「海外旅行はハワイに始まり、ハワイに終わる」。日本人のみでなく多くの旅人からそのように言われるほど、メジャーな外国、ハワイ。それを裏づけるように、日本人海外旅行経験者の約半数が訪れ、そのうち約4割がリピーターなのだそうです(ハワイ州観光局調べ ※2016年度)。カップルで、新婚旅行で、家族連れで、と人生のさまざまなシーンで訪れた人も多いのでは? でも、いざ「ハワイに行くのはこれが最後!」となったら、どこへ行こうか、何をしようか……。そこで「仕上げ」のハワイをテーマに、旅行作家・山下マヌーさんにインタビュー。40年以上にわたって通い続けているからこそわかる、奥深い魅力について聞きました。

ワイキキビーチは不動の人気エリア
―― マヌーさんは、長年にわたり編集者、ライターとして、旅行雑誌やファッション誌で「押さえておくべき遊び方」「楽しむツボ」を伝えてきた、いわば“ハワイを知り尽くした達人”。世界各国の旅本も60冊以上出版されています。中でもハワイに関する本は20冊以上、累計100万部以上と自他ともに認めるハワイ旅の第一人者ですが、初めて訪れたのは、いつごろだったのでしょう? 小学校の5年生か6年生のときだから、もう40年以上前の家族旅行でした。当時はまだ日本人旅行者は少なく、飛行機もガラガラ。ワイキキの雰囲気も今とはずいぶん違いましたが、泊まったのは変わらぬ人気を誇る「アラモアナ・ホテル」です。そこから望む海やビーチの景色もよかったけれど、記憶に残っているのはダイヤモンドヘッドに登ったり、ワイキキエリアだけでなくノースエリアやカウアイ島でハワイの自然にも触れられたこと。ハワイにはその後、数えきれないぐらい足を運びましたが、この“初ハワイ”が自分の旅の原点になっているかもしれませんね。
―― そんなマヌーさんが惹かれるハワイの魅力を、あらためて教えてください。
再開発が進むオアフ島のカカアコ地区
“何でもある”ことと、“いつ行っても楽しめる”ところですね。特にワイキキエリアは、日本でいえば銀座と丸の内と湘南が一緒になっているような場所。買い物を楽しみたい人も食事をしたい人も海が好きな人も、皆それぞれに楽しめる。あらゆる人のために多彩なコンテンツが用意されているので、誰もがハッピーな気分になれると思います。また、ワイキキ周辺はスクラップアンドビルドが激しい場所。そのためいつ行っても飽きずに楽しめる。だからハワイ好きの人は、毎年のように行くのだと思います。
最近ではワイキキからちょっと離れたカカアコ地区の変わりようが激しい。もともと倉庫街だったのが再開発されておしゃれなコンドミニアムやレストラン、個性的なショップが次々にオープンしている注目のダウンタウンエリアへと姿を変えつつあります。街のいたるところで壁を彩るウォルアートは、インスタ映えする場所として人気の観光スポットになっています。ワイキキだけにいたらわからない、こういうイマドキのハワイもぜひ散策してほしいですね。

カカアコ地区を彩るウォルアート

遊び心のある絵も
―― ちなみに現在、ハワイへ行く日本人は1年間にどれくらいいるのでしょう? 最初にハワイの本を出したのが1996年。その中で、「年間、約160万人が訪れるハワイ」と書いています。当時から、「旅はハワイに始まり、ハワイに終わる」と、旅慣れたツーリストたちが話していましたが、その数字は今も変わらず、そのうち半数近くがリピーターで、その比率は年々上がっているといわれます。ということは、「ハワイは知っているつもり」という人がどんどん増えているということ。ただし、泊まるところも遊ぶところもオアフ島のワイキキ周辺のみ。いつものところでいつものように過ごすだけでの安心というか無難というか、そんなスタイルの人が圧倒的に多いように感じます。
―― 外国なのに安心して旅行できる……そこがまた、日本人にとってのよさなのかもしれませんね。リピーターたちに向けて“仕上げのハワイ”のおすすめは? 年齢にもよりますが、ハワイが大好きで、それこそ何回もリピートしている40代、50代の人たちなら、今、密かに流行りつつある「海洋散骨ツアーの下見」なんていうのはどうです?
―― えっ、散骨!? バブルの残り香を感じるような派手なハワイの楽しみ方が出てくるかと思っていたので、驚きです。
山下マヌーさん(写真・編集部)
日本でも今、生前から散骨を希望する人が増えていると聞きます。「それなら大好きなハワイの海で」と考えても不思議はありませんが、ハワイの海のどこで、どんなふうに自分あるいは家族の骨がまかれるのか、知りたいですよね。そのための下見の旅行が実際にはやっているんです。
クルーザーを持っているビーチアクティビティの会社などがオプショナルツアーを催行しています。つい数週間前もハワイに行った際、知人に「最近、忙しい?」と聞くと、「散骨ツアーの下見がとても多い」とのこと。伝統的に海洋散骨が行われていることもあり、ハワイが持つ楽園の力を借りて明るく旅立ちたいという人にとっては、まさに“仕上げ”といえるのではないでしょうか。(つづく)
―― 大好きなハワイの海と一体になるなんて、理想的な“最後の総仕上げ”なのかも。次回は、その手前であれこれと楽しみながら自分なりの“仕上げ”を探す参考になるような、知られざる魅力についてうかがいます。(写真提供・山下マヌー、構成・宮嶋尚美)
【山下マヌー公式ブログ】
http://lineblog.me/yamashitamanoue