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にっぽん醤油蔵めぐり
「職人醤油」代表
高橋万太郎
第4回 2杯目のご飯が食べたくなる味を求めて(橋本醤油・熊本県)

橋本和彦社長

 卵かけご飯専用の醤油は、とにかく人気です。生卵が苦手という人もいますが、ホカホカの卵かけご飯を食べることを想像するだけでテンションを高くする人の割合は、かなり多いのではないでしょうか。
 醤油をベースにだし汁で味つけをしたものがほとんどですが、だしは地域によってカツオだったりコンブだったりと、個性はさまざま。醤油とだしを混ぜるだけだから簡単だろうと、手がけるメーカーは多いのですが、長年にわたって一般消費者から支持され続けているものは意外と少ないように感じます。


〝TKG〟専用醤油の先駆け、橋本醤油

 熊本市にある橋本醤油は、そんな卵かけご飯専用醤油の先駆け。生みの親としても知られる橋本和彦社長は、大きな声で話し、豪快に笑う「肥後もっこす」です。
 橋本さんが、ご子息の通う小学校のPTA役員を務めていたときのこと。子どもたちに声をかけているうちに、元気のない子どもたちに共通しているのは朝食を食べていないことだと気づいたそうです。
 醤油・みその造り手としても、朝の食卓に醤油やみそ汁が登場する機会が少なくなっていると感じてはいたものの、朝食を食べない子どもがいることを知り、「これは何とかしなければ」と動き出した橋本さん。親に訴えたところであまり効果はないだろうと考え、「よし、それなら子どもから〝朝ご飯を食べたい!〟と言うようにしよう」と発想を変えます。
 そこで思いついたのが、「卵かけご飯」というわけです。

 さっそく、試作したものに事務所のパソコンでつくったラベルを貼り、仲間に配ってみると、「これはおいしい! もっとちょうだい!」と大好評。「これはいける!」と感じ、さらなる試行錯誤に突入していきます。
 「味の決め手は香り。それも、口に入れたときの香りで、食品の味の8割は決まる」と、理想の味と香りを求めての挑戦が始まりました。


清潔に保たれた工場内

 「どんなところに苦労しましたか?」と質問すると、橋本さんは「甘みですね」と即答。よい香りを求めるための「しょっぱさと甘み」のバランス調整が難しかったそうです。塩分が低すぎると雑菌が繁殖してしまうので、ある程度の塩分量が必要になるのですが、それにつり合うように甘さを増やしていくと、今度はご飯の邪魔をしてしまう。「2杯目のご飯が食べたくなるおいしさを目標にしていたのですが、そのちょうどよい加減がなかなか見つからなかったんです」
 こうした暗中模索を経てたどり着いたのが、オリゴ糖のやさしい甘さ。味わいのまとめ役をコンブのうま味に託すことで、ようやく完成に至りました。
いちばんは、子どもたちのため――。
 この「玉子ごはん専用」の高い人気の秘密は、橋本さんの強い思いなのだろうと感じています。


☆この1本でこの料理☆

橋本醤油(熊本県)



玉子ごはん専用

価格:381円+税 / 原材料 : しょうゆ(本醸造)、オリゴ糖、昆布エキス、風味原料(昆布)、調味料(アミノ酸等)、アルコール、甘味料(ステビア)、ビタミンB1、(原材料の一部に小麦、大豆を含む)

「サツマイモの煮物」


 「2杯目のご飯を食べたくなる」を絶対基準にして、香りと甘みのバランスをとことんまで追求。昆布だしのまろやかなうま味で、大人から子どもまで好きな味に仕上げた。「これだけなめても、卵かけご飯を食べているみたい!」というリピーターも多い。

① 温かいごはんを器に盛り、生卵を落とす

② 「玉子ごはん専用」をひと回し



【職人醤油―こだわる人の醤油専門サイト】
http://www.s-shoyu.com/

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連載「職人醤油のつくり方」では、高橋万太郎さんが、100mlの小瓶に入ったこだわりの醤油を扱うユニークな取り組みに至るきっかけとなった職人さんとの出会いや、若き蔵人たちとの交流などを紹介しています。
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【たかはし・まんたろう】
1980年群馬県生まれ。立命館大学卒業後、(株)キーエンスにて精密光学機器の営業に従事し2006年退職。(株)伝統デザイン工房を設立し、これまでとは180度転換した伝統産業や地域産業に身を投じる。現在は、一升瓶での販売が一般的だった蔵元仕込みの醤油を100mlの小瓶で販売する「職人醤油」を運営。これまでに全国の400以上の醤油蔵を訪問した。
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