[内容] 
                    サイバー空間・宇宙の軍事利用とグローバル経済の転換がもたらす国際競争の未来を、気鋭の研究者、経験豊富な実務家兼研究者9人が展望する。緊迫するユーラシア情勢とグローバルシフト――「新たな戦争」の問題とは何か。 
                    〈編者の言葉〉 
                      藤巻裕之(東海大学政治経済学部政治学科教授) 
                       情報時代のエネルギー消費は、これまでのような化石燃料の大量消費を基礎とした産業構造から改めて農業時代の持続可能なエネルギーの消費構造への依存を、21世紀の科学技術をたたき台にして創り出そうとしている。米中間の競争は物理的情報、仮想的情報の両方を巡る競争であり、同時に文化的魅力、統治方法の競争でもあることから、米中両大国の競争がこの後の新しい世界を構築していくことになるだろう。このような工業時代から情報時代への転換点において社会、科学技術、エネルギー消費の転換が戦争の領域をも拡大している状況を本書ではグローバルシフトと呼ぶ。(「はじめに」より) 
                    [目次] 
					はじめに 
					  第1部 新たな戦争の領域と国際政治 
					   第1章 グローバルシフトと紛争の変容——ネオ・サイバネティクスの視点から 
					    加藤 朗(桜美林大学リベラルアーツ学群元教授) 
					   第2章 最新兵器がもたらす新たな戦闘領域と国際政治に与える影響 
					    伊東 寛(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)主席研究員) 
					   第3章 サイバーセキュリティと地政学・地経学 
					    土屋大洋(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授) 
					  第2部 新たな戦争の領域をめぐる中国とロシアの論理 
					   第1章 ユーラシア諸国にとっての「脅威」——ロシア、中国による非民主主義的地域主義 
					    藤巻裕之(東海大学政治経済学部政治学科教授) 
					   第2章 全領域戦と中国のサイバー安全保障 
					    渡部悦和(渡部安全保障研究所所長) 
					   第3章 ロシアにおけるサイバー空間の安全保障と「ハイブリッド戦」 
					    佐々木孝博(富士通システム総合研究所主席研究員、東海大学平和戦略国際研究所客員教授) 
					  第3部 新たな競争のフロンティア 
					   第1章 AIの軍事利用に関する課題と脅威 
					    パーヴェル・カラセフ(モスクワ大学計算数学・サイバネティクス学部情報安全保障研究所シニア・リサーチャー) 
					   第2章 宇宙安全保障と国際政治 
					    志田淳二郎(名桜大学国際学群准教授) 
					   第3章 EUの対中輸出管理政策——「パートナー」と「ライバル」としてのEUの対中認識に着目して   
					    和田龍太(東海大学国際学部国際学科准教授) 
					  おわりに 
[藤巻 裕之(ふじまき・ひろゆき)] 
               		  東海大学政治経済学部政治学科教授。1969年生まれ。Webster University(米国)国際関係論修士号取得、東海大学大学院政治学研究科博士課程後期修了。IMEMO(ロシア科学アカデミー、国際経済国際関係研究所)にて研究、東海大学平和戦略国際研究所次長などを経て、2022年より現職。主著に『東アジアに「共同体」はできるか』(共著、社会評論社)、『アメリカがつくる国際秩序』(共著、ミネルヴァ書房)などがある。 
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