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子どものこれから
「子どもの権利」を子どもの力で 早稲田大学里親研究会代表
川名はつ子
新刊「権利条約ワークブック」の監修者に聞く(前編)
 世界中の子どもたちの基本的人権を国際的に保障することを目的として、1989年に国際連合で採択された「子どもの権利条約」。条文の内容をイラストと文章でわかりやすく伝える絵本『はじめまして、子どもの権利条約』(発行:東海教育研究所)の姉妹本ともいえる『はじめまして、子どもの権利条約ワークブック』が、このたび発売になりました。
 このワークブックに込めた思いや今後の活動について、監修者の川名はつ子さんに聞きました。前編と後編の2回にわたって紹介します。


――スウェーデンの画家チャーリー・ノーマンさんが描いたイラストを使って、条約の内容をわかりやすく解説した絵本『はじめまして、子どもの権利条約』を2017年に出版しています。今回、その絵本をベースにワークブックを刊行した背景にはどんな思いがあったのでしょうか?

 「子どもの権利条約」は、生きる権利、守られる権利、育つ権利、参加する権利の4つを柱に、子どもたちを守っていこうとするものです。児童虐待や貧困、いじめといった事件が大きな社会問題となる中、子どもの権利についてより多くの人に知ってもらい、“子どもの問題を自分自身の問題”として認識してほしいと考え、3年前に絵本を制作しました。

 そのうえでさらにワークブックをつくろうと思ったきっかけの一つは、絵本の原画ポスター展やワークショップでの、子どもたちの反応でした。松葉杖の子どものイラストを見た子どもが、「僕の友だちは車いすを使っているんだよ」と言って来場者用の芳名帳に車いすの絵を描いたり、自分が欲しいと思う権利を書いたり……。「どのイラストが好きか」「どこが気に入ったのか」「イラストを見てどう感じるか」など、目を輝かせて感想を話してくれたのです。

 子どもたちには、“自分たちにとって大切なことがイラストに描かれている”と、ちゃんとわかるんですね。それは、イメージを喚起して心に訴える力を持つノーマンさんのイラストの素晴らしさなのだと思います。子どもたちの豊かな反応に手ごたえを感じ、彼らの意見をもっと吸い上げたい、さらに理解を深めてほしいと考えてワークブックを制作しました。

――ワークブックの特徴や活用のヒントを教えてください。

2017年に出版した絵本『はじめまして、子どもの権利条約』(右)と新たに刊行した『ワークブック』

 全54条の中から、日本で暮らしている子どもたちの日常に関係する条文、子どもたちに正しく理解してもらいたい条文、海外の子どもたちの状況に思いをはせることができる条文、合わせて10の条文を掲載しました。原則として小学校3年生までに習う常用漢字を用いており、それ以外にはルビを振って読みやすくしてあります。さらに、条文をやさしい文言に置き換えるなど、低学年から学習に取り組めるように配慮したつくりにしました。

 ノーマンさんのイラストを見て、「何を表していると思うか?」「なぜそう思うか?」を考えて自由に書いてもらい、発表し合ったり意見を交わしたりしながら、子どもの権利についての理解を深めてもらえるような構成になっています。子どもたちは、イラストについて語りたいことをたくさん持っているはず。保護者や指導者の皆さんには、子どもが考えをまとめられずにいても口出しをしたり催促したりしないで見守り、自由に思いを表出できるようにサポートしてほしいと思っています。

 このワークブックは2色刷りですから、カラーイラストの絵本と一緒に用いることでよりいっそうイメージを広げられるでしょう。子どもの権利の普及啓発などにかかわる専門家などによるコラムも掲載していますので、大人が子どもにわかりやすく説明するなど、一緒に考えて学んでもらえたらうれしいですね。(つづく)

――次回は、子どもの権利条約を社会に浸透させるための、川名さんの新たな取り組みについて聞きます。

(構成・川島省子)

『はじめまして、子どもの権利条約ワークブック』
監修:川名はつ子 イラスト:チャーリー・ノーマン
定価(本体800+税)

1989年に国際連合で採択された「子どもの権利条約」全54条の中から10の条文を抜粋。絵本『はじめまして、子どもの権利条約』と同じイラスト(2色刷り)を見ながら、子どもたちが自分の権利について自由に想像し、言葉にして書き込み、それをもとに話し合うことで、「子どもの権利条約」への理解を深める手助けとなるワークブック。
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絵本『はじめまして、子どもの権利条約』
監修:川名はつ子 イラスト:チャーリー・ノーマン
定価(本体1,500円+税)

子どもの基本的人権を国際的に保障することを目的に、1989年に国際連合で採択された「子どもの権利条約」全54条の中から17の条文を抜粋。その内容を、スウェーデンの画家、チャーリー・ノーマンが描いたシンプルで力強いイラスト17点とともにオールカラーでわかりやすく紹介。
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※絵本とワークブックをセットで利用されることをおすすめします。

「知ろう!読もう!生かそう!国連子どもの権利条約ブックリスト」


 子どもの権利条約の関連書籍や雑誌をまとめたブックリストを、19の出版社による「生かそう!子どもの権利条約出版社(有志)の会」が制作しました。「かもめの本棚」もこの取り組みに参加しています。無料でダウンロードできますので、ぜひ活用してください。

◆ダウンロードはコチラから⇒

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【かわな・はつこ】
早稲田大学里親研究会代表。一般社団法人ピノッキオ代表理事。早稲田大学人間科学学術院元教授。お茶の水女子大学文教育学部卒業。博士(医学)帝京大学。社会福祉士。太平出版社編集部、帝京大学医学部助手、帝京平成短期大学福祉学科講師を経て、2003年4月から2019年3月まで早稲田大学。専門は子ども家庭福祉(養子里親制度・障害児)。
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