニコル・フィオレンティーノ、以下 ニコル)さんによる着物対談をお届けします。2019年から2年間、日本の大学院で着物文化を研究していたニコルさんは、2年間の留学を終えて帰国。対談には母国エクアドルからオンラインで参加してくれました。画面越しに久しぶりの再会をした二人に着物写真集の制作舞台裏を語ってもらいます。

シーラさんとニコルさんがオンラインで再会


――写真集『Sheila Kimono Style Plus』の発売直後からラジオやテレビの出演、新聞各紙の取材など、シーラさんはメディアから引っ張りだこ。ファンからの反響も大きかったのではないでしょうか?

シーラ:初めての写真集『SHEILA KIMONO STYLE』から4年、着こなしに対する意識の変化があって、思いきって新しい写真集をつくることにしました。私の今のスタイリングを皆さんに興味を持ってもらえるのか内心はドキドキ。ところが、第2弾写真集の発売をInstagramで発表したら、楽しみに待っていてくれた方がたくさんいてホッとしました。

――シーラさんの初めての写真集『SHEILA KIMONO STYLE』は四季をテーマにしたコーディネートを中心に紹介されていました。

シーラ:着物には四季に限らず、さまざまな見せ方があります。それを伝えるために、最新の写真集では、お出かけシーンや着物が持つ雰囲気で構成を考えました。たとえば、パーティーのような華やかな場所をイメージしたものは「Elegant」、着物の素材や柄を楽しめるものは「Plain&Pattern」、ほかに「Antique」や「Casual」の4つのカテゴリーに分類しています。

 4年前につくった写真集との大きな違いは、コーディネートに使用した全アイテムを平置きにして紙面に掲載したこと。着物や帯はもちろんですが、バッグ、靴や草履、帽子、アクセサリーに至るまでを1枚の写真でわかりやすく紹介しています。実はこれ、ニコルのアイデアなんですよ。


――ニコルさんは現在、エクアドルでWEBデザイナーとして活動する傍ら、日本文化も紹介していますよね。2019年に着物文化を大学院で学ぶために来日されていますが、そもそも、遠いエクアドルで日本の着物に出合ったきっかけはなんだったのでしょう。

ニコル:映画にもなった小説『さゆり-Memoirs of a Geisha-』を2015年に読んでからです。芸者として生きた女性の物語で、そこで描かれていた着物の美しさに引き込まれました。
 最初は買うなんて絶対無理だと諦めていたのですが、古着ならインターネットで安く手に入ることを知って、気に入ったものを探すようになりました。当時はファッションの一つとして楽しんでいました。着るだけで、憧れていた着物の世界に参加しているような気持になれてうれしかったですね。

――好きな着物のためとはいえ、環境をがらりと変えて日本へ渡るのは大きな決断だったと思います。

「色調が美しい大正時代の着物とデザインが大胆な昭和初期のものを重ね着してみました」

ニコル:どれだけインターネットで見たり調べたりしても、リアルな体験にはなりません。着物を知るなら、やっぱり日本! 着物を生んだ国に一度どっぷり浸ってみたかったというのが大きな理由です。

 日本には四季があって、着物の柄のモチーフになる牡丹やスズランといった花々を、季節の移ろいとともに近くで見ることができます。これはとてもすばらしいこと。私が暮らしていたエクアドルは四季がなく、そうした経験を味わうことができません。ですから、留学に迷いはありませんでした。春に大輪の花を咲かせる牡丹を実際に目にしたときの感動は、今でもはっきり覚えています。


――来日したニコルさんの滞在先が着物研究家のシーラさんの家。留学中に新しい写真集の企画が持ち上がり、シーラさんに撮影を依頼されたというわけですね。

ニコル:彼女のスタイルは伝統を大切にしつつ、センスがよくてカッコいい。遊び心があって着物の楽しさを感じます。そばで見ていて、こんなふうに着こなせたらいいなとずっと思っていました。私と同じようにシーラを参考にしたい、お手本にしたいと考える人は多いはずで、そうした着物ファンのためにも2冊目となる写真集をつくってほしかったんです。だから、「実現できるかも」と聞いたときは、自分ごとのように喜びました。
 とはいえ、撮影をお願いされたときは、カメラを本格的に始めたばかり。私にとっては大きなチャレンジでした。


――ニコルさんを写真づくりの相棒に抜擢した理由は何だったのでしょう。

シーラ:私と同じように着物を心から愛するニコルとなら、きっといい写真集ができると思ったからです。それと、遠い南米から着物を学ぶために日本へやって来たニコルの留学期間は2年間。その限られた時間がより充実したものになるように、日本の美しい場所やそこに住んでいる人々のことを少しでも教えてあげたいという気持ちもありました。
 いざ撮影がスタートすると、ポージングのアドバイスやヘアスタイルのセットまでしてくれて、彼女はとても頼りになる存在。バッグや帽子の形や素材へのこだわり、色と小物の組み合わせなど、ニコルから私もたくさんのことを吸収させてもらいました。

ニコル:もともと50年代のヴィンテージが好きで、昔の雑誌や映画スターの写真をインターネットでよく見ていたので、それを着物スタイルにも取り入れたいと思っていました。
 青と白のチェック柄の着物(本書106頁)のときには、昔のヘアスタイルを現代っぽくアレンジしたくて、「絶対この髪型にしたい」とリクエスト。でも、どうやったらあの大胆なボリュームが出せるのか再現する自信がなくて、夜な夜なシーラの髪で特訓です。一つ屋根の下で暮らしていたからできたことですね(笑)。本番では“サザエさん”風の3段カールがうまくできて安心しました。(つづく)


 着物好きの二人が手がけた写真集はカラフルで華やかなスタイリングはもちろん、街中や公園、駅、夜間とユニークなロケーションも印象的です。次回は二人三脚で挑んだ撮影の舞台裏について聞きます。

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※購入特典は本サイト限定 ※利用は2022年2月10日(木)受付まで
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【シーラ・クリフ×ニコル・フィオレンティーノ】
●Sheila Cliffe×Nichole(シーラ・クリフ)
1961年イギリス生まれ。リーズ大学大学院博士課程修了。大学で英語と着物文化を教える傍ら、国内外で着物展覧会やファッションショーの企画・プロデュースをするなど多彩な活動を展開。2002年に民族衣裳文化普及協会の「きもの文化普及賞」を受賞。著書に『日本のことを英語で話そう』(中経出版)、『The Social Life of Kimono』(Bloomsbury)。

●Nichole Fiorentino(ニコル・フィオレンティーノ)
1992年エクアドルの首都キト生まれ。グラフィックデザインを学び、2017年から2018年まで広告の仕事に携わる。2015年に着物と出会い、19年から2年間、東京・文化学園大学の大学院修士課程に留学。着物文化に関する研究を進めるとともに、日本滞在中は友禅染や茶道を学ぶ。現在はキトに在住してエクアドルの人々に日本の文化を紹介している。
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