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にっぽん醤油蔵めぐり
「職人醤油」代表
高橋万太郎
第8回 新島襄ゆかりの蔵は文明開化の味わい(有田屋・群馬県)

天保3(1832)年創業

 「職人醤油」の本店があるのは群馬県前橋市。そこから最も近く、車で40分ほどの距離にある醤油蔵が、安中市にある有田屋です。「職人醤油」の取り組みを始める前から訪問し、醤油の基礎知識や醤油業界のことなど多くを教えてもらいました。

 私が初めてNHKの取材を受けたときも、有田屋が舞台。番組では、諸味(もろみ)の状態や蔵を訪問する様子が放映されました。
 そうした折にお世話になるのは、いつも穏やかで気品あふれる雰囲気を持つ7代目の湯浅康毅さん。醤油業界ナンバーワンの紳士といえるかもしれません。ほとんどの蔵元さんは、私を「万太郎さん」とか「万ちゃん」など名前で呼んでくれることが多いのですが、湯浅さんは一貫して「高橋さん」。こんなところにも、紳士的な人柄が表れているように感じます。

7代目・湯浅康毅さん

 そんな湯浅さんは、180年の歴史を持つ醤油蔵の当主でありながら、地元にある教育機関・新島学園の理事長も務めています。
 有田屋のある安中市は、同志社大学の創立者としても知られる新島襄の出身地。有田屋の3代目・湯浅治郎氏は彼に師事し、キリスト教の洗礼を受けました。そして5代目の正次氏が、同志とともに新島の精神を建学の基盤にしている新島学園を設立したのだそうです。

 蔵と事務所の間にある花壇には、枝豆が植えられています。「仕込みに使う国産の丸大豆を何粒かまいたんです」と湯浅さん。
 最近よく聞く「遺伝子組換えの大豆」は土に植えてもほぼ発芽しません。原料管理の状態が悪いと、国産の丸大豆といえども同様。元気な枝豆は、生きている材料を使っている証でもあります。
 「土に植えれば芽が出てくる。わかりやすいじゃないですか。スタッフにもお客さまにも、〝うちはこのような原材料を使っている〟という説明になるでしょう。そうしたら、枝豆と大豆が同じものだとご存じない方が結構いて、そのことに驚いているんですよ!」と笑います。

仕込みに使う大豆をまいたら……

 醤油醸造業に限らず、明治から大正、昭和の3代にわたり、教育、社会、文化を通して地域に貢献している有田屋。その独特の立ち位置を表している言葉があります。

 「一年の計には穀を植え、十年の計には木を植え、百年の計にはすべからく人材を養え」
 これは、新島襄が明治21(1888)年に「同志社大学設立の旨意」として発表した文章に引用され、新島学園の教育理念にもうたわれている格言です。この壮大で深い意味合いは、人材育成のみならず、国産丸大豆を使った天然醸造醤油を守り続けている有田屋の醤油造りにも共通しているように感じるのです。


☆この1本でこの料理☆

有田屋(群馬県)



バタめししょうゆ


価格:381円+税

「バター醤油ご飯」


 「バターは動物性の脂肪だから、魚介系のだし醤油とはちょっと合わないと思う」という湯浅社長が、一族に代々愛されてきたバター醤油ご飯のレシピを商品化。古きよき食卓の香りが漂う。


① バターとアツアツご飯は必須! アツアツご飯の上にバターを載せる。無塩バターより有塩バターがお勧め
② バターがトロリと溶けてきたら、「バタめししょうゆ」をひと回しかける
③ 混ぜ加減はお好みで


【職人醤油―こだわる人の醤油専門サイト】
http://www.s-shoyu.com/

☆こちらもぜひお読みください☆

連載「職人醤油のつくり方」では、高橋万太郎さんが、100mlの小瓶に入ったこだわりの醤油を扱うユニークな取り組みに至るきっかけとなった職人さんとの出会いや、若き蔵人たちとの交流などを紹介しています。
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【たかはし・まんたろう】
1980年群馬県生まれ。立命館大学卒業後、(株)キーエンスにて精密光学機器の営業に従事し2006年退職。(株)伝統デザイン工房を設立し、これまでとは180度転換した伝統産業や地域産業に身を投じる。現在は、一升瓶での販売が一般的だった蔵元仕込みの醤油を100mlの小瓶で販売する「職人醤油」を運営。これまでに全国の400以上の醤油蔵を訪問した。
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