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にっぽん醤油蔵めぐり
「職人醤油」代表
高橋万太郎
第1回 国内最大級の木桶で仕込む(足立醸造・兵庫県)
 昨年11月に好評のうちに連載が終了した「職人醤油のつくり方」が、装いもあらたに帰ってきました! 100mlの小瓶に入ったこだわりの醤油を扱う「職人醤油」代表・高橋万太郎さんが、全国を巡って出会った蔵元とそこで働く人々の素顔に再び迫ります。

1889年(明治22年)創業の「足立醸造」

 「婿養子の醤油屋は、いい醤油屋」
 私が勝手に感じている法則です。なぜなら、「自分がいるからこそできる何か」を探そうと、新たな挑戦をする蔵元が多いように感じるからです。足立醸造の足立達明さんも、婿養子。「やっぱり肩身が狭いもんだよ」とこっそり話してくれますが、ここも私の法則どおり。新しい挑戦を続ける蔵元です。

 兵庫県の中央部にあり、周りを山で囲まれている足立醸造は、車がないと伺うのが大変です。こう書くと山間の集落にある小さな蔵元のような印象をもたれるかもしれませんが、れっきとした有機JAS認証工場。これは農林水産省が定めた有機農産物加工品の厳しい規格に適合するものだけに表示が許可されるもので、足立醸造が取得した2002年当時は中小メーカーの取得は極めてまれでした。


100年以上使い込まれた木桶と新しい大桶が並ぶ

 足立醸造の醤油は、すべて木桶仕込み。醤油の諸味を入れて熟成させる容器には、木桶のほかにFRPと呼ばれる強化プラスチック製や鉄製、コンクリート製のものなどがあります。かつて足立醸造では木桶のほかにFRP製も使っていましたが、FRP製のタンクを廃棄し、全量を木桶で仕込むことに。その減った分をおぎなうために木桶を増やして対応しなければならないわけですが、手入れに手間のかかる木桶の需要は減り、ほとんど流通していません。木桶を使って醸造する醤油の流通量は現在、全体のたった1パーセント。こうした足立さんの挑戦は、効率化を追い求める時代の流れにあらがうものでした。
 ですから2009年3月20日に、高さ約2メートル、30石(約5400リットル)の木桶が納入されたお披露目会には、大きな新桶を一目見ようと多くの関係者が集まりました。

 さらに、長男の裕さんが家業を継ぐため戻ってきた2012年、次なる大きな決断を。新工場の建設と、高さ4 メートル、直径3メートルで120石(約2万リットル)という国内最大級の大桶を設置する大規模な投資でした。

醤油をこよなく愛する足立達明社長

 この挑戦によって、醸造する醤油の全量が木桶仕込みの丸大豆醤油、その半分以上がオーガニック原料を使ったものに。今ではヨーロッパをはじめ海外のオーガニック規格も満たし、輸出もしています。「これからはSoy Sauce ではなく、Shoyu として認知してほしいね」と、意欲満々に語る足立さん。
 先代・光也さんが、「自分たちの手で原料から醸した醤油をもっともっと世に出していきたい」と、特に大事にしたという「醸造」への思いは、足立さんへ、そして息子さんたちに刻み込まれているのだと思います。


☆この1本でこの料理☆

足立醸造・兵庫県)



木桶仕込み 小さな国産有機醤油

価格:514円(税込み)/原材料:大豆、小麦、食塩

「焼き油揚げ」


 希少な国産の有機大豆、有機小麦、赤穂の海水塩、北播磨の清流杉原川の伏流水を使用し、吉野杉の木桶でじっくり熟成。まろやかで深みある芳醇な味わい。油揚げをただシンプルに焼いて大根おろしを添え、このぜいたくな醤油をたらせば、ごちそうに。

① 油揚げをグリルかフライパンで焼く

② 大根おろしを添えて「木桶仕込み 小さな国産有機醤油」をかければできあがり

【職人醤油―こだわる人の醤油専門サイト】
http://www.s-shoyu.com/
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【たかはし・まんたろう】
1980年群馬県生まれ。立命館大学卒業後、(株)キーエンスにて精密光学機器の営業に従事し2006年退職。(株)伝統デザイン工房を設立し、これまでとは180度転換した伝統産業や地域産業に身を投じる。現在は、一升瓶での販売が一般的だった蔵元仕込みの醤油を100mlの小瓶で販売する「職人醤油」を運営。これまでに全国の400以上の醤油蔵を訪問した。
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