東北方言で詩や芝居を綴る英米文学者の相澤史郎だが、高校卒業以来、半世紀以上も故郷を離れて暮らしてきたために、その心情は「故郷喪失」であるという。そんな氏が、「北」とは何かについて、日常生活や「瞽女の唄」「ケルト文化」などから題材をとって掘り下げて考察した。
<目次>
第一章 北の唄
序曲〜下り最終鈍行列車で
一人ぽっちの少年の死
瞽女のブルース
〈北の唄〉
道路は生を結びつけ
第二章 北に生きる
〈春〉山間にはまだ尺余の雪が
〈夏〉凶作
〈秋〉米の呪い
〈冬〉出稼者の暗い悲劇
農、漁民は何故寒い
ある〈逃亡者〉のこと
捨てられた〈ヤマ〉へ
第三章 北のまつり・方言の詩
東北・この名状しがたく不気味なもの
詩と始源への祝祭
方言詩の課題
第四章 ケルト幻想
ケルトの唄
ケルト文化圏・音楽・詩
第五章 書評
『俳句を味わう』『韓国三人詩集』『日本方言詩集』『詩人の立場』
『植民地と祖国分断を生きた詩人たち』『女性たちの現代詩』『詩の履歴書』
『遠いうた』『猟女犯』『満州崩壊』『邂逅の森』『となり町戦争』
『千三忌』『聖なる道化師』『雪どけの銃弾』『ラコタ・ウーマン』
『知の自由人たち』『鷲の羽衣の女』『少年パパニー』『指揮官たちの特攻』
『玉葱の画家』『内なる祖国へ』『ぼくもいくさに征くのだけれど』
『旅を慕いて』『ヨーロッパ辺境紀行』『北上幻想』『山憶い 都市想い』
『ビッグフットの謎』『ホームレス入門』『西馬音内盆踊り』『松に聞け』
『リアスの海岸から』『失われた森』『探究「鎮守の森」』『逝きし世の面影』
『よみなおし戊辰戦争』『新選組』『彰義隊遺聞』
『英国人写真家の見た明治日本』『垂直の記憶』
第六章 対談
故郷の言葉と標準語の関係を考える──後藤昌次郎(弁護士)
共通語と方言の“バイリンガル”がいい───川崎 洋(詩人・文筆家)
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