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美しいくらし
フランスの一度は訪れたい村 トラベルライター
坂井彰代
第4回 アジサイに彩られた村「ロクロナン」(下)

ルネサンス様式の建物が残るレグリーズ広場


 サン・ロナン教会のあるレグリーズ広場には、ルネサンス様式の古い建物も残っています。17~18世紀、村が亜麻の栽培と帆布の生産で栄えたときの名残りを感じさる立派な佇まいで、1階部分はクレープ屋やショップなどに改装され、観光客の人気を集めていました。

地ビールの製造が盛んなブルターニュ地方

魚の形をしたカラフルな缶がずらり

 その一つ「ブルターニュ産ビールの館」なる店に入ってみました。近頃はパリでもクラフトビールの専門店ができるなどビール人気が上昇中ですが、ロクロナンを訪れた当時、ビールにこだわるフランス人はあまり見かけませんでした。ですから、この店に入ってその豊富な品ぞろえにびっくり。ブルターニュの各地で造られる地ビールが棚を埋め尽くしていたのです。
 
 フランス北西部のブルターニュ地方らしいラベルをつけたビールもありました。たとえば、トリスケルという渦巻き模様のイラスト。これは大地、火、水を意味するブルターニュのシンボルの一つです。「A l'eau de Mer」と書かれたものはなんと海水から造られたビール! 塩味が濃いのでしょうか。試してみなかったことが悔やまれます。

 ビールのほかに名産品も置いてありました。北はイギリス海峡、南は大西洋に面したブルターニュ地方は、海に突き出た半島の形をしています。長い海岸線を持つ地域ですから当然海産物が豊富です。海の幸を使ったペーストなどもあり、こんなおいしいつまみがあればますますビールが進みそうです。

ノートルダム・ド・ボンヌ・ヌーヴェル礼拝堂の祭壇に供えられたアジサイ

 村の地図を見ると、近くにもう一つ教会があったので、レグリーズ広場から坂道を下って訪ねてみました。その名はノートルダム・ド・ボンヌ・ヌーヴェル。14世紀に建てられた、素朴な造りの礼拝堂です。観光客もあまり来ないのかひっそりと佇んでいます。中に入ると、ステンドグラスからの光が床を虹色に染め、思わず姿勢を正してしまいそうな、神聖な空気が流れていました。祭壇に目をやれば、やはり花瓶いっぱいのアジサイが供えられています。手まり形に開いた赤い花は、薄暗い堂内を照らす灯りのようです。
 礼拝堂の外には17世紀に造られたという泉があり、水溜の水面にアジサイの花びらが浮かんでいました。アジサイの原産地は日本だとか。日本古来の花は、ブルターニュの陽光のもとでこの土地の風景にすっかり馴染んでいました。



【ロクロナンへの行き方】
パリ、シャルル・ド・ゴール空港またはオルリー空港から飛行機で約1時間15分のカンペール・ブルターニュQuimper-Bretagne空港へ。ここから車で北へ約20分。カンペール市内からバスもある。


(写真:伊藤智郎)

【トラベルライター・坂井彰代さんの記事】
フランスの教会に魅せられ、これまで100以上を訪ね歩いてきた坂井さんが、人々から愛される個性豊かな教会を紹介してくれます。フランスの美しい教会と村の両方を楽しめる連載「フランス小さな村の教会巡り」はこちら。

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【さかい・あきよ】
徳島県生まれ。上智大学文学部卒業。オフィス・ギア主宰。「地球の歩き方」シリーズ(ダイヤモンド社)の『フランス』『パリ&近郊の町』などの取材・執筆・編集を初版時より担当。取材のため年に3~4回、渡仏している。著書に『パリ・カフェ・ストーリー』(東京書籍)、『パリ・メトロ散歩』(同)がある。
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