「なぜ、そんなにラベンダー畑が好きなの?」と聞かれても、ひとことで答えることは不可能です。日本にいるころはラベンダーが特別好きだったわけでもありませんし、ラベンダー畑を見に行ったときも「きれいだな」くらいの感想で、正直、もう一度見に行きたいと思ったことはありませんでした。
しかし、フランスに住んでからというもの、なぜか初夏になるとソワソワし始めます。あの紫色に染め上げられた大地に、心が向かうのです。
「死ぬまでに見たい絶景」といわれるヴァランソル高原。
読者アンケートで「フランスの行ってみたい村」第3位に選ばれたこの地に魅せられ、何度足を運んだことか。
私がこのヴァランソルのラベンダー畑に初めて出合ったのは、夏のヴァカンス休暇を兼ね、夫と一緒にフランスの旅本で見つけたムスティエ・サント・マリーを訪れる途中のことでした。ラベンダー畑を見つけたのは、それこそ突然で、ただ何もない道路の両脇にパッと一面が紫色の光景が目に入ってきたのです。
あれから、数年が経ち……。
毎年のように日本から来たツアーのお客さまを連れ、ラベンダー畑を訪れることになった私。
そこで見る光景は、不思議なくらい「Déjà-vu(既視感)」を誘います。
そう、大人たちがまるで子どものようにはしゃいでいる姿。
あぁ、あれは数年前の私のようで、いや、きっと今もそうに違いないのです。
今では禁止されている行為だけれど、まだそこまで有名でなかった約10年前は、観光客もそれほど多くなく、ラベンダーの紫の畝の中を、大人たちが笑顔で走り抜け、その姿をパートナーがうれしそうに撮影している光景を何度も見かけたのでした。
早朝にラベンダー畑を訪れると、そこにはまだ観光客の姿はなく、撮影のタイミングを待つためにじっとカメラを構えるカメラマンたちがいるだけです。その中に混じって写真を撮っていると、美しい朝焼けの中、皆が一様に笑顔を浮かべてシャッターを切る音だけが聞こえていたのでした。
目を閉じると、刻一刻と紫の色を微妙に変えていくあのラベンダー畑が目に浮かんできます。
耳元で蜂の羽音が聞こえてくるけれど……。
それがまるで、大地の鼓動のよう。
私の本(
『フランスの小さな村を旅してみよう』)でもご紹介したように、ヴァランソルという地名の由来は「太陽が降り注ぐ谷(La Vallée du Soleil)」。
「神に守られた土地なんですよ」。そう教えてくれた現地ガイドさんの誇らしげな顔を思い出します。
性別や年齢をこえ、誰をも笑顔に変えてしまう土地。
そう、「ヴァランソルは夢への入り口」。 (つづく)
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