『フランスの花の村を訪ねる』が好評発売中の木蓮さん。フランスの“おへそ”にあたるオーヴェルニュに住んでいる地の利を生かし、年間100以上の村を訪ねています。新刊発売記念のインタビューの第2回は、村めぐりのアドバイスをお聞きします。◇花には季節がある
ミモザが咲き乱れる春のボルム・レ・ミモザ(上)とブーゲンビリアに包まれる夏の様子 |
フランスにも日本と同じように四季があり、花の盛りはやはり春から夏にかけて。ですから、例えば新刊で紹介しているジヴェルニーやジェルブロワのバラが咲き乱れる光景を見るためには、5月末~6月中旬ごろに訪ねるとよいでしょう。
ですが、住民たちの努力やコミュニティーぐるみの取り組みで、四季を通じてさまざまな花が楽しめる工夫がなされている村もたくさんあります。それが、フランスの地方自治体を対象とした“花の町と村コンクール”で、レストランを星の数で評価するように、1つから4つまで花の数で認定された「美しい花の町や村」です。
新刊で紹介しているボルム・レ・ミモザは春先のミモザ祭りで有名ですが、私が初めて訪れたのはミモザとは全く関係ない夏。そのときに出合ったピンク色のブーゲンビリアに圧倒されて、それから何度も訪ねることに。こんなふうに、訪ねる季節によってまるで違う景色が見られるのも村めぐりのの楽しみです。
◇訪れる季節によって異なる交通機関の運行状況やお店の営業時間 フランスの小さな村を旅しようと思ったときに問題になるのが、交通機関の運行状況。日本とは状況が違うので、できる限り現地のオフィス・ドゥ・ツーリズムや村のWEBサイトで時刻表を確認することが大切です。
ウィークデーと週末、バカンス時期など、さまざまなパターンで運行表があるので、十分に注意してください。
秋のサン・シル・ラポピーにて
また、フランスの夏は陽が暮れるのが遅いため、時間の感覚がおかしくなることもあります。まだ明るいのにお店が閉まってしまうように感じますが、時間を見ると夜の7時を過ぎていた……なんてことも。
フランスの小さな街や村を訪れるのに最適なのは、復活祭の後から秋ごろまで。大きな街やアルザス地方のクリスマスマーケットなどは別ですが、10月半ばにもなるとシャンブルドットやお店が翌年の春まで開かないことなどがあります。事前の情報確認は忘れずに。
実はそんな秋から冬にかけて、静かに変わりゆく表情を見せてくれる村も魅力的です。
新刊では、秋のサン・シル・ラポピーを紹介しています。真っ赤に染まるツタや黄色く色づくブドウの葉など、鮮やかな紅葉に包まれる静かな村の表情も、ぜひ見ていただきたいですね。
◇村めぐりでは地元タクシーをうまく利用して!
リクヴィールのクリスマス
シーズンオフに限らず、フランスの田舎の小さな村は交通機関の不便な場所が多いです。そのため、万が一のことを考え、地元タクシーの番号を控えておくことは必須です。
アルザスのクリスマスマーケットを訪ねたときのこと。地元の観光協会の方に教えていただいたバスの時刻表が間違っていたため、いくら待ってもバスが来なかったことがありました。そんなとき、助けてもらったのが3日前に乗ったタクシーの運転手さんからいただいた名刺でした。
「なにかあったら、いつでも電話しておいで」
そう言われていた私が、藁をもすがる気持ちで電話すると、なんとおじさんは夕食の時間。それでも、寒くてかわいそうだとすぐに迎えにきてくれました。
また、タクシーの運転手さんは、地元の事情通でもあります。地元の人に人気の可愛い村や美しい眺めの場所も教えてもらえるなど、私にとっては貴重な情報源だったりします。
ポイントは、タクシーに乗る時点で「目的地までいくらかかるか」を最初に聞いておくこと。最近ではだいたいの目安がわかるサイトや事前予約が可能なサイトもありますので、情報をうまく活用しましょう。
――名所案内をタクシーの運転手さんや地元の方にお願いするにははなはだ語学力が不足でも、鉄道の駅や宿泊地なら筆談で伝えられそう。いざというときに役立つアドバイスです。さて、次回はいよいよ木蓮さんのみずみずしい写真のヒミツに迫ります。貴重なアドバイスが聞けるかもしれませんよ。(構成:編集部)
※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『フランスの花の村を訪ねる』(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)が絶賛発売中です。
WEB連載「フランス 花の村をめぐるたび」はこちらをご覧ください。
WEB連載「フランスの花の村を訪ねる」はこちらをご覧ください。