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にっぽん醤油蔵めぐり
「職人醤油」代表
高橋万太郎
第6回 おいしいものを真面目に造る(中定商店・愛知県)
 愛知県武豊町にある中定商店の豆味噌は、料亭などの料理人の中では有名な存在です。それだけに、製造現場を見ると驚くことばかり。携わっているのは家族とパート数人という少人数で、〝超〟がつくほどの重労働を繰り返し、味噌や醤油を造っているのです。

天候によって桶の表面の湿度が変わる

 溜醤油の蔵元が軒を連ねるように密集しているエリアから車で数分。中定商店に着くと、6代目の中川安憲さんが出迎えてくれました。
 蔵の中には古い木桶が並んでいます。

 原料は大豆と塩のみ。まず、大豆を蒸して麹菌を繁殖させて「味噌玉」を造ります。湿度約70パーセント、室温30度に保った環境で2日かけて麹を育て、2日間乾燥。こうして4日かけてできあがった麹は、桶に入れると半分が埋まるだけ。つまり、桶の本数の倍にもなる回数、この作業を繰り返すのです。
 こうした仕込み作業は冬場からスタート。まずは豆味噌の仕込みをして、次に溜醤油を仕込みます。ひと段落するのはゴールデンウィークごろ。それまで何度も何度も同じ作業を続けます。

桶から掘り出した諸味は、コクのある味噌のような香り

 濃口醤油の諸味(もろみ)は水分量が多いのでかき混ぜることができますが、溜醤油は水分が少なくてかき混ぜることができません。そのため、重石をどっしり載せて桶の底に液体を溜めます。桶の下のほうには筒が差してあり、そこから柄杓で底に溜まった液体をすくい上げ、重石の上からかけるという、すくってはかけての繰り返し。この「くみかけ」作業を、夏場は毎日、冬場は週に1回程度行います。
 搾りもまた、かなりの重労働です。水分の少ない溜醤油の諸味は味噌のような半固体。2メートル以上の高さがある桶の中に入り、スコップですくっては自分の身長よりも高い位置におかれた容器に移してから圧搾場まで運ぶのです。

くみかけ作業中の中川さん

 「夏場の敵はカビです。面白いことに、夏には自らをカビから守るかのように溜の液体が石の上に上がってくる。それが、冬場になるとスーッと下がっていく。なんとも不思議な光景で、醤油造りは生き物を相手にしていることなんだと実感するんです」と、中川さんは言います。

 冬場の仕込み、夏場のくみかけ、そして搾りの作業。溜醤油造りは、年中休む間もありません。中川さんにその原動力をうかがうと、「おいしいものを造りたい。真面目な商売をしたいんですよ」とキッパリ。そして、「やっぱり好きなんですね。溜醤油造りや味噌造りが。100年以上続けてきたことなので、意地なのかもしれませんが、できる限りこのスタイルを守ってやりたい」
 その話しぶりに、中定商店の溜醤油と豆味噌の人気の理由がわかった気がしました。


☆この1本でこの料理☆

中定商店(愛知県)



宝山 丸大豆たまり

価格:428円+税

「納豆」


 大豆の味をしっかり楽しみたいときにピッタリの「宝山 丸大豆たまり」。大粒納豆なら大豆の味が引き立ち、小粒納豆なら溜醤油のうま味と納豆の味のコンビネーションが楽しめる。

① お好みの納豆を器に盛る
② 「宝山 丸大豆たまり」をひとたらし
③ かき混ぜて食べる。好みでもうひとたらししてもいい


【職人醤油―こだわる人の醤油専門サイト】
http://www.s-shoyu.com/

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連載「職人醤油のつくり方」では、高橋万太郎さんが、100mlの小瓶に入ったこだわりの醤油を扱うユニークな取り組みに至るきっかけとなった職人さんとの出会いや、若き蔵人たちとの交流などを紹介しています。
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【たかはし・まんたろう】
1980年群馬県生まれ。立命館大学卒業後、(株)キーエンスにて精密光学機器の営業に従事し2006年退職。(株)伝統デザイン工房を設立し、これまでとは180度転換した伝統産業や地域産業に身を投じる。現在は、一升瓶での販売が一般的だった蔵元仕込みの醤油を100mlの小瓶で販売する「職人醤油」を運営。これまでに全国の400以上の醤油蔵を訪問した。
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