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きれいをつくる
キレイを引き寄せる脳との付き合い方 脳科学者
中野信子
第3回 “恋愛体質”がキレイを招く
 何歳になってもキレイでいたいと思うのは女性の本音。ところが、ふと鏡に映る自分を見て、「そういえば近ごろ、自分に手間をかけなくなっているなあ」と思うことはありませんか? 服装や髪形に気を使わなくなり、家の中でいつも同じような服を着て、化粧っ気もない。おしゃれをしなくなると、日常生活もだんだんルーズに……。しかし、それでは身近な男性から見ても、女らしさを感じることができません。「でも、いきなり変われるわけがないし、どうすればいいの?……」と思っている方に、ぜひ参考にしていただきたいのが今回のコラムです。脳の働きを使って、男性から見て美しく、そして、自分でもハッとするような、女としての艶を取り戻すしかけについてお話ししましょう。

恋をするとキレイになるのはなぜ?

 「女は恋をするとキレイになる」といいます。皆さんの周りにも、恋が始まって急にキレイになった女性はいませんか? 目が大きくキラキラして見えたり、肌がつやつやになったり、スレンダーになったりして、今までとちょっと印象が変わる。男性は恋をしてもそれほど外見が変わるわけではないのに、女性はなぜ恋をするとキレイになるのでしょうか。

 脳科学的にいうと、女性が恋をするとキレイになるのは、脳がドーパミンに代表されるPEAと呼ばれる物質を分泌しやすくなるためといわれています。PEAの化学構造を見てみると、実は覚せい剤に似ていて精神をハイにするだけでなく、実際に瞳孔を開いて目を大きくしたり、代謝を上げて肌につやを与えたりしてくれるのです。また、食事をたくさん摂らなくても元気でいられるので、やせ薬としての効果もあります。“恋患い”で食欲がなくなるといわれるのもドーパミンのなせる技なのですね。たとえリアルな恋でなくても、映画やドラマに出てくる俳優さんを好きになったとしても、ときめく相手がいればドーパミンが分泌され、それだけキレイになります。誰かに恋をするのは、女性の見た目にそれほど大きな影響を与えるのです。

自分が“恋愛体質”かどうかわかる3つの質問
 ただし、すぐに恋に落ちやすい人と、なかなか恋心に火がつかない人がいます。前者をこのコラムでは“恋愛体質”と呼びますが、恋愛体質度の高い人ほど、やはりドーパミンは出やすいといえます。
 ここで、今のあなたが恋愛体質かそうでないかがわかる質問をしてみましょう。
Q1.新作スイーツや新しいお店など、新しいものに目がない
Q2.誰と会っても、必ずその人のいいところを見つけるクセがある
Q3.ゲームや勝負など、スリルを感じるものが好き

 3つ全部にYESと答えた人は、恋愛体質度はかなり高め。すべてNOの人は新しいものにすぐに飛びついたりせず、どちらかというと安定して落ち着いた状態を好む傾向があると思われます。もちろん、それはそれでいいのです。恋愛体質であるかどうかは、あくまで遺伝的なもの。じっくり物事と向き合うタイプの人は職場で周りからの信頼が厚いなど、人間的魅力を持っているはずです。しかし、「私も恋愛体質になってみたい! 」というのであれば、方法がないわけではありません。それは恋愛体質の人の群れに入ることです。

ドーパミンを出やすくする方法
 恋愛体質であるかどうかは遺伝であるはずなのに、もともと恋愛体質でない人が恋愛体質の群れに入ることで、なぜ恋愛体質になれるのか。不思議ですよね? ここに「エピジェネティック」という脳の働きがかかわってきます。遺伝子コードが書き換えられたわけではないのに、人生で起こる経験や学習によって遺伝子のスイッチ(ON/OFF)の入り方が変わり、性質が変わってしまう。この現象は私たちの周りに数多く存在しています。

 たとえば、“夫婦は似てくる”といいますが、長年一緒に生活するうちに考え方が似てくるだけでなく顔までも似てくるのは、同じ内容の遺伝子コードがONになるからだと考えられています。遺伝的な要因だけでなく、環境要因、すなわちエピジェネティックな機構が関与していると考えられるのです。これと同じで、ドーパミンが出にくい人でもドーパミンが出やすい人と一緒にいると、ドーパミンが出やすい遺伝子コードがONになる可能性が高くなるといえます。

 周りに恋愛体質の人が見当たらないという場合は、自分から見て「キレイだな」と思う人と一緒にいるといいかもしれません。その人が着ている洋服や髪型、メイク、食べ物、音楽、あるいは話し方、表情といったふるまいをどんどん真似することで、エピジェネティックな変化が起こることは大いにありえます。脳内には「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞があって、その人の行動を見ているうちに、まるで自分が同じ行動をとっているかのように同調し、鏡のような反応をしてしまうのです。“もらい泣き”などはその最たる反応。自分に悲しいことがあったわけでもないのに涙が出るのは、ミラーニューロンが活動するからです。同様に、キレイな人の行動を観察するうちにその人が持っているキレイの要素が自分に移るというわけです。

 自分から行動を起こせば、脳は忠実に動いてくれます。キレイになりたければ、恋愛体質の人、キレイな人と行動をともにすること。これは一つの成功哲学だと思います。

(構成・宮嶋尚美)

キレイへの3rd step
「エピジェネティックな変化を起こす」
~キレイな人がやっていることを真似てみる~



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【なかの・のぶこ】
1975年東京都生まれ。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。脳科学者、医学博士。フランス原子力庁で研究員として勤務後、脳科学についての研究と執筆活動を行う。書著に『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』、『東大卒の女性脳科学者が、金持ち脳のなり方、全部教えます。』、『世界で通用する人がいつもやっていること』ほか。「音楽と脳」「恋愛と脳」「香りと脳」など、脳科学の基礎をふまえつつ、従来にないような分析も得意とする。世界の上位2%のIQ所有者のみが入会を許される団体MENSAに所属。
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