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きれいをつくる
キレイを引き寄せる脳との付き合い方 脳科学者
中野信子
第2回 男性から見て美しい女性とは
 女性から見て魅力的な女性とは、親からもらった顔かたちや姿ではなく、一人ひとり違った人生を生きてきた人の顔やふるまいへの共感・尊敬。そこに脳の仕組みが深くかかわっています。人の見た目には、空気を読む力や知識の積み重ね、周りへの思いやりなど内面すべてが表れていることがわかってきました。では、男性から見て魅力的な女性はどんな要素があるのでしょうか? 包容力がある?  笑顔を絶やさない?  それとも色気? 第2回の「脳とキレイの関係」は男女の脳の働きの違いを中心に、男性から魅力的に見られる方法をご紹介します。

男性は女性を見た目で判断してしまう

 男性から見たキレイな人と女性から見たキレイな人は違うとよくいわれます。女性は脈絡(物事の一貫したつながり)を重んじる性質があり、一貫性をとても大事にします。たとえば、怒っているときに笑いながらものを投げる人はいませんよね? また、やさしい言葉をかけながら冷たい目をしている人には違和感を覚えます。女性の場合、自然の流れとは違う“差異”を敏感に察知し、不快なものとして感じてしまうのです。言葉でいくら相手を褒めても、目がウソをついている人に対して好ましさや魅力は感じません。この機能は女性優位の空気を読む脳、「上側頭回(じょうそくとうかい)」の役割の一つでもあります。

 ところが、男性の場合はこの機能が女性に比べて低く、一貫性がなくても女性に不快感を抱くことはありません。むしろもっと即物的に、視覚で性的な相手を選んでいるのです。好みの女性であれば、たとえその人が怒りながら抱きついてきたとしても、極端なことを言えばオフィスにコスプレで登場してもときめいてしまうのです。

男性は「脳の望み」に逆らわない
 女性が同性のことを「共感できるか」「ウソがないか」と感情と行動の一貫性を緻密に見るのに対して、男性が女性を見るところは3カ所。「ウエストのくびれがあるか」、「胸が膨らんでいるか」、それから「目や肌が潤っているか」です。実は、それで若さを測っているのです。男性がそうした見た目で女性を選んでいることは間違いありません。なぜなら男性は、脳の島皮質(とうひしつ)と呼ばれる部分の、特に視覚にかかわる場所が活発に活動しているのです。男性が視覚に関する領域を活発化させる理由は、健康で優秀な赤ちゃんを産める女性を見極めるためだと考えられています。つまり、生命体として「種を残したい」という根本的な本能が働いた結果なのです。そうであれば、「男なんてバカだ、見る目がない!」と言ったところで仕方がないこと。自分の外見に手を抜くわけにはいきません。

 でも安心してください。男性から若くキレイに見られようと思うなら、ちっとも難しいことはありません。くびれはさておき(笑)、生殖可能であることをアピールするのであれば、メイクやヘアスタイル、ファッションで若さを演出すればいいのです。さらに、目がキラキラして見えるように目線を上目使いにしてみるとか。今でいう“美魔女”を狙ってみるのです。そうすれば、相手の脳はいとも簡単にだまされてくれます。

ブレーキを外せば、あなたはもっと若くなる!
 ただし、男性に対して若さを認めさせることに成功したとしても、自分自身が信じ切れていないと後ろめたい気分になったり、不快な感じが残ったりということはありえます。また、「いくら美魔女風にしても、やっぱり年齢はごまかせないよね」などと感じてしまうと効果は半減。なぜなら、女性はそうした矛盾を検出する能力が非常に高いのです。左脳と右脳を結ぶ脳梁(のうりょう)の周囲を取り囲むように存在する帯状回(たいじょうかい)の前のほう、「前部帯状回」が矛盾を検出してウソを見抜いてしまうのです。これは自分に対してだけでなく、人に対しても敏感に反応します。たとえば、「あの人、若く見えるけど、けっこう無理してるよね」とか、「よく見るとシワが目立ってる」とか、気づけば相手の粗探しをしてしまう自分がいるのです。

 さらに、脳の前頭前野の内側には行動制御にかかわる領域があり、自分の行動をモニターして、「私って、無理して若づくりをしているのかもしれない」と判断すると、自分を責め、行動をセーブするようになります。実はそれは脳の“妄想”なのですが、その結果、「若くキレイでいたい」という意志とは反対に自分にブレーキをかけ、若さやキレイを放棄してしまうことになるのです。

 自分から枠を逸脱しないように、目立ちすぎないようにしようとする行為は、日本人女性の美徳でもありますが、キレイに関しては、そうした脳の“妄想”が邪魔になることもあります。そういうときは妄想をねじ伏せようとせず、むしろ認めてあげることが必要です。「そうそう、私って若づくりしてるよね」と、まずは肯定してしまいましょう。その上で、「でも、私が若くキレイになることで喜んでくれる人がいる。だったら、もっとできることがあるはず!」と考えていろいろ工夫するほうがずっと建設的で本当のキレイも得られるのです。

 若い見た目を手に入れるのは簡単。問題は、いかに自分の中のブレーキを外せるかということなのですね。それを実践しているのが芸能界で活躍する女性たち。でも、そうした脳の働きを知れば、誰でも若くキレイになれると思いませんか? 次回は、パートナーをもう一度ときめかせる脳のコントロール方法をお伝えします。

(構成・宮嶋尚美)

キレイへの2nd step
「前頭前野の行動ブレーキを外す」
~ネガティブな感情を肯定するのがカギ~



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【なかの・のぶこ】
1975年東京都生まれ。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。脳科学者、医学博士。フランス原子力庁で研究員として勤務後、脳科学についての研究と執筆活動を行う。書著に『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』、『東大卒の女性脳科学者が、金持ち脳のなり方、全部教えます。』、『世界で通用する人がいつもやっていること』ほか。「音楽と脳」「恋愛と脳」「香りと脳」など、脳科学の基礎をふまえつつ、従来にないような分析も得意とする。世界の上位2%のIQ所有者のみが入会を許される団体MENSAに所属。
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