こんにちは! 広報宣伝担当カモメのるーです。今回は、2026年9月24日に東京・神田神保町の東京堂書店で開催された、新刊の刊行記念トーク&サイン会「食卓から旅する台湾と香港」をレポートします。登壇したのは、著者の佐々木敬子さんと、香港の食や生活をテーマにした作品を手がけてきたイラストレーターの小野寺光子さん。平日の夜にもかかわらず、会場にはなんと約90人もの参加者が! 大盛況のなか、台湾と香港の台所から見えてくる食文化や人びとの暮らしについて、お二人がたっぷりと語り合いました。
佐々木敬子さん
「旅する食文化研究家」として佐々木さんが活動を始めたのは、2018年。現地の家庭を訪ね、「いつもの料理をつくってください」とお願いし、一緒に食卓を囲んで話を聞く。料理をつくる様子を撮影し、家の間取りや台所をスケッチして記録する。そうした台所をめぐる旅は、バルト三国の一つ、リトアニアから始まり、やがて台湾へとつながっていったそうです。
一方、「私の望みは、ありとあらゆる人の家の台所で、普段つくっている料理を見せてもらうこと。でも、何十回と香港に通っていても、『家に行っていいですか?』とはなかなか言えなくて……」という小野寺さん。佐々木さんの新刊『台湾台所探訪記』を読んで、「うらやましくて歯ぎしりした」と笑います。

小野寺光子さん。右側に写っているのは小野寺さんの作品
二人の出会いは、小野寺さんのイラストに、佐々木さんがひと目ぼれしたことがきっかけ。「この方に話を伺いたい!」とSNSでアプローチして、今回の対談が実現したそう。香港にも住んだ経験がある佐々木さんが、「香港の香りがします!」と紹介してくれたのは、ユーモラスな視点と味わいのあるタッチで描かれた小野寺さんの作品の数々。中華の円卓を連想させるターンテーブルや、香港のレジ袋を模したエコバッグ、タレの照り具合にまでこだわったという叉焼(チャーシュー)のイラストは、るーのお腹が鳴っちゃうくらいおいしそう!
台湾と香港の位置関係や食文化などの基本情報をおさらいしたあとは、いよいよ台所のエピソードへ!
台湾の台所に欠かせない道具といえば、ごはんを炊くのはもちろん、蒸し物も煮物もこなす万能調理器「電鍋(ディエングォ)」。佐々木さんが「電鍋を持っている方はいますか?」と参加者の皆さんに呼びかけると、なんと15人ほどの手が挙がりました。
台湾では一家に一台どころか、複数台ある家も多く、「電鍋のトップメーカー1社だけでも、その普及率は約80%と聞きましたが、私が台所で見た実感としては105%くらい」と佐々木さん。台所だけでなく、自分専用の電鍋を部屋に置いている人もいるんだって。これにはるーもびっくり! それほど使い勝手がいいんだね。
ほかにも、台湾の家庭でよく見られるアイテムとして紹介されたのが、冷蔵庫や玄関のドアなどに貼られた赤い紙「春聯(チュンリェン)」。紙に書かれた漢字――たとえば「満」という字には、「食料が満たされますように」という願いが込められているそう。
台所の先にはベランダのようなドライエリアがあり、予備の冷蔵庫があったり、洗濯機があったり。高温多湿の気候に合わせた間取りからも、台湾ならではの暮らしぶりが見えてきて面白い!
一方、小野寺さんが見せてくれた香港の台所は、台湾よりもぐっとコンパクト。調理器具をあまり置いていないシンプルな造りの台所でも、「あっという間に何品もの料理が並ぶんですよ。それがまたおいしくて!」と、小野寺さんは台所に立つ人たちの手際のよさにも注目します。
るーが興味を引かれたのは、小野寺さんも自宅で長年愛用しているという香港のスープポット「立湯煲(ラプトンポウ)」。香港では「スープがなければ食事にあらず」といわれるほどスープが大切。食事の初めにスープを飲んで胃を温め、家族の体調や季節の変化によって素材を変える、医食同源の知恵が日々の料理にごく自然に生かされているそうです。味つけは、西洋のスープや日本のみそ汁よりも薄味で、食べ疲れしないのだとか。
香港も台湾も、家庭料理は全体的にやさしい味で、高温多湿の気候の中で体をいたわる知恵が生かされていると聞いて、るーも納得。
市場や家庭料理、現地の味を再現するための調味料など、話題は次から次へと広がり、あっという間にトーク終了の時間に。二人のトークが終わったあとも、佐々木さんと小野寺さんにサインを求めたり、楽しそうに言葉を交わしたりする参加者の姿があちこちに。イベントの余韻を思い思いに楽しんでいる様子でした。
家庭によって食卓の風景はさまざま。台所をのぞいてみると、そこに暮らす人たちの素顔や、その土地ならではの文化が見えてくるんだね。るーも、もっといろいろな国の台所をのぞいてみたくなりました。皆さんも佐々木さんの新刊『台湾台所探訪記』を開いて、台湾の台所から見えてくる多彩な暮らしの風景を、のぞいてみませんか? (おわり)
新刊『台湾台所探訪記』
佐々木敬子 著

定価2,420円(税込)
「あなたの台所で、いつもの味をつくってください」をキャッチフレーズに、台湾ぐるり一周の旅へ。目指すは、家の台所で日々つくられている、ごくごく当たり前の家庭料理。旅の途中で出会った23人の台所を、疾走感あふれる軽快なエッセイと、ぬくもりのある手描きイラストで描き出す。現地で出会った家庭料理10品のレシピ付き。言葉や文化の違いを超えて食卓を囲めば、素顔の台湾が見えてくる!
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