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TOKYO偉人さんぽ
イラストレーター(文と貼り絵)
きりたにかほり
第10回 長谷川町子


桃の節句をすぎたころ、
田園都市線に乗って、桜の名前の新しい街へ。

角の不動産屋さんでは、見慣れた親子の
パネルが羽織を着て物件を紹介中。

「花沢さんは、いいお嫁さんになりますよね。」

「カオリちゃんより、いいかもしれないですよね。」

まったく見る目がない、と、
小5のカツオを批判するいい大人、ふたり。


そういえば、
幼いころ主役はカツオだとおもっていた節がある
アニメのサザエさん。

年を重ねた今は
サザエさんの目線で観られるようになったかとおもうと、

……そうでもない。

ただ、核家族で育ったわたしが
「おじいちゃんおばあちゃんとの暮らし」は、
ああいうものだと想像できたのは、
たぶん少し、アニメ、サザエさんのおかげです。



「アニメがはじまったときの記憶ありますよ。」

と、いつもに増してうれしそうな編集さん。

ええ!と驚いたものの、
そういえばわたしも、『りぼん』の誌面で
漫画『ちびまる子ちゃん』のアニメ化を知った記憶があるので、
今の時代にして思えば、
似たようなものかもしれません。

まる子の声をはじめて聞いたときの衝撃と快感ったら。



さて、歩みの方はサザエさん通りへ。

ブティックの前には、おしゃれな羽織のフネさん。

花沢さん親子のように、ときどきキャラクターのパネルがあって
歩道のお店を笑顔で案内してくれています。

それに、頭上高くのフラッグやトランスボックスに描かれた
町子の繊細なタッチの絵もいい表情。



交番の前、二股に分かれる道の真ん中には
右手を掲げたサザエさんの銅像。
熱のこもった記念撮影を終え、
右の道を選びます。

太い桜の木を過ぎて
到着したのは長谷川町子美術館。


ここは姉の毬子とともに
町子が蒐集した美術品を社会に還元するために開いた場所。
没後の現在も収集・展示をつづけるほか、
サザエさんをはじめとした町子の作品を公開しているそうです。

今は収蔵コレクション展「春爛漫」が開催中。

圧倒されたのは毎年それを目的に訪れる方がいるという
500号の作品、三栖右嗣「爛漫」。
画面いっぱい、満開の桜にみとれて、しばしぼんやり過ごしました。



しばらくして聞こえてきたのは、
ひそひそとした話し声。

『へえ、九州。海平さんがねえ……』

少し先で立ち止まっていた2つの背中を見送ったあと
同じ場所に行って、みつけたのは磯野家の家系図。



架空の世界の家系図なのに、
よその家を覗いているみたいで、なかなか愉快。


やがてさっきのふたりとおなじように
『なるほど静岡なのね』などと
小声で感心を伝えあいました。


脇の小部屋から音がして、
流れ始めた映像は、いつかのサザエさん。
中に入ってみると、町子の原作も飾られていました。
父親につれられた歌舞伎の話がテーマの「町子かぶき名作集」展と、
常設らしい町子自身が綴った半生記。

どれも軽妙なタッチで描かれていて
おもしろく、するすると読み進めてしまいました。



どこかでみかけた日本初の女性プロ漫画家との注釈。
思い出して年表を確かめると15歳でデビュー、19歳で初の連載。
サザエさんの連載を開始したときは26歳だったそう。


(がんばろう……)


来た道を戻って
サザエさんカフェで一息ついたあとは、
桜新町駅前にて
磯野家の銅像とともに右手を挙げて最後の記念撮影。

取材終了です。


さーて、貼り絵は、
軽妙洒脱に仕上がるかしら。
お楽しみに。





※きりたにさんのホームページ「たいようのみやこ」
http://taiyonomiyako.com/index.html
※きりたにさんの連載エッセイ「TOKYO銀座めぐり」
http://www.tokaiedu.co.jp/kamome/contents_i201.html
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【きりたに・かほり】
1984年秋田県生まれの香川県育ち。熊本県立大学卒業後に上京し、都内制作会社にデザイナーとして勤務。現在は「世界をあたためたい」と絵を描き、関東を中心にイラストの制作や似顔絵屋さんなど行っている。
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