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石川浩司の缶コレランニング
ミュージシャン
石川浩司
第1回 これが缶コレの掟だ!(中)
 空き缶コレクションを初めて32年、総数は約2万缶。どれ一つをとっても思い入れのある缶ばかり……とまではいえないけれど、僕の缶コレには自分なりの毅然としたこだわりがあるのだ。

その1:自分で飲んだもの
 僕のコレクションの一番大きな強いこだわりは「自分で飲んだもの」。
なぜなら、単純に集めようと思ったら空き缶でも何でもオークションで落としてしまえば、結局お金がある人が一番集められてしまうからね。僕は、それは面白くないと思った。

すべて石川さんが飲んだもの
 内容物が自分の体内を通り僕の体の一部となった、その容器だけを集める。これ即ち「僕という肉体を作ったものコレクション」でもあるのだ。
 32年間、自分の体を張った収集。これはいくらお金を使っても出来ることではない。おバカでなおかつシツコイ性格の僕の特性をいかしたコレクションと言ってもよかろう。
 まあ、そんな人体実験のおかげで人よりだいぶ大きく育ってしまったのだけれど。

その2:出来るだけ自分の足で探す 
 もうひとつは「出来るだけ自分の足で探す」。
 ぶっちゃけ、パソコンなども普及していなかった開始時はともかく、現在はネットで新製品の情報などはいくらでも手に入る。なんなら通販してもらえばそのほとんどは容易に手に入れることが出来る。
 しかし僕が一番うれしい瞬間は、街で自分の知らない缶を発見した時の喜びだ。
 缶ドリンクをコンプリートすることよりも、地方の路外れにある自販機や古ぼけたスーパーマーケットなどで「なんじゃこりゃあぁぁぁっ!」と知らない缶を見つけることが一番の快感なのである。

その3:旅は身軽と心得よ
 ミュージシャンという仕事がら、地方をツアーで回ることも多い。
 僕はソロのときはギターの弾き語り、バンドのときはパーカッションという二刀流でやっているが、ギターはなるべく現地調達する。僕はギターの音色にこだわるより一期一会のギターの音を楽しみたい方だし、ピアノ弾きが毎回ピアノをうんとこしょっと背負ってツアーをしているわけではないのなら、ピアノと同じようにギターも借りてしまえばいいではないかという考え方をした。
 パーカッションは手作りのオケやナベなどのガラクタパーカッションなので借りることはできないが、組み立て式で小さくなるので宅配便で会場から会場へとホーイと送ってしまう。これにより地方をさまよい歩く発見の旅に出ることができるのだ。

大阪名物「冷やしあめ」缶コレの一部
 なので「駅から会場まで車で迎えにいきますよ!」と主催者さんなどに言われても、徒歩圏内の場合はお断りすることも多い。徒歩じゃないと幾多ある自販機や見つけものがありそうな商店やスーパーマーケットに気軽に立ち寄れないから。
 そんなわけで、街中でキョロキョロと自販機があるごとに立ち止まって眼光鋭く缶ドリンクを睨みつけるように見ている僕を見つけたとしても、不審者とは決して決して思わないでほしい。
 それはライフワークを遂行しているアドベンチャーの勇姿なのだから。

その4:中身が同じでも缶のデザインが違えば別もの 
 ちなみに、中身が同じでも缶のデザインが違えば別の種類として集めている。逆に言えば好きな味のドリンクがあっても、同じ缶デザインのものは基本として二度と飲めないのだ。万一、間違って飲んだとしても、それはゴミ箱行き。
 僕が最も好きなのは地方ローカルの中小メーカーのオッさんが、デザイナーも使わず自分で描いちゃったような垢抜けないデザインのものや変なネーミング、変わった組み合わせの味、その地方にしかないような味のものなのだ。
(つづく)

【石川浩司のひとりでアッハッハー】
http://ukyup.sr44.info/
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【いしかわ・こうじ】
1961年東京都にて逆子生まれ。神奈川県・群馬県育ち。現在は、2万缶におよぶ空き缶コレクション保管のために埼玉県在住。バンド「たま」にてランニング姿でパーカッション、ボーカル担当。90年に「さよなら人類」でメジャーデビュー。同曲はヒットチャート初登場1位となり、レコード大賞新人賞などを受賞。2003年に解散後はソロで「出前ライブ」などの弾き語りおよびバンド「ホルモン鉄道」「パスカルズ」などで活動中。旅行記やエッセイなどの著作も多数ある。
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