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きれいをつくる
カラダ美人のつくり方 東海大学医学部教授
石井直明×西崎泰弘
第2回 アンチエイジングドックは「転ばぬ先の杖」
 長年にわたりアンチエイジングに関する研究に取り組んでいる石井直明先生と西崎泰弘先生による対談。2回目の今回は、どのようにすれば老いをあきらめずに健康的な生活を送ることができるのかを知るために役立つ、アンチエイジングドックについて語り合っていただきます。

※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『アンチエイジング読本』を好評発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。WEB連載「見た目年齢は体内の老化に比例する」はこちらをご覧ください。

石井教授(左)と西崎教授



――石井先生は新著『アンチエイジング読本』で、まずは自分の体を知り、毎日の生活を振り返ることがアンチエイジング・ライフへの第一歩だと書いています。私たちは高血圧や肥満などはっきり症状として表れないと、なかなか自分の体の状態を知ることができません。

石井 多くの人が「自分は元気だから健康だ」と思っていますが、元気なことと健康であることは違います。高血圧の人は往々にして「自分は元気だ」と思い込んでいます。実際に行動的な人もいますが、それは、いわばポンコツ車がアクセル全開で走っているようなもの。若いうちはよくても、加齢に伴い、いずれはガタがきます。日本人の平均寿命は世界トップレベルですが、生活習慣病が関係していると考えられる脳血管疾患や認知症により、要介護の状態で最晩年の10年近くを送る人が多いのが現状なのです。

西崎 そこで重要になってきたのが、病気を早期発見する「二次予防」より前の段階で病気にならないように健康を保持・増進する「一次予防」です。生活習慣病の多くは老化によって引き起こされますから、「心身ともに健やかで豊かに老いる」ことを目指す抗加齢医学は、まさに一次予防であり「究極の予防医学」なのです。
 その知見を生かし、人間ドックや健康診断ではやらないような精密な検査をすることで現在の体の状態を把握し、老化の兆候や生活習慣病、がんなどが発生するリスクをいち早く察知し、その原因となっている生活習慣上の問題などを明らかにして改善するのが、アンチエイジングドックです。

――「転ばぬ先の杖」というわけですね。石井先生は世界で初めて活性酸素と老化との関係を分子遺伝学的に証明し、1988年に国際的な科学雑誌に発表しました。東海大学医学部付属東京病院の「抗加齢(アンチエイジング)ドック」でも、活性酸素の血中濃度や活性酸素を阻害する抗酸化物質の濃度などを測定する検査項目がありますね。

西崎 病気の芽が出る前のわずかな変化を捉えるので、人間ドックや健康診断より感度の高い検査が必要です。活性酸素や抗酸化力のほかにも、動脈硬化の程度や血液の老化度、ホルモンや免疫のバランスなど幅広く検査します。
 また、脂肪と筋肉のバランスを測定することで、一般的な肥満度の指標であるBMIではわからない「隠れ肥満」も発見することができるのです。

石井 「隠れ肥満」の人は、見た目は痩せているのに内臓脂肪の量が多い。筋肉が少なく、話を聞いてみると食べる量が少なくて甘いものが好き、偏食で運動不足といった共通点が見つかります。

西崎 そうですね。アンチエイジングドックでは、検査結果のデータを見て「あなたはミカンをよく食べますね」「魚が好きでしょう」とか、「以前、こんな病気をしましたね」と指摘すると受診者の多くが驚きます。精密な検査によるデータなので、ほぼ的中するからです。すると、ほとんどの方が納得して私たち医師の助言を守り、健康増進に務めて翌年はデータが改善されています。

石井 東海大学医学部としてアンチエイジングドックに取り組むからには、このように医師と受診者との間で信頼関係を築くことが必須の課題でした。
 アンチエイジングドックを開設する前年の2005年ごろ、当時、医学部長だった堀田知光先生(現・独立行政法人国立がん研究センター理事長)と二つの約束をしました。一つは、アンチエイジングは勘と経験の世界というイメージを拭うために、科学的なデータをきちんと出すこと。そのために東海大学大学院医学研究科に「ライフケアセンター」を設立し、アンチエイジングドックを受診した方のデータを解析するなどして、信頼性の高い抗加齢診断が行えるようにしました。
 もう一つは、アンチエイジングドックを実施する医師自身が健康的であるということ。そうでないと受診者との間に信頼関係は築けません。

――「受診者は太った医師から『痩せなさい』なんて言われたくないでしょ、との堀田先生の言葉で、私もだいぶ痩せて体調がよくなりました」と笑いながら振り返る西崎先生。東海大学医学部付属東京病院「抗加齢(アンチエイジング)ドック」は、今年の6月で開設9周年となります。データから得られた科学的根拠に基づく生活指導が医師と受診者との間に信頼関係を育むとともに、貴重なデータの蓄積は、新たなアンチエイジングの可能性をもたらしてくれるかもしれません。次回は、そんなアンチエイジングの近未来のお話など。お楽しみに。

東海大学医学部付属東京病院抗加齢ドック
コースのご案内

●アドバンス(A)コース
現在の老化度を知るとともに、今後の進行を予見し回避するためのあらゆる項目が含まれています。検査後は、医師、運動・食事・サプリメントの各専門家が、アンチエイジングのアドバイスをします。
●ベーシック(B)コース
検査後のアドバイスはアドバンスコースと同等ながら、生活習慣病と現在の老化度を知るためのエッセンスが網羅されているコースです。当院の通常ドックと併せて受診いただくことで、「健康長寿」実現のための検査が把握可能です。
●コンパクト(C)コース
当院の通常ドックを受診される方へのオプションとして、血管と血流に強い抗加齢ドックのエッセンスを凝集したコースを用意しています。医師による面談、各専門家からのアドバイスは同様にご提供します。

お問い合わせ先
東海大学医学部付属東京病院健診センター
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-2-5
予約専用電話:03-3379-1304
TEL:03-3370-2321(病院代表)
TEL:03-3379-1304(予約専用)
FAX:03-3370-2320
E-mail:iji@tok.u-tokai.ac.jp http://www.tokai-anti-aging.com/anti-aging.html

(構成・編集部)
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【いしい・なおあき×にしざき・やすひろ】
石井直明:1951年神奈川県生まれ。東海大学医学部教授。同大学ライフケアセンター長。日本基礎老化学会理事長。医学博士。著書に『分子レベルで見る老化』(講談社)、『専門医がやさしく教える老化判定&アンチエイジング』(共著、PHP研究所)など。
西崎泰弘:1961年兵庫県生まれ。東海大学医学部教授。同大学医学部付属東京病院副院長。同大学ライフケアセンター副センター長。日本総合健診医学会副理事長。著書に『イラスト図解 検査の仕組み・検査値の読み方』(日本実業出版社)、『専門医がやさしく教える老化判定&アンチエイジング』(共著、PHP研究所)など。
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