× close

お問い合せ

かもめの本棚に関するお問い合せは、下記メールアドレスで受けつけております。
kamome@tokaiedu.co.jp

かもめの本棚 online
トップページ かもめの本棚とは コンテンツ一覧 新刊・既刊案内 お問い合せ
にっぽん醤油蔵めぐり
「職人醤油」代表
高橋万太郎
第3回 進取の気性と信念と(弓削多醤油・埼玉県)

弓削多洋一社長

 醤油造りは「一麹、二櫂、三火入れ」という格言があるように、麹造りが最も大切だといわれます。「よい麹を造るには、大豆の蒸しがとても重要」と、弓削多醤油の弓削多洋一さんは言います。
 自らが社長業とともに杜氏業もこなし、大豆蒸しの段階から最前線で陣頭指揮をとっています。海外出張に出る朝も4時から大豆を蒸して、そのままスーツに着替え、空港に向かうことも。そこからは、熟成の期間も含めると1年以上の時間をかけてつくる醤油のいちばん大切な工程である大豆蒸しを自らが担当することで、「すべてに自分が責任を持つ」という強い意思を感じます。


見学施設「醤遊王国」が併設されている弓削多醤油

 埼玉県日高市に広がるのどかな田園風景の中を車で走り、「醤遊王国」という見学施設を兼ねた仕込み蔵に到着。1階の直売店を横目に階段を上がると、名物の醤油ソフトクリームや卵かけご飯を楽しむ観光客の姿でいつもにぎわう飲食スペースがあります。壁一面がガラス張りで、その奥には醤油が仕込まれている桶が並び、熟成期間の異なる諸味(もろみ)が個性的な表情を見せています。
 「工場見学を始めます!」という声についていくと、大豆や小麦などの原料処理を間近に見ながら、日本の大豆事情も交えた流暢な解説。この20分ほどのツアーを1時間ごとに開催しているので、ここでは予約不要で醤油蔵見学をすることができます。

 昭和から平成に入ったばかりのころ、弓削多醤油の業務は油やジュースなどの販売を含めた問屋業の割合が多かったそうです。4代目として家業を引き継ぐことになった弓削多さんは、そもそもの原点である醤油造りに立ち返る決意をします。

仕込みの様子も見学できる

 「醤油は食品なので安心して口に入れられるものでなくてはいけない。醤油は調味料なのでうまくなければ意味がない」との信念で、国産の原料を使用した木桶仕込み醤油に真剣に向き合い始めました。
 そして、醤油をもっと身近に感じてもらうため、工場見学だけでなく、食べたり遊んだりしながら気軽に楽しく醤油造りを体験できるようにと、平成18(2006)年に産業観光施設「彩の国 醤遊王国」をオープン。当時の醤油業界では珍しい試みで、多くの同業者が見学に訪れました。

 常に新しいことに果敢に挑戦しながら、醤油造りの基本の部分は決して手を抜かない。弓削多さんは私が大きな信頼を寄せる造り手の一人です。


☆この1本でこの料理☆

弓削田醤油(埼玉県)



木桶仕込み

価格:333円+税/原材料:大豆、小麦、食塩

シャケの照り焼き


 朝食やおにぎりの具としても定番のシャケ。焼いて大根おろしを添え、醤油をかけていただくのが一般的だが、「木桶仕込み」を使って照焼きにすると、また格別の味わいに。

① シャケに酒・醤油で下味を付ける

② 1の水分を拭きとって、油をひいたフライパンで焼く

③ 酒、砂糖、醤油、みりん、「木桶仕込み」を混ぜ合わせておき、フライパンの余分な油をふきとってから回しかける

④ 皿に盛り、大根おろしを添える


【職人醤油―こだわる人の醤油専門サイト】
http://www.s-shoyu.com/

☆こちらもぜひお読みください☆

連載「職人醤油のつくり方」では、高橋万太郎さんが、100mlの小瓶に入ったこだわりの醤油を扱うユニークな取り組みに至るきっかけとなった職人さんとの出会いや、若き蔵人たちとの交流などを紹介しています。

ページの先頭へもどる
【たかはし・まんたろう】
1980年群馬県生まれ。立命館大学卒業後、(株)キーエンスにて精密光学機器の営業に従事し2006年退職。(株)伝統デザイン工房を設立し、これまでとは180度転換した伝統産業や地域産業に身を投じる。現在は、一升瓶での販売が一般的だった蔵元仕込みの醤油を100mlの小瓶で販売する「職人醤油」を運営。これまでに全国の400以上の醤油蔵を訪問した。
新刊案内