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美しいくらし
フランスの一度は訪れたい村 トラベルライター
坂井彰代
第3回 大地を見下ろす天空の村へ「コルド・シュル・シエル 」(下)

ロルロージュ門(大時計門)に続く道

 回り道をしてなんとかたどり着いたブリード広場は、どうやら村の頂きのようで、一角が展望台になっていました。パッチワークのように畑が続く大地。初夏の頃には、鮮やかな緑の田園風景が見られるかもしれません。眺めを楽しむ観光客の姿もちらほら見かけます。オフシーズンにこれだけの人が来ているとは、なかなかの人気観光地のようです。
 観光案内所も、村の中にあるオフィスは開いていました。よかった。聞きたいことがあったのです。今朝、宿泊していたホテルの朝食ルームで見つけた「コルドのお菓子」なるものが気になっていたのです。
 「あぁ、クロッカンね。それならこの先にある砂糖芸術博物館のブティックで買えるわよ」

コルド・シュル・シエルの名物「クロッカン」

ガイヤックのさまざまなワインが並ぶ


 聞けば、砂糖で制作された作品を展示した博物館とのこと。早速行ってみると、入口を入ってすぐのところにありました! アーモンドが入った薄焼きのお菓子が。試食させてもらうとカリカリっと香ばしく、素朴な味わいです。この地方全域で同じようなお菓子がつくられるようですが、コルド・シュル・シエルのクロッカンはお煎餅みたいに大きいのが特徴。やはり名産であるガイヤックワインの白と合わせてもイケるのだとか。

 そういえば、ガイヤックワインの看板を掲げた店も見かけました。どの店も石造りの古めかしい建物のなかにあり、村の景観の一部となっています。伝統や古いものを大切にするフランス。歩いていると、14世紀の市場跡や13~14世紀の家が次々登場し、何百年もの間、守られてきたことに驚かされます。

パテール・ノステールの階段がつづく

チーズなどの名産品も


 多くの人の歩みを受け止めてきたせいか、表面がなめらかになっている石畳を転ばないよう踏みしめながら下っていくと、城壁に設けられたロルロージュ門(大時計門)に出ました。ここから「パテール・ノステール(主の祈り)」と名付けられた52段の石段が続きます。中世の人たちは、祈りを唱えながらこの石段を上ったのでしょうか。また訪れることがあれば大回りをせずに、ここから村に入ろうと心に誓います。

 さて、再び麓のブテイユリ広場に下りて駐車場に向かう途中、面白いものを見つけました。電話ボックスがなんとミニ図書館になっているのです。実はフランスでは携帯電話の普及に伴い公衆電話が廃止され、町中で見かけることはなくなりました。そんななか、使われなくなったボックスを図書館として再利用するプロジェクトが立ち上がったのだとか。いらなくなった本を持ちより、無料で貸し借りするこのシステム、本棚そのものもリサイクルとは、エコでおしゃれなアイディアに脱帽です。
 
 さらにしばらく行くと「名産品」と書かれた店があり、ちょっと覗いてみることにしました。ワインやパテなどの加工品がずらりと並び、もちろんクロッカンも置いてありました。しかもよく見れば村で買うより安い! 残念ながらクロッカンは買ってしまったので、ほかに何かないかしらと見ていると、ビールの棚を見つけました。やはりこの辺りで醸造されたものだそうです。フランスで地ビールを見かけるのは珍しく、興味津々。フルーティなものと、より風味の際立つIPA(ポップを通常より多く使ったインディア・ペール・エール)のビールを購入しました。

オクシタニー地方、タルン県のご当地ビール


 車に乗り込み、ふとスマートフォンのヘルスアプリを見ると、今日はなんと2万歩以上歩き、上った階数は55階と出ているではありませんか! 高層ビル1棟分歩いた1日の終わり、ご当地ビールで喉を潤すのを楽しみに、村を後にしました。

 
【コルド・シュル・シエルへの行き方】
パリ・モンパルナス駅から高速列車TGVで約4時間20分のトゥールーズ・マタビオ駅下車。TERに乗り換えて約1時間のアルビ下車。ここから車で北西へ約30分。


(写真:伊藤智郎)

【トラベルライター・坂井彰代さんの記事】
フランスの教会に魅せられ、これまで100以上を訪ね歩いてきた坂井さんが、人々から愛される個性豊かな教会を紹介してくれます。フランスの美しい教会と村の両方を楽しめる連載「フランス小さな村の教会巡り」はこちら。

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【さかい・あきよ】
徳島県生まれ。上智大学文学部卒業。オフィス・ギア主宰。「地球の歩き方」シリーズ(ダイヤモンド社)の『フランス』『パリ&近郊の町』などの取材・執筆・編集を初版時より担当。取材のため年に3~4回、渡仏している。著書に『パリ・カフェ・ストーリー』(東京書籍)、『パリ・メトロ散歩』(同)がある。
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