× close

お問い合せ

かもめの本棚に関するお問い合せは、下記メールアドレスで受けつけております。
kamome@tokaiedu.co.jp

かもめの本棚 online
トップページ かもめの本棚とは コンテンツ一覧 イベント・キャンペーン 新刊・既刊案内 お問い合せ
美しいくらし
「平林家」ってどんな場所? 「珈琲屋台 出茶屋」&「平林家」
鶴巻麻由子×平林秀夫
第1回 出会い
 リヤカー屋台の小さなお店「珈琲屋台 出茶屋」。この場所を中心とした、小金井の人々とのにぎやかな出来事や温かなふれあい、そして珈琲への想い――1年半にわたって連載してきた鶴巻麻由子さんのエッセイが、一冊の本になりました。鶴巻さんの人柄そのものの飾らないシンプルな言葉で綴られた文章に、時代や場所を限定しない幻想的な世界観が広がる挿絵を添えてくれたのが平林秀夫さん。「珈琲屋台 出茶屋」が週2回出店している「平林家」の主(あるじ)です。

※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『今日も珈琲日和』を好評発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。WEB連載「今日も珈琲日和」はこちら、著者・鶴巻麻由子さんのインタビュー記事はこちらです。


――新宿駅から電車に乗って25分。JR武蔵小金井駅に降り立つと、武蔵野特有のおおらかでのんびりとした雰囲気が漂っています。商店が続く駅前の通りを北に進み、住宅街が広がる脇道へとそれ、さらに小さな路地へと入る……。その路地沿いにある推定築50年の木造平屋一軒家の庭で週2日出店しているのが、鶴巻麻由子さんの「珈琲屋台 出茶屋」です

鶴巻 2004年にこの珈琲屋台を一人で始めました。今年で11年目になります。珈琲を淹れる道具一式をリヤカーの屋台に積み込んで、平林家の庭のほか、東小金井にある園芸店の「オリーブ・ガーデン」さんや小金井公園などにリヤカーを引いて行って、お店を開いています。七輪と火鉢に炭火をおこし、小金井の湧き水を入れた鉄瓶でお湯を沸かし、注文が入ってから珈琲豆を挽いて、1杯ずつ丁寧に珈琲を入れています。季節ごとの花々に囲まれた「オリーブ・ガーデン」さん、小金井公園の大きなケヤキの木の下、そして縁側と畳の和室でくつろげる「平林家」。いずれの出店場所にもそれぞれのよさがあると思います。

――2014年にWEBマガジン「かもめの本棚」へのエッセイ連載の話が上がったとき、「平林さんに挿絵をお願いしたい」と真っ先に思われたそうですね。

鶴巻 出茶屋の出店場所の中でも、最も日常的な光景が繰り広げられる平林家。その様子をいちばん近くで見てきた平林さんが切り取る挿絵と一緒ならば心強いと思ったからです。いざ連載が始まると、平林さんの絵を見ることを楽しみに、その絵に励まされ、書き続けることができました。

――そもそも、二人の出会いは?

平林 初めて出会ったのは一人娘のつむぎが生まれる2、3年前。2005年くらいかな。そのころはこの家ではなくて、東小金井にあるアパートに妻と二人で住んでいました。友人と武蔵境のラーメン屋に行った帰り道、アパートの目と鼻の先にある花屋さんの店先を通ったとき、リヤカー屋台の赤い屋根がチラッと見えたんです。それで「なんだろう?」と思って行ったのが最初です。それからは家のそばなので、一人でも頻繁に行くようになりました。

鶴巻 平林さんは、私はもちろん、ほかのお客さんともあっという間に仲よくなった気がします(笑)。平日の昼間にふらっと来てくださるお客さんは、仕事を引退された方かフリーランスの職業の方が多いのですが、ひとくくりに「フリーランス」と言っても皆さん違う仕事をしているから、お客さん同士でいろいろな話ができたのが面白かったようです。

――都心からわずかな距離にありながら、時の流れに無理に乗ろうとするようなところがなく、穏やかな雰囲気が漂う小金井。自宅で仕事をするにはぴったりの環境で、静かな住宅街に住まいを構える漫画家や作家なども多いそうです。そういえば、鶴巻さんの出店場所の一つでもある「オリーブ・ガーデン」さんのお隣は、あの「スタジオジブリ」。う~ん、なるほど……と、思わずにんまりしてしまいます。さて、次回は「庭に屋台がやって来た」。自宅の庭にリヤカー屋台を入れるまでのお話です。

(構成:山下あつこ、撮影:街道健太)

【「珈琲屋台 出茶屋」のホームページアドレス】
http://www.de-cha-ya.com/

【平林さんのお絵かき教室のホームページアドレス】
http://kyklopsketch.jimdo.com/
ページの先頭へもどる
【つるまきまゆこ×ひらばやしひでお】
【鶴巻麻由子】
1979年千葉県生まれ。2004年に東京都小金井市に移り住む。同年、小金井市商工会が主催する「こがねい夢プラン支援事業」に応募し、珈琲屋台のプランが採用される。現在は主に市内3カ所に日替わりで出店。
【平林秀夫】
1969年東京都生まれ。お絵描き教室「Kyklopsketch」主幹。イラスト制作、ワークショップの企画立案、音楽制作、料理研究など、文化系何でも屋。
新刊案内