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横浜高島屋「北欧展」で楽しむトーベ・ヤンソンの世界 ライター
内山さつき
トーベが愛した島とその暮らしを知るひととき

2026年9月10日、横浜髙島屋「北欧展」でトークイベント「トーベ・ヤンソンが見つめたフィンランドの島暮らし」が開催されました。登壇したのは、書籍『トーベ・ヤンソンの夏の記憶を追いかけて』(2025年8月刊行)の著者、内山さつきさん。北欧ムードあふれる会場の特設ステージでは、現地での体験を交えながら、フィンランドの島文化やトーベ・ヤンソン作品の魅力について語られました。当日の様子を、内山さんにレポートしてもらいます。

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横浜髙島屋で9月9日~14日まで開催された北欧展は、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、アイスランドの魅力を伝える、フードやインテリアなど約40店舗が集結する大規模な催事です。8階の催事会場は、連日多くの人で賑わっていました。
会場の一角には特設ステージが設けられ、会期中は旅や食文化、ライフスタイルなど、北欧文化に関わるエキスパートのトークイベントや、北欧ミュージックのコンサートなども行われました。そして今回、なんとそのプログラムの一つとして私も登壇する機会をいただきました!

私のトークイベントの前には、フィンランドのアコーディオン奏者ヴィッレ・ヒルトゥラさんによる、トーク&ライブが行われていました。ヴィッレさんが、楽しいトークを織り交ぜながらフィンランドで愛されている民謡や、フィンランドタンゴを演奏してくださいました。実はタンゴは、アルゼンチンからフィンランドに伝わった後、国内で独自の発展を遂げ、現在も国民的に愛されている音楽なのです。そのメランコリックなメロディを堪能し、フィンランドの空気をいっぱいに感じながら、いよいよ私自身のトークが始まりました。

今回は、昨年出版した拙著『トーベ・ヤンソンの夏の記憶を追いかけて』で描いた旅の記憶を交えながら、フィンランドの群島地方の文化や自然、食べもの、そして島の美しさがどのようにトーベ・ヤンソンの作品に息づいているかについてお話しました。
私がいちばん好きなトーベ・ヤンソンの小説は、トーベが母シグネと、姪のソフィアからインスピレーションを得て描いた『少女ソフィアの夏』。まるでフィンランドの群島地方の夏の風景が封じ込められているような美しい作品です。芸術家でもあるおばあさんと、母をなくしたばかりの少女ソフィアの会話は、生き生きと楽しく、ときに人生の深い哲学的な問題に触れたりもします。島をテーマにこの小説についてもお話できたことは、個人的にとてもうれしかったです。

イベント終了後はサイン会も実施。参加者との会話に笑顔がこぼれる場面も

少々マニアックなテーマではありましたが、お集まりいただいたお客さまが高い関心を持ってくださっていたのが印象的で、中にはトーベ・ヤンソンが夏の間を暮らしたフィンランド湾の孤島、クルーヴハルの話に目を輝かせ、ひとつひとつ頷きながら聞いてくださる方もいらっしゃいました。イベント終了後、その方から声をかけていただいたので、お話をお聞きすると、ご自身も今年ツアーでクルーヴハルを訪れたばかりとのこと。「素晴らしかった旅の思い出と重なるようでとても臨場感がありました」と言っていただきました。
また、誕生日がトーベと同じ8月9日という方も。「トーベ・ヤンソンという作家に縁を感じ、親近感が湧きました。これからぜひ作品を読んでみます」という感想をいただきました。

イベントMCを務めてくださったフリーアナウンサーの美鈴唯みすずゆいさんも、実はムーミンのファン。ご自身の感想を織り交ぜながら和やかに進めてくださり、あっという間にトークの時間は終了。イベントが終わった後に、美鈴さんと世代を超えて愛されているムーミンについて語り合う楽しい時間もありました。

帰る前に立ち寄った北欧展の会場では、北欧で愛されているシナモンロールやドーナツなどの焼き菓子も実演販売されていました。シナモンロールが焼き上げられると、会場に香ばしい匂いが広がっていきます。フィンランドの懐かしい香りに引き寄せられ、私もシナモンロールを家族のお土産に買って帰りました。
持ち帰ったシナモンロールは、キャンドルを灯しながらいただきました。秋雨前線の影響で雨のぱらつく日々ではありましたが、ひんやりしっとりした空気に秋の訪れが感じられて、今まさに冬に向かっているであろうフィンランドに思いを馳せることができました。



好評既刊『トーベ・ヤンソンの夏の記憶を追いかけて』

内山さつき 著


定価2420円(税込)

「ムーミン」シリーズの生みの親で芸術家のトーベ・ヤンソンが26年間、ほぼ毎年の夏を過ごした島クルーヴハル。その孤島にトーベの面影を追いかけて訪れ、1週間滞在した忘れがたい日々と、トーベの友人たちが語った友情の思い出を重ねるように綴る旅のエッセイです。アトリエや幼少期を過ごした家、ムーミン美術館など、トーベゆかりのスポットも収録。ムーミンを愛する人、トーベ・ヤンソンに魅せられた全ての人に贈る1冊です。
【書籍の購入】は→

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【うちやま・さつき】
東京都生まれ。月刊誌の編集執筆に携わった後、フリーランスのライター、編集者として独立。「旅・物語・北欧」をテーマに取材を続ける。2019年から全国を巡回した「ムーミン展 the art and the story」の展示監修&図録執筆を担当するほか、朝日新聞デジタルの連載「フィンランドで見つけた“幸せ”」や「地球の歩き方 webサイト」のラトビア紀行を執筆する。2014 年夏、「ムーミン」シリーズの作者トーベ・ヤンソンが夏に暮らした島、クルーヴハルに滞在したことをきっかけに、友人のイラストレーター・新谷麻佐子さんと北欧や旅をテーマに発信するクリエイティブユニットkukkameri(クッカメリ)を結成。ユニットとしての著書に『とっておきの フィンランド』『フィンランドでかなえる100の夢』(ともにGakken)。
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