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石川浩司の缶コレランニング
ミュージシャン
石川浩司
第4回 あなたの郷土の缶あるかな?(上)
 外国に頻繁に行くようになって、初めて気づいたことがある。日本の風景には、他の国の人がビックリ仰天する独特の特色があるのだ。
 そう、よほどの山奥や辺境の地に行かない限り、どんなところでも道路を見渡せば必ずと言っていいほど飲み物の自動販売機があり、煌々とそのライトを怪しく光らせていることだ。そんな国は日本以外にはない。

 もちろん他の国でも自販機がないわけではないが、自販機ごとトラックなどでアラヨッと盗まれてしまうことが多々あるそうなので、大抵は建物の中にある。ムゾーサに道路に「商品も小銭もたっぷり入ってるよ~。持ってけドロボ~!」と言わんばかりに放置などしていないのだ。
 なので、盗難に関しての治安が極度に良い日本ならではのランドスケープと言っていいだろう。

 このコレクションを始めた当初、良かったなと思ったのは、いつでも町をうろつけば自分にとってのお宝が見つかる可能性があるということだ。普通、何かを収集しようと思ったら、お店の開いてる時間じゃないと買えないとか、もしくは外が明るい時間じゃないと見つけられないという制限があるけれど、ことドリンク缶探しの場合、真夜中でも早朝でも自販機は稼働しているのだから。時間だけじゃなく場所的にもそう。こんなコレクションはなかなかないであろう。
 そして僕の仕事のメインはライブステージ。地方に行くことも多いし、時には海外にも。それがまた、このコレクションをやりやすくしている一因でもある。地方の仕事の空き時間を見つけて、また時には打ち上げ後の深夜に、自販機をキョロキョロしながら不審者的散歩をすることもあるのだ。交番が近くに見えた時は、あまり凝視せずにさり気なくチェックするだけにしている。職務質問はけっこう時間が取られるからな。
 以前、ライブが終わった後に歌舞伎町を歩いていたら職務質問されたことがある。「カバンの中を見せてもらっていいですか?」と言われて開けたら、僕がパフォーマンス的にパーカッションのひとつとして使う鉄の鎖がジャラジャラと出てきて、あの時は説明するのに冷や汗がタラ~リと出たものよのう……。

チェリオ「スイートキッス」(中部ペプシコーラボトリング株式会社)

「流氷キッス」(網走食料品卸株式会社)
 さて、今回はそんな地方で見つけたいくつかの缶を見ていこう。
 まずは北海道から。オホーツクのロマン「流氷キッス」という商品。これはチェリオの出しているブランド「スイートキッス」の北海道限定発売品……だと思ってた。名前もロゴもキスマークもそっくりだもんね。しかし、気づいてしまった。製造業者を見てみると「網走食料品卸株式会社」という名前が。素人判断だが、これはつまりその、有名ブランドに似せた……? 謎はまだ解明されていない。

「ジョージア・マックスコーヒー」ミルク入り(利根コカ・コーラボトリング株式会社)

「ジョージア・マックスコーヒー」練乳入り(コカ・コーラカスタマーマーケティング株式会社)
 関東に行くと、最近は全国展開もしているが、当初は千葉と茨城でしか流通していなかった「マックスコーヒー」というローカルコーヒー缶がある。これに一時期、コカ・コーラのブランド「ジョージア」が接近した。そうなると、たいていは大手に吸収されてしまうのだが、そこでマックスコーヒーは意地を見せた。というか、この2人はフォーリン・ラブ、恋に落ちたのだ。この二つが絶妙にミックスされた「ジョージア・マックスコーヒー」は、ふたりが作った愛の結晶である。(つづく)

2万本にもなる石川浩司さんの空き缶コレクションから選りすぐりの1本を、「かもめの本棚」公式インスタグラムで紹介中。インスタグラム【今日の空き缶】ぜひご覧下さい。

【石川浩司のひとりでアッハッハー】
http://ukyup.sr44.info/
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【いしかわ・こうじ】
1961年東京都にて逆子生まれ。神奈川県・群馬県育ち。現在は、2万缶におよぶ空き缶コレクション保管のために埼玉県在住。バンド「たま」にてランニング姿でパーカッション、ボーカル担当。90年に「さよなら人類」でメジャーデビュー。同曲はヒットチャート初登場1位となり、レコード大賞新人賞などを受賞。2003年に解散後はソロで「出前ライブ」などの弾き語りおよびバンド「ホルモン鉄道」「パスカルズ」などで活動中。旅行記やエッセイなどの著作も多数ある。
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