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『笑いの日本文化~~
「烏滸(おこ)の者」はどこへ消えたのか?』
樋口和憲著

その昔、日本には笑いを神にささげる人々がいた。
それが日本の「笑い文化」の始まりだった。
柳田国男が「烏滸の者」と呼び、その消滅を嘆いた人々――。
歴史のなかで、さまざまに姿を変えて、彼らはどこへ消えたのか?
日本文化の源流に深く分け入り、「笑い」の起源や歴史的変容を掘り起こした労作が、現代の薄っぺらな「商品としての笑い」と強張りに満ちた社会を照射する。



2013年6月24日 発売
四六判・並製 288ページ
定価(本体2,000円+税)
ISBN978-4-486-03750-7
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目次

まえがき

第一章  笑いの起源をたどってみれば
ヒトはなぜ笑うのか/「神」の発見/神の訪れの「音」/「音霊」の世と銅鐸の謎

第二章 神と笑いと日本人
謎の「国栖人」/卑弥呼の笑い/巫女たちの行方/天と地を循環する神/神への捧げ物/「土地の神」との交流/神話の神々の笑い/生存のための「武器」として

第三章 「笑い神事」に秘められた謎
さまざまな「笑い神事」/「陽」と「陰」の真剣な笑い/「山の神」に捧げる笑い/「オコゼ笑い祭り」の謎/柳田を悩ませた「オコゼの秘密」/「道化」はなぜ必要だったのか?

第四章 共同体の変容と「笑い」の変化
村八分を解く笑い/葬式の笑いと涙/民話のなかに残された笑い/狂気と笑いと共同体/烏滸の者の「社会制度化」/共同体の分化とともに/「あまのじゃく」から「おどけ」と「もどき」へ

第五章  都市化・近代化と笑いの変遷
家畜化された笑い/ウソと「烏滸の者」/ウソを嫌った「近代化」/「とんち話」を楽しむ民衆/「郷土」の笑いはどこへ/福笑い―「家のなかの笑い」の誕生/笑いの都市化のなかで

第六章  グローバル化社会と烏滸の者
末裔としての狂言師や落語家/山下清に見る烏滸の者ぶり/「常ならぬ者」を排除する時代/グローバル化社会と烏滸の原理/アフリカ的烏滸の価値観/烏滸の聖人フランチェスコ/ドイツの烏滸のいたずら者/アメリカと「沈黙の真剣さ」/ヘヨカの「野生の笑い」/東洋の笑いと烏滸の者

第七章  「笑い」に挑んだ知の巨人たち
「烏滸の学問」が未来を拓く/ベルグソンと「笑い」の哲学/柳田の「笑いの本願」/『北斎漫画』の革新性と国際性/ハイネの「笑いと革命」/フレイザーの「革命の民俗学」/南方熊楠は粘菌の烏滸の者

第八章  災害の国日本と「無常の笑い」
天災と烏滸の者/記紀に記された天変地異/鴨長明の「方丈住まい」/烏滸なる清少納言と吉田兼好/芭蕉の「奥の細道」と「はやり神」/厄難と「無意識の笑い」/文化的反応としての笑い/「ケガレの強張り」を溶かす力

おわりに



●樋口和憲(ひぐちかずのり) 1959年東京都生まれ。東京都立大学(現・首都大学東京)法学部卒業。独立行政法人日本学術振興会国際事業部勤務を経て、同ワシントン研究連絡センター及びボン研究連絡センター副所長として米国及び独国の学術動向調査、学術関係機関との調整業務等に従事。現在、独立行政法人日本学術振興会学術システム研究センター専門調査役。著書に『グランドファーザーの贈り物 都市文明を超えて―聖なる環(サークル)に生きる』(新風舍)。論文『蟻のベルクソン、手話する哲学者 ―進化に「生命の跳躍」を見た男―』で第六回涙骨賞最優秀賞(中外日報社)を受賞。

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