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TOKYO偉人さんぽ
イラストレーター(文と貼り絵)
きりたにかほり
第11回 葛飾北斎


「隅田川に行きませんか」
誘われたのは、まだ冬のころ。

葛飾北斎が暮らした場所があるそうですよ、と続ける編集さん。

「それなら桜が咲くころがいいです」と答えて約3カ月。

春一番を待って
ようやく両国のあたりを散歩しました。

待ち合わせは東京メトロ両国駅。
この季節になれば
空の青さも、すこし鮮やかに見えます。

北斎通りに面した靴下の店で、この街の地図を手に入れ、
まずは、すみだ北斎美術館へ。

「公園が生誕の地なの!? 榛稲荷神社じゃないの?」

地図によれば美術館は生誕の地ととなりあうことが判明し、
あれー? と首をかしげる二人。

生まれた場所は神社だと思い込んでいたため、とまどったのですが、
少し先を進んですぐに美術館に到着しました。

さっそく碑に等しいものを探しましたが、
生誕の地である証は見つけられません。
残念。

気を取り直して、シャープな美術館は去年11月にオープンしたばかりの新観光名所。
北斎や門人の作品を展示するそうです。

そういえば、90年の生涯で、年齢以上に引っ越しを重ねた北斎。
片づけをせず、散らかした末に
どうにもならなくなっての転居だったという話もあるそうです。

わたしも親譲りの芸当で、散らかす技が得意。
このエピソード、とても人ごととは思えません。

展示してあった北斎の作品や古い地図とともにその生涯をたどりながら
次なる目的地を検討。

やっぱり、隅田川をめざすことにしました。

出発のまえに、まずは近くのおせんべい屋さんで、「北斎揚げ」なるおやつを入手。

小さいサイズと、さくっと軽いおいしさに感動して
「これは、ぺろっと1袋、食べちゃいますよね」と店員さんと意気投合しました。
だって10個くらいしか入ってないんですもの!

件の榛稲荷神社や家系のルーツである吉良邸あとなどを通ってそれぞれをお参り。
由緒ある地には、ほかにも見所がいろいろあって、
川まで徒歩15分のつもりが、
気づけば30分以上歩き続けていました。


やっとたどり着いた隅田川。いざ、念願のお花見!

「あれ?」

桜色の眺めを求めて堤防の上に立つも、
見渡す限り桜の木はなく、動揺を隠しきれないわたし。

「お花見ができない!」

「浅草まで行けば咲いてるけど、この辺りはそれほどでもないよね」

川沿いの遊歩道をのんびり歩きながら、冷静な反応の編集さん。

どうやら知らず知らずのうちに、
「隅田川には桜がいっぱい」と思い込んでいたようです。

わたし、自分にがっかり。
唱歌のせいだな、滝廉太郎! もう!

堤防の壁には、周辺で行われていた花火大会など
版画で残されている、当時の様子が再現されていました。
江戸の世では、両国橋の辺り、ずいぶんにぎやかな繁華街だったようです。

『いいなあ…』

しょんぼりしているわたしをみかねて、
編集さんがお茶にしましょうと誘ってくれました。

江戸東京博物館、桜並木がみえるカフェで過ごした時間は、
この日一番のごちそうでした。

次の桜まであと1年ですね。

たのしい貼り絵のあとは、
ちゃんと片付けようと思います。

北斎の生活も悪くないけど。




※きりたにさんのホームページ「たいようのみやこ」
http://taiyonomiyako.com/index.html
※きりたにさんの連載エッセイ「TOKYO銀座めぐり」
http://www.tokaiedu.co.jp/kamome/contents_i201.html
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【きりたに・かほり】
1984年秋田県生まれの香川県育ち。熊本県立大学卒業後に上京し、都内制作会社にデザイナーとして勤務。現在は「世界をあたためたい」と絵を描き、関東を中心にイラストの制作や似顔絵屋さんなど行っている。
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