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美しいくらし
フランスの花の村を訪ねてみよう! 写真と文
木蓮
第1回 小さな村の魅力とは?
 連載「フランス 花の村をめぐる旅」「フランスの花の村を訪ねる」で、詩情豊かな写真とエッセイが好評の木蓮さん。このほど、これらの連載を大幅に加筆し、たくさんのカラー写真を掲載した本が発行されました。そこで、新刊発売を記念してフランス在住の木蓮さんにインタビュー。花にあふれる村々との出合いや、村めぐりのアドバイス、みずみずしい写真を撮るコツなどを聞きました。

小さな村の暮らしを肌で感じた瞬間
 神戸で暮らしていたころは、仕事にもやりがいを感じ、忙しくても充実した大都会での暮らしを満喫していました。それが2006年の夏、久しぶりにまとまった休みがとれたので、思いきってフランスの小さな村で暮らしている友人たちの家を訪ねることに。
 それまで、私の中のフランスといえばまさしくパリのイメージ。それが友人たちの家を訪ねたことをきっかけに、ガラリと変わりました。古い家のリビングには薪ストーブ。キッチンには昔ながらの石のカマドがあり、近所で採れたというクルミや果物がかわいらしく盛りつけられ、さりげなく置いてありました。

「ああ、こんな優しい暮らし方があったんだ!」
 至るところに心地よいぬくもりのある生活を感じさせる空間は、ものをきちんと収納してなるべく日常を見せないように心がけてきた日本での私の暮らし方と、まるで違うように思いました。それから、フランスの田舎暮らしに興味を抱くようになったのです。

 友人たちの家の周りには当たり前のように畑があり、花が咲き乱れている。それはご近所のどの家でも同じようで、道路にはなんと牛が歩いているんです! フランスの小さな村の暮らしの息づかいを肌で感じました。そのときは、まさか数年後に自分自身がフランスの田舎の村に住むことになるとは思いもしませんでしたけれど(笑)。

 そんな私の“フランスの田舎の村好き”を決定づけたのは、結婚してから夫と訪ねたシャルローという小さな村で出合った菜の花畑。その感動を写真に残したい。そして、多くの人にフランスの花にあふれる小さな村の魅力を伝えたい。そこから、私の村めぐりが始まったのです。

木蓮さんの「忘れられない絶景」

エズ

高台にある熱帯植物園から地中海を臨む
 初めて自分の力だけで訪れたエズは、思い入れのある村の一つ。エズまでの道のりは、まだフランス語が話せなかった私にとっては大冒険でした。「もう無理かも」と心細くなりながらたどり着いたエズ村。高台の城跡にある熱帯植物園から見た景色は、それまで知っていた海とはまるで違う地中海の色。知らない村の細い路地を恐る恐る歩くと、突如現れる美しい花や光が降り注ぐ優しい木漏れ日。何度訪れても、初めて見たときの感動を思い起こさずにはいられません。

サン・シル・ラポピー

断崖の村がよくわかる珍しい角度から
 家族でバカンスに訪れたとき、霧をまとった渓谷に忽然と姿を現したサン・シル・ラポピーの景観を見たときには、まるでおとぎの国に来たような気がしました。なぜ、21世紀の現代にこんな村が存在しているのだろう。しかも、なんて美しいんだろう――。この思いを多くの人に伝えたい。そう思うきっかけになった絶景の一つです。





――新刊『フランスの花の村を訪ねる』では、シャルローの菜の花も、エズの絶景も、木蓮さんの感動そのままに情感あふれる写真で紹介しています。ぜひ、ご覧ください。次回は、花の村めぐりをするにあたってのアドバイスを教えてもらいます。
(構成:編集部)

※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『フランスの花の村を訪ねる』(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)が絶賛発売中です。
WEB連載「フランス 花の村をめぐるたび」はこちらをご覧ください。
WEB連載「フランスの花の村を訪ねる」はこちらをご覧ください。
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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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