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子どもの世界は無限大 ミュージシャン×版画家
石川浩司×蟹江 杏
最終回 小さくたって一人の人間
 子どもたちとのおしゃべりを通して引き出した幼い心の奥底にあるホンネを、文章と版画で表現した蟹江杏さんの初エッセイ集『あんずとないしょ話』。WEBマガジン連載時のパートナーでもある石川浩司さんとの対談の最終回では、インタビューを通して気づいた“子どもとの接し方”について教えてもらいました

――いかにも子どもらしい部分と、人間として自分たち大人と同じ部分……一見すると両極端に思える2つの側面が子どもたちにはあった、と振り返る2人。たとえ年齢的には幼くても、実はいろんなことを見たり考えたりしていると話す。

石川 漢字が読めない、知識もそれほどない幼い子どもだとしても、もしかしたら大人の自分よりもその場の空気を読むことが上手にできるのかもしれない。そういう部分は、同じ人間として尊敬することが大切だよね。一人の人間として見られているとわかれば、子どもたち自身も自由にいろんな表現がしやすくなる。もちろん、子どもだから守られなければいけないところもあるけれど、「子どもだから何々してはダメ」ということもないんじゃないかな。

 「杏さんは子どもが好きですね」とよくいわれるけれど、そんなときに私は「好きな子も嫌いな子もいます」と返事をしているんです。厳しい意見だって感じる人もいるのかもしれませんが、子どもだって人間。年齢が幼いというだけで、「性格が合う・合わない」だけの違いだと思うのです。

――確かにそうかも、と思わせる意見。弾けるような笑顔が印象的な杏さんだが、胸の奥には常に冷静な目があって分析力に長けている。

石川 僕は普段から、人と接するときに年齢で区別するようなことはあまりしないかも。自分より歳が若くても才能あふれる人は尊敬しているし、その逆もある。それは僕がミュージシャンという自由な仕事をしていることも影響しているからで、会社に勤めていると、やっぱり仕事上の責任というものがあって、上下関係が大切になってくるから仕方がないこともあるのかもしれません。

――「石川さんはインタビューのときも普段と全く同じ。子どもに対しても態度が変わらない」と杏さんが話していたが、それは石川さんの中に一貫してある人との向かい方が反映されたもののようだ。石川さんと杏さんが子どもたちとの会話を重ねて、一冊の本となった新刊『あんずとないしょ話』。この本を手に取る読者には、子どもたちの“何”を読みとってほしいと2人は願うのか?

石川 ほかの人にはない、その子だけのいいもの・輝いているものが、どんな子どもにもあるということが伝わったらいいな。そのうえで、大人はできるだけ子どもの持っているいいところを見つけて、伝えて、伸ばしてあげてほしいですね。

 私は今回の経験を通して、どんなに幼くても“子ども”というカテゴリーでは見ずに、一人の人間として付き合うことが大切なのではないかと感じるようになりました。そうすると、その子だけの持っている“何か”が見えてくる気がする。この本を手にとった読者の方も、ぜひそういう視点で子どもと接してもらえればうれしいと思います。

――2017年5月22日に刊行された杏さんの初エッセイ『あんずとないしょ話』は、伸びやかな線と印象的な色づかいで描かれた版画と、子どものホンネが反映されたエッセイの絶妙なバランスが特徴だ。WEBマガジンに連載した子どもたちとのおしゃべりに加え、杏さん自身の子ども時代の思い出も綴られている。知っているようで知らない、覚えているようで覚えていない、子どもの世界。この一冊を手に探しに出かけてみては?


(構成:山下あつこ、撮影:街道健太)

【石川浩司のひとりでアッハッハー】
http://ukyup.sr44.info/

【蟹江杏さんのホームページアドレス】
http://atelieranz.jp/

※蟹江杏さんの新作展「旅する絵」が、2017年6月4日(日)まで東京国際フォーラム1階のフォーラム・アート・ショップ内ギャラリーで開催中です。10時~20時(最終日は17時閉場)。会場内にて、杏さん初の版画エッセイ『あんずとないしょ話』を販売しています。ぜひお立ち寄りください。

※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『あんずとないしょ話』が2017年5月22日に発売されました(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。WEB連載「あんずとないしょ話」はこちらをご覧ください。WEB連載「ママとパパには内緒だよ」はこちらをご覧ください。
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【いしかわこうじ×かにえあんず】
◆石川浩司◆1961年東京都にて逆子生まれ。神奈川県・群馬県育ち。バンド「たま」にてランニング姿でパーカッション、ボーカル担当。90年に「さよなら人類」でメジャーデビュー。同曲はヒットチャート初登場1位となり、レコード大賞新人賞などを受賞。2003年に解散後はソロで「出前ライブ」などの弾き語りおよびバンド「ホルモン鉄道」「パスカルズ」などで活動中。旅行記やエッセイなどの著作も多数ある。また今年4月には、10代女子2人とのユニット「えんがわ」としてアイドルデビューも飾った。

◆蟹江 杏◆東京都生まれ。ロンドンにて版画を学ぶ。NPO法人3.11こども文庫理事長。全国の百貨店や画廊で展覧会を行うかたわら、新宿区クリエーターズフェスタなどの都市型アートイベントにおいて子どもアートプログラムのプロデュースなどを手がける。東日本大震災の被災地の子どもたちに絵本や画材を届ける活動や、文部科学省復興教育支援事業としての講師やコーディネーターも務めている。
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