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ようこそ、小平新文化住宅へ 日本モダンガール協會
淺井カヨ
最終回 好きを追求し続けるのが「最高の幸せ」
 小平新文化住宅での生活が始まり、すでに快適な暮らしを実感している淺井カヨさんとご主人の郡修彦さん。昨年10月の入居以来、昔ながらのご近所づきあいも生まれているそうです。最近では蓄音器コンサートを催して新居を公開するなど、小平新文化住宅を拠点にした人の輪が広がっています。

郵便受けには催しの案内が掲示され、門柱にはそのチラシが置かれている
――小平新文化住宅では、「蓄音器鑑賞会&建物紹介」を今年の1月からほぼ毎月開催しているようですね。

淺井 主人の仕事柄、大正から昭和のSPレコードを多く持っているものですから、1階の洋室(応接室)で蓄音器コンサートを開いています。さらに、「建物紹介」として2人で家を案内し、ゆったりお茶を飲みながら当時の雰囲気を味わってもらっています。
 わずかな時間にせよ、この家で過ごしてみて「天井高くて開放感があるな」とか「心が落ち着く」とか、何を感じるかは人それぞれ。好きになる入り口は誰にもわかりませんが、この家を知ることで大正から昭和にかけての暮らしに少しでも興味を持つ人が増えてくれるとうれしいですね。



――これまでに開催は60回をこえています。参加者は10代から70代まで幅広く、淺井さんのブログや、郡さんが連載している雑誌を見た人のほか、最近ではご近所さんからの申し込みもあるそうです。

淺井 参加してくださった方からは、「すてきな時間でした」「夢みたいでした」といううれしい感想ばかり。皆さんに喜んでいただいているようです。今のところ、「もういや」「もう帰ります」という方は一人もいません(笑)。さすがに真夏の開催は差し控えようかと思っていますが、今後もこの催しを続けていきたいと考えています。

蓄音器鑑賞会の会場となる1階の洋室。「漆喰の壁と高い天井の影響で音がよく響きます」と淺井さん



――憧れを現実にすべく、文化住宅を平成によみがえらせた淺井さん。家づくりを経験して感じたことは何でしょう。

淺井 昔の家の魅力は風情があることです。窓枠を木にしたり、日本の伝統工法を採用したりと、昔ながらの意匠や仕様を取り入れることで、時代は変わっても日本の風情は残っていくと思うのです。英国などの外国の文化にあるように、古いものを手入れしながら使っていく習慣が日本にも根づいていけば、職人さんの技術がもっと見直され、日本の伝統工法も受け継がれていくのではないでしょうか。

2階洋室の出窓は、昭和4年築の文化住宅である旧高田邸(東京都国立市)から譲り受けて移築したもの
――「私は大学の教授でも研究者でもない」と話す淺井さんは、1人の愛好家として「これからも昔の生活を実践していく」ときっぱり。

淺井 休日やイベントのときだけモダンガールの格好をする、という選択肢もあるとは思いますが、それだけではまったく時間が足らないと思うぐらい、モダンガールが生きた時代が大好きなのです。だからこそ、当時の衣食住を生活に取り入れた暮らしを実践する――それがもはや体の一部のように、私にとってなくてはならないものになっています。

 もちろん、人によって「好き」の対象は違っていいとは思います。ですが、「これが私のいちばん」というぐらいに好きなものを見つけて、それをとことん追求していく。これこそが最高に幸せな生き方なのではないでしょうか。だからこそ、モダンガールを追い掛けることはやめられません。


【日本モダンガール協會のホームページアドレス】http://mogakyokai.com/


――取材を終えて
 どこか懐かしく、ゆったりとした特別な時間が流れる小平新文化住宅。お盆やお正月に家族全員が集う、そんな古きよき時代の生活風景を今に伝えています。大正から昭和にかけて建てられた文化住宅を現代に再現した淺井カヨさん。好きなことを一途に追い求めてきた情熱は、新しい時代を駆け抜けた日本のモダンガールの気概と重なります。「実践することで得られる学びや経験が自分にとってプラスになる」。“実践”をモットーにする淺井さんの姿勢は、私に人生を有意義に生きるコツを教えてくれました。「好きなことがあれば何か1つでも実践を!」。好きなことをとことん掘り下げていった淺井さんならではのアドバイスは、時代を超えても色あせません。

(構成:狭間由恵、撮影:永田まさお)

【写真展のご案内】
「小平新文化住宅竣工記念 郡修彦・淺井カヨ寫眞展」

小平新文化住宅の着工から落成までを記録した写真を展示します。
日時:7月1日(土)~7月15日(土)
   19時ごろ~翌朝2時ごろ、火曜定休
会場:バー鳥渡(杉並区高円寺北2-4-8-2F)

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【あさい・かよ】
大正65年(昭和51年)名古屋市生まれ。2007年に日本モダンガール協會を設立。大正末期から昭和初期を生きた日本のモダンガールと、その時代の調査や研究、講演を行うだけでなく、ファッションから生活様式まで当時のスタイルを追求し実践する。2016年9月に大正から昭和にかけて建てられた洋館付き住宅「小平新文化住宅」が完成。同住宅を会場に蓄音器コンサートや講演会なども開催するほか、かつての古きよき時代にタイムスリップしたかのような自身の暮らしぶりも公開している。著書に『モダンガールのスヽメ』(原書房)がある。
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