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美しいくらし
フランス 花の村をめぐる旅 写真と文
木蓮
最終回 花を育てる(上)

※このWEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『フランスの花の村を訪ねる』が絶賛発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。



木蓮さんが丹精込めた庭


 毎年、私が旅を始めるのはイースター(復活祭)のころ。冬の間、閉まっていた小さな村のお店やオフィス・ド・ツーリズムが、まるで冬眠から目覚めるように開き始めるからです。 
 この季節がやってくると、私は花を追いかけるように北から南まで、誰も知らないような小さな村を探す旅に出かけます。

 それでは、旅立つ前に何をしているかというと……。

 自分の庭の手入れを楽しんでいるのです! 7年前に庭をつくり始めたとき、日本でやっていたのと同じように土を買ってきて草花を植え始めると、夫や近所のおじさんたちに「シティー・ガーデナー」と揶揄されたことを今でもしつこく覚えている私。
「まず、土の作り方がなってない!」
 こうして、夫によるスパルタ教育が始まりました。


とれたての無農薬野菜
 我が家で食べる野菜は、基本的に夫が育てます。フランスの田舎では、先祖から受け継いだ土地で大なり小なり何らかの野菜をつくっているのが一般的。自分の畑でとれすぎた野菜を物々交換し、皆で助け合いながら暮らしています。

 ある日、わが家の畑の門の前に私の背丈より高い牛糞が積まれていたときは、本当に驚いて思わず悲鳴を上げました。夫は大笑いしていましたが、どうやら近くの酪農家のおじさんが何かのついでに置いていってくれたようです。

 自宅で食べる野菜ですから、形や大きさにはこだわりません。もちろんすべてオーガニック。安心して皮ごと食べられます。

 私の庭も、夫とけんかしながら何もないところから土を耕し、一冬たまった暖炉の灰や自家用コンポストでできた堆肥、近所からもらってきた馬糞を混ぜ合わせ、ふかふかにした土に花苗や球根を植えて、少しずつ形にしていきました。

庭で見つけた鳥の巣
 去年はなんとモグラにやられ、庭の球根がすべてダメになり涙を飲みましたが仕方ない……。自然と共存するというのはそういうことだと思うのです。そのかわり化学肥料を一切使わない庭なので、昆虫や動物がたくさん遊びにきます。クレマチスの中には4つも鳥の巣が見つかり、玄関のバラの中にもいくつか鳥の巣ができました。
 フランス人たちはとにかく野鳥が大好き。
 オーヴェルニュの冬は厳しいため、寒い冬の間、鳥たちが餌を食べられるよう軒先にエサを吊り下げるのは冬仕事の一つでもあります。(つづく)


【写真提供:木蓮】
★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/
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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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