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“旅のメニュー”ができるまで 『旅の食堂ととら亭』シェフ
久保智子
第1回 運命の料理との出会い
 これまで旅した国は50以上! そんな旅好き夫婦の“世界のギョーザをめぐる旅”を綴った『世界まるごとギョーザの旅』が、2月下旬に刊行されました。年に数回、店を閉めて1~2週間前後の取材旅行に出かけ、旅先で体験した”感動の味”をお客さんに提供する――そんなユニークなコンセプトの『旅の食堂ととら亭』を営む2人の旅と食のエッセイです。その舞台裏を、著者・久保えーじさんの妻にして旅の相棒であり、料理人でもある久保智子さんにインタビュー。さて、どんな話が飛び出すのでしょうか?

『世界まるごとギョーザの旅』の著者・久保えーじさんと智子さん
――2010年3月、東京・中野区野方に『旅の食堂ととら亭』を開業してからは、それまでの気ままな放浪の旅とは大違い。慎重に準備された取材旅行へと様変わりした久保さん夫婦の旅。3年先ぐらいまでじっくり決めている取材先のスケジュールに基づいて、旅程の組み立てから航空券、ビザの取得、宿の手配までを、えーじさんが一人で行う。では、智子さんの役割は?

 渡航先が決まったら、まずはその国の郷土料理や特徴ある名物料理を本やインターネットで探して一覧表を作ります。それをもとに2人の意見をまとめ、旅から帰ってからどの料理を“旅のメニュー”として作り上げていくのか、という大まかなプランを事前にイメージしておくのが私の役割です。

――料理をピックアップする際には、その国の郷土料理や名物料理であることが大前提。ととら亭で提供する期間限定の旅のメニューは毎回3品と決めているため、前菜とメーンになりそうな料理を、出発前にそれぞれピックアップしておくという。

 肉ばかりではなく、野菜や魚など、食材のバリエーションにも気を使っているんですよ。どれだけ綿密な下調べをしていても、旅にハプニングは付き物。食べたかった料理と出会えないこともあるから、できるだけ多くの料理を候補として上げておきたいといつも考えています。

――インターネットがこれだけ普及した今日だが、情報がたくさんある国とない国の差はやっぱりある。事前情報が少ないと、現地でちゃんと料理を見つけられるか不安になる。そんな場合に頼もしい助っ人となってくれるのが、ホテルの従業員や現地で出会った人々だ。

 とはいえ、郷土料理はそれぞれの地域や家庭の中で受け継がれ、食べられてきたもの。外食自体が一般的ではない国では、私たちが探しているような“その国ならではの料理”を食べられるレストラン自体が少ない場合もあります。

――すぐにコレッといった味に出会う場合もあれば、逆もある。料理探しで苦労したのがブルガリア。現地に滞在中に目当てにしていた料理をレストランで何度も食べてみたものの、味にピンとくるものがなく、これを旅のメニューにしていいものかと悩んだ。

「ブルガリアン シュニッツェル」
 旅の最終日にレストランのメニューを見ていたら、気になる名前の料理があったんです。旅行中の食事は、ととら亭で提供する旅のメニューを見つけるための取材。だから基本的には事前に目星を付けた料理を頼んで食べるので、突発的なオーダーをすることはほとんどありません。でも、その料理を食べてみたらすごくおいしくて! こうして旅のメニューに加わったのが、2014年4月のブルガリア料理特集で出した「ブルガリアン シュニッツェル」なんですよ。

――この料理は、2015年にアンコールメニューで再登場したほどの人気ぶり。予期せぬ新しい料理との出会い。これも、ととら亭のコンセプトになっている“感動の味”の一つと言えそう。次回は、世界各国の料理を日本で再現するにあたっての秘訣を教えてもらいます。

(構成:山下あつこ)

※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『世界まるごとギョーザの旅』が絶賛発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。
WEB連載「世界まるごとギョーザの旅」はこちらをご覧ください。えーじさんのインタビュー記事「旅の食卓から世界が見える」はこちらをご覧ください。



【「旅の食堂ととら亭」のホームページアドレス】
http://www.totora.jp/
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【くぼ・ともこ】
1970年群馬県高崎市生まれ。食品成分分析会社、求人誌営業を経て料理業界へ転身。フランス料理、ドイツ料理のレストランで修業した後、夫にして旅の相棒でもあるえーじとともに、2人が旅先で出会った感動の味を再現した“旅のメニュー”を提供する『旅の食堂ととら亭』を2010年に開業。旅の料理人となる。見かけは地味だが、スリルとサスペンスに満ちたジリ貧の旅を好む。特技は世界中どこでも押し通す日本語を使った値切り。
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